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[それから顔を贄となる少女へと向け
ゆっくりと長老の方へとずらした。
見えぬ視界の中、顔を向けるのは昔の名残であり
何かを感じ取ろうとする其れやもしれず]
…カウコは、賢いな
[ぽつり 呟いて左脇に置いた杖を握る。
ゆっくりと立ち上がる影が、炎の近く
大きくテントへと黒くうつった]
…長老殿――俺は、あんたを裏切らない。
其れだけは「絶対」に、だ…
[低い声で、皺深き老人へと向け言葉を渡す。
其れは誓いの言葉であり、ひとつの縛]
――孫より群れを取ったあんたが、本当はどれ程…
…多分、俺は、知ってる…――――
[それからドロテアの方へと手を伸ばす。
彼女が男の視界を気にして手を差し出すとそれを取って引き、顔を埋めるようにして、彼女の手首の内側をちろと舐めた]
[彼女の表情を見る事は出来ない。
男は飾り気無き杖を手に、
テントを出ようと足を踏み出して]
…――また、此処に戻る…
[低く告げ入り口を捲くれば冷たい風が吹き込んだ。
ヘイノと対照的に、この地に置いて薄着な方、開いた首元にびっしりと鳥肌を立て、宙で凍る程の息を吐いた]
― 小屋 ―
[カタカタカタ…―――木の根をすり潰す作業に、一本だけ脚の短い机が立てる音。出来た物を移し変えて、似たような容器の横に並べる]
………
ドロテア…
[供犠の娘が今ごろ何を想い何をしているかは知らずも、彼女と引き換えに与えられた時間は過ぎていく。躊躇いがちに手を伸ばす容器は薄く埃を被り、長い間触れられていなかったもの。
中にあるものを自らに言い聞かせるように容器をなぞるだけで、前髪の奥で眉根が寄る。蓋を開ける事もなく手を離すと、容器には手指の跡が残った]
[男が歩いた後は、杖を左右に振りえぐれた雪の跡に足跡が重なる為、まるで模様のようだ。
視界無き男は冷たい空気を進み、向かったのは車椅子の男の小屋。
さくり、さくりと小さな音を雪に染み込ませ]
…――
[小屋の前、どう声をかけるか暫し迷う態で立ち尽くす]
…………
[やまぬ遠吠えと焔の燃える音に混じり、足音が近づいてくるのに扉に顔を向ける。テントでの発言から誰か来るかもと意識していなければ、遠吠えにまぎれて聞き逃していたかも知れない。
かけられる声もなく扉を叩く音もないのに、トゥーリッキとマティアスの会話を思い出しもする。中の様子を伺っているのかと、扉を見る間]
開いてます。
宜しければどうぞお入り下さい。
…こんにちは、も、こんばんは、も
変かと思って…――
[かけられた声に、言い訳めいた声音を返し
杖でコトリ、小屋の入り口に触れてから手を伸ばすと
そっと入り口から足を踏み入れた。
薄着の肩には、煌く雪がへばり着く]
――ひとり、だろうか?
[気配は感じないけれど、確認の言葉]
………そうかも知れません。
[扉の向こうから届く声を聴けば、先に思い出していた人物。けれど寒い外に立っていた理由を疑うでもなく、なんと挨拶するべきか同じく思案して結局は同意だけ示した]
ひとりです。
道中ですれ違われなかったなら…
テントに戻られたのでもないのでしょうね。
温かいお茶を煎れますから。
火の傍へどうぞ。
[見るからに寒そうな装いのマティアスに火の傍を勧めても、殊更に手を引き助ける事はせず。キィキィキィキィ―――来訪者を迎えるべく、茶を煎れながら誰とは語らずもトゥーリッキの事も添えておく]
…すれ違っては、いない。
[レイヨの言葉に頷くと、杖を左右に動かして床を確認しつつ歩みを進める。
茶の匂いと相手の匂いにひくと鼻を蠢かせて
そっと手を伸ばし冷たい壁に触れる]
ひとつ…――聞きたい事があって、来た――
…そうですか。
[話題に上るトゥーリッキの時と違い火もあり、先に沸かしたばかりの湯はまだ温かかったから茶の出るまでの時間も短い。キィキィキィ…―――車椅子は壁際のマティアスに近づき、口を開こうとしたところで先に言葉をかけられた]
何でしょう。
僕に答えられる事でしたら。
…お茶です。
[断ってからカップを渡そうと盲目の彼の手を取ると、外気に冷やされ少なくとも表面はつめたい。温める役割は茶に任せ、彼の手にカップを収めて手を放した]
[マティアスがテントを出ていくのを見送る。やはり、声はかけず。眼鏡を取り、コートの広い袖で無造作にレンズをぬぐった。かけ直すと、中指でブリッジを押し上げて。
汝も行けばいい。そう長老に言われたならば]
いえ。今は……
考える以外に、するべき事もありませんから。
問われなければ……
[伝達以外で、男から誰かを訪ねる事は――少なくとも今は――ないと。潜めた意思を乗せて返し*]
……伝えるべき事が、ないのならば。
[手を取られぬくもりを渡されると
包帯の下で僅かに頬が緩む。
うん、と頷き壁に背を預けると、一度其れを啜り
ず、と音を立てた後、顔を上げ]
「贄」の代わりと言い出した者はいないか、
そう――…、言った…――のは。
…お前で…間違いない…か…?
[問いの最後迄飲み込む事をしなかった低い声は
普段から饒舌とは言いづらい男の喉を奮わせた]
― 小屋 ―
[殺風景な空間にはいくつかの工具のようなもの。
部屋に火を入れ、暖をとろうと湯を沸かす。
過ぎるのは供儀となる娘のこと。
想うことはあれ、口は開かず火を見つめる。]
―――。
[暖まり始めた室内で少し気が緩んだか帽子を外し椅子に座って暫し目を閉じる。
トゥーリッキが付近に居ることは知らず、眠るように。]
…………
[キィ…―――マティアスが言葉を続けるより先に茶を啜るなら、急かす素振りもなく車椅子を少しだけ引く。トゥーリッキの分と一緒に煎れた自らの分の茶は冷めていたから、眼鏡の曇る事はなかった]
………そうですね。
僕は皆さんにそうお訊ねしました。
[到着前の事まではわからずも、周囲の反応からはその話題が出ていた印象は受けなかった。低い声の紡ぐ確認めく問いに、肯定を返すのは折と同じく静かな口調]
どうしてですか?
――何か「量ろうとした」のか…?
それとも「それ」を…自分が言い出そうと、した、のか…
…―……、
[こくり 喉が一度鳴る]
………――言えん事は言うな。
言えるなら…――聞きたいと、
[思った。
背に壁の冷たさを感じながら、男は相手の周りの
見えぬ世界を、全身で感じ取ろうとしている]
[ゆるりと目を開く。]
出来ることを、出来るヤツがすればいい。
ドロテアは――無力じゃない。
[慰めととられるを厭う想いもあり、当人には言わない。
それは単純に、本心からそう想うだけ。
ふ、と息を吐いて沸いたらしき湯で茶をむらす間、扉を開いてみたなら近いか遠目にかトゥーリッキが見えただろうか。
彼女が鼻をすすっているようなら目線だけで招くが相手次第と強要の意志はなく、扉の鍵は掛けずまた部屋に。]
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