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ああ、えっと、うん
すまない、もう少し器用な人間ならよかったが
上手くないな、専門の先生には敵わない
[頭を掻いて、誤魔化してみるけれど。
でも、何か答えない事にはな。]
先へはいけない、と言うのはどう言う?
私は外科医だから
専門でない所もあるかもしれないけれど
希望も無く、夢もなく、ただ耐えるのは辛い
だから、私に出来る事をしたいと思っている
[精神科の先生なら、もう少し上手に話すのだろうか。
勉強しておけばよかったな。]
良い所、かい?
…希望もなく、夢もなく、
ただ。耐えるという事。
先へ行けない…というのは。
[あっさりと、何でもないふうに、
的確に突き刺さる言葉を放つ人だと
医師の顔を見上げて目を瞬かせる。
不器用だと自分で言うのだから
きっとそのせいなのだろうと思う。
右の手を差し出して。]
…なら、握手しよう。
[彼に出来る、私のして欲しい事。
良い所…という言葉に曖昧に頷きながら、
頼んでみる。]
そうか、すまないね
どうも、言わなくていい事ばかりで
[患者に何か、希望のような物を与えられたらと思うのに。
どうも、上手くそれが出来ない。
外科なんてやっていると、患者と話をする機会の少なくて。
それを改善する事が、出来ないまま。
だから、握手をしようと言われれば。
わかったと頷いて、手を差し出した。]
出来る事があれば、言ってくれればいい
協力出来る事には、協力するし
[手を握る。
生きている誰かの体温を感じるのは、
とても久しぶりで、少し落ち着く。
短い握手の時間はすぐに解いて。]
…宿題を持って帰って。
次は、先生が考えて。
私が嬉しくなるような事を。
できる?
[顔を見上げて、小首を傾げて。
もしかすると、手紙かお手玉が、
届いているかもしれないから
部屋に戻ると言う前に。]
宿題?
[嬉しくなるような事を考える。
それは、とても難しい宿題だ。
だけど、それが彼女の先になるのなら。]
わかった、考えておこう
君の病室を教えてくれるかい?
宿題が出来たら、持って行こう
私を探す時は、ナースにでも言ってくれればいい
外科のユウキ先生を、と言えば大丈夫だから
[傾げられる首に、頷いて。
年頃の女性を喜ばせる、なんて事が出来るなら。
それはもう、不器用とは言わない気がしたけど。]
…896号室。
クルミというのが私の名前。
楽しみにしてる。ユウキ先生。
[待つものがひとつ増えて、
本当はそれだけで随分と嬉しい。
綻ぶ口元で医師に笑いかけて。
私は、車椅子の車輪を軋ませて、
病室に戻る事にした。
お手玉と、手紙と、宿題を、
お昼ごはんを食べながら待つつもり。
「待ってるね」と言い残して。**]
クルミさん、だね
わかった、待っていておくれ
[楽しみにしていろ、と言えるならきっと良い。
だか、自分にそこまで自信はない。
ハードルは、出来るだけ低くしておきたい。
こんな事考えてるから、駄目なんだろうな。]
約束だ、必ず宿題は届けよう
[笑いかける彼女に、そう言って。
去っていく車椅子を、見送った。
これは、大変な宿題が出来てしまった。]
…―――
あとで、誰かに相談に乗ってもらおう
― 自室 ―
あら…
[朝。日当たりのいいこの部屋に日が差し込まない。
目が覚めると少しいつもより寝過ごしたことに気づき、薄手のカーテンを開けると、雪がちらほらと降っていた]
ここにも、雪が降るんだねぇ
[曇天の薄暗さの中、枯木立の中を雪が舞う様子は、満州であの人と出会った頃を思い出させた]
[部屋の温度はある程度施設で集中管理されている。
それでも少し肌寒い中、いつものように朝食へ向かうための準備をした]
まだまだだねぇ
[出掛けに、部屋の片隅の机の上のつぎはぎを見やった。
丁寧に縫っているため、今日小豆が届いたとしても、お手玉の形が完成するのは明日以降になりそうだ]
まぁ、時間だけは、いくらでもありますよ…
[独り言を呟いて、部屋を出た]
― 渡り廊下 ―
[朝食が終わった後、また病院棟へ向かう。
今日はくるみちゃんはいるだろうか。
ここに住んでいると言った彼女。
彼女にも時間はたくさんある。きっと]
あらあら、降りはじめたねぇ
[渡り廊下から外を見やった。
遠くに見える海は暗い。
その上を、灰色の空間を埋めるように沢山の小さな雪が舞っていた]
― ロビー ―
[くるみちゃんの姿が見えるだろうか?
病院棟にくるとそのままロビーを覗いた。
しかし、すれ違ったのだろうか、それとも今日は来ていないのだろうか、姿は見えない。
天気が悪く、特等席の陽だまりもできていない。
ちょっと違う所へいってみようかね、とのんびり歩いて向かった先は、子供たちが靴を脱いで遊べる場所がある休憩室だった]
― 休憩室 ―
しつれいします
[一声かけて、ひげを生やした見舞い客らしき男性の横の空いている席に座った。
男性は、駆け回る子供たちを、静かに眺めていた。自分も同じほうに視線を向ける]
元気だねぇ…
[昨日出会った少女も、ここにいる子供たちも、みんなどこかが悪いのだ。
でも、自分には、子供にはみんな、希望溢れる未来が待っているように見えていた。
まぶしい。微笑みながら目を細めた**]
[子ども番組が終わり、
次に始まったのは音楽番組だった。
それも、昨今の流行歌が流れるものではない、
昭和歌謡ヒットパレード、といった内容。
年末特番に、男の瞳が輝いた。
歌謡曲に演歌、フォークソング。
司会者の織り成す内容、その番組に心擽られ
もう少し、この温かな空間に居座ろうと心を決めた。]
[一曲目――
大好きな、あの曲のイントロが流れてきた。
そこへ、可愛らしい小奇麗な老女がやってきた。
歳の頃は母と同じくらいか、
それとももう少し若く見えるか。
歳を取っても女は女、
歳はわからないものだと眉尻を落とす。]
アンタさんも、お孫さんはいるのかい?
子どもはいいねェ、見ているだけで元気になるさ
[隣へ腰掛ける老女へ、満面の笑みで微笑んだ。
TVの中の、まだ若いシンイチが歌う]
『おふくろさんよ、おふくろさん……』
[大好きな、曲だ。
カラオケスナックでは、大体これを歌っていた。
けれど、母親の見舞い帰りに「おふくろさん」、
この曲を聴いて胸を熱くするなんて、
なんとも気恥ずかしく。
隣の老女に、気取られぬよう
会話を振った]
俺ちの孫はなァ、14歳になるんだ
他にも何人かいる…はずなんだがァ
娘が4人もいるもんで、もう孫も何人いるんだか
わからなくなっちまって… ははは
[なんだか、母と話しているみたいで
シンイチの歌声もあってか、妙に心が弾んでいた]
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