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―翌日―
[蝉がみんみんと鳴く中、喫茶店へとたどり着いた。
ベルの音と共に中にはいれば、いつもと違う緊張した雰囲気に、戸惑いを覚える]
マスター、何があったんですか?
[険しい顔のマスターが、アンが行方不明になったと、話してくれた]
アンちゃんが?!
はい…お家にも連絡がないと…
[話を聞くために、カウンターに座った。しかし、座れば何も注文をしないのも気が引ける。
周りを見れば、ルリが所在なさげにしているのが目に入り]
あ…レモンスカッシュお願いします。…ルリちゃんのも一緒に。2つ。
[連慮しつつ注文をした]
[マスターから話を聞きながら、レモンスカッシュに口をつける]
そうですか…どこにも連絡はないと…。警察からもなにも情報がなくて…まるで神隠しにあったよう、ですか…
[不安げなマスターに、大丈夫ですよ、と声をかける。
しばらくして、レモンスカッシュの中の赤いサクランボを口に含んだ。
舌の上で、真っ赤なサクランボが軽く踊る。
口の端で、ちろりちろりと、赤い茎が揺れ動いていた]
/*
そういえば、前回独り言が少ないとせばすちゃんさんが残念がっていたので、何か書いてみよう(笑
今回は夜刀神=蛇神ということで、蛇っぽくしてみようかなと。
…具体的にどうするかはあんまり決めてませんがw
*/
−回想・昨晩−
え、アンが行方不明!?
[驚きを隠さず、いや隠せずに叫ぶ。昼間アンを見たことを言えば、そのときのことを根掘り葉掘り聞かれ]
確かに、いつもとは様子が違いましたし、気が付いた頃にはもういなくて。
すぐ戻ってくるんだろうって思ってたんですけど……。
[だけど、あの自由帳のことは言えなかった。気味が悪いというだけで、関連性には乏しい話をしてもややこしくなるだけだ]
−翌日・道−
[昨日のことが頭を離れなくて、足は自然に喫茶店へと向いた。誰かが何かを知ってる気がして。それに]
……戻ってきてればいいんだけど。
[自警団の人が山狩りをしても見つからなかったというけど、もしかしたら戻ってるかもしれないから]
[仕掛けを準備してから、いつものようにサテンに向かう。
本日も晴天なり。]
いい天気だなー、ほんと。絶好のプールびよりってやつ?ま、俺には無縁…。
[昨日の室内プールの約束を思い出して、ちょっと足が鈍る。]
…………アイツが残ればいいだけか。自腹って最終手段もあるんだし。
[自分に言い聞かせるようなのは…否定しない。]
―喫茶店―
ちわーっ、マスター、カレー1つ!
[ポチャン。
誰もいないはずのプールから魚が跳ねるような水音を聞く]
…?
[一度振り返るが、そこには何も見えず。首をかしげるとプールを*後にした*]
マスター、アンは……。
[期待をこめて尋ねてみる。しかし、返ってきたのは否定の言葉]
そう、ですか。
……アイスコーヒーで。
[何も頼まないのも悪いと思ったのか、夏の暑さには勝てなかったのか。ともあれ、注文をする]
[マスターから受け取ったコーヒーには、何も入れない。どうにも甘いものを取る気分にはなれなかった馴染みのない苦味に顔をしかめる]
……そういえば、アンは……どうして、あんなに顔色悪かったんだろ。
[カレーの理由はあれだ。
結局昨日一口食うの忘れてたから、そんだけ。]
アンは…やっぱいないか。
[分かりきった事を確認して、挨拶しながらいつもの席に座る。]
そういや、昨日俺らが帰る前にはもう居なかったよな…。
[もう一度、自由帳をあのページを開いてみた。9人の名前と、アンの名前を塗りつぶした赤。そして、いまだに何を描いたつもりなのかが分からないイラスト]
アンが見たときは……まだ名前はそのままで。
だから、どっちかというと……こっちが原因?
[だが、そのイラスト自体が何を意味しているのかは分からないままだ]
―よろず屋―
あんぱん一つください。
[買物だけで終わるつもりが、店主の老婆は世間話を始める]
狐?
[老婆は言った。まるで見てきたかのように]
―喫茶店―
“狐様に連れられた。”
[抑揚なく繰り返す。
老婆は言っていた。それが繰り返されてきた営みであるかのように]
アンちゃん、消えたんだって。
菊婆が言ってた。
[菊婆さん手作りのあんぱんを右手に握り締め、喫茶店の入口でぼうっと立ち尽くした。
信じているのかいないのか、サヨは自分でもよくわからなかった]
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