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[黒髪を掴む五指を緩める。
夜風を通す態で、一度梳き流す。]
今夜は俺に任せて
…休めて
[「休んで」でなく「休めて」と。
身体をとも心をとも省く*意は*]
[見上げさせる面持ちは、
笑みを薄うく広げていて]
…『 普通じゃ だめなの 』ってね
[尖らせた舌先に沿って どろぉ と
300℃超のコールタールが、娼婦の美貌へ
艶かしく迸る軌跡を――――*描いた*]
[血塗れの袋を片手に街をさまよい歩く。
ウルスラとの待ち合わせ場所は何処だったか]
・・・アの阿婆擦れ、連絡つかないネ。
生首持て待つ身にもなてほしいヨ。
[無線機を鳴らせど応答は無く。
久しぶりの大口報酬で随分豪勢なバカンスが出来るだろう。
それでも余った分はどうしようか――
そんなことを思いながらも、待ちぼうけの苛立ちは隠せない。
ウルスラの置かれた状況など、女は知りもしないか**]
他にもいるのね。
私みたいな、馬鹿……。
[男の言葉に、苦い顔のまま笑う。
髪に感じる熱。梳き流された後に残るのは、仮面を脱ぎ去った少女の顔]
[休めて、と。
言葉を紡ぐ男の真意は判らない]
―――……。
[だけどその言葉に従う様に。
ゆっくりとそのまま、眸を閉じた]
仕込んだ男はもういないわ。
[蝮の娘となった時に、身も心も喰らってしまったから。
男の中心から手指を離し、薄く笑うその舌から零れ落ちるどろりとした赤黒いシャワーをうっとりと見上げて]
男って、本当に――……。
[その言葉の続きは発せられないまま。
悲鳴を飲み込む音と、肉の焦げる嫌な匂いだけが小さな部屋を満たして**]
/*
バファリン喰いを想定して仮セット。
本来なら墓下が静かになる喰いかたはしません。
むしろ霊話を盛り上げてくれる人を齧るよ!
[掌と指が、鳩尾の辺りから胸部、鎖骨、首と辿り――首から上がない事を知る。次は両手で、首から肩、腕部をなぞり、腰から脚、爪先へと、輪郭を辿る。
周囲の切れ切れの音から拾い上げ、意味らしきものに繋ぎ合わせれば、生贄の少女は、神に捧げられる前に、教団に仇名す者(或いは別宗教者からの刺客)により、呆気なく殺されたのだという事。]
……―――……
[音を洩らす代わりに、頷くように頭が揺れた。]
[頭がないから、涙を零していた事は知らない。
頭がないから、脳を食べる事もない。]
……―――――…、
[生贄としての衣装。其れは一般人が身につける物よりは上等な仕様だろう。喩え教祖が偽りの教えを掲げていたとしても、狂信の徒達が、神の生贄に相応しいよう装わせたに相違ない。
そんな事は知らず、手触りの滑らかを指先に感じながら、少女の衣装を破き、唇を開いた。]
[舞台上の演劇を、舞台下の舞踏を、コンクリートの壁影に隠れ見詰めている。
赤く濡れた浄化の翼は遥か高みへと消え。
その矢を受けた獣人じみた空腹人はどうしたか。
天使へと、無為から作り出す武器を投げつける両目を隠す男が段上へ――
生贄になるはずだった首無しと、瞳を切られ醜く呻く教祖は、その後どうなるか。
そんなことは、『カレワラ』の知った事ではない。]
……まア。
ここまで出来たナラ、花丸ヲやるヨ。
[滅茶苦茶になった儀式、救いを無残に潰された群衆は、混乱を抱えて悲観するしかないのだろう。]
特に、アノ天使が殺ッテくれたのが最高ダナ。
[弱者を突き落とす救いの手を思い出し、にたりと哂う。]
しかシ……
もし対立デモすることになれば、厄介ナ。
[その惨劇を演じた者達。
サーディはまだ良い、怪我を負い退いた天使も。
同じく怪我を負った獣と、人ならざる不可解な能力を見せ付けた二人組みは、三白眼には己の理想を叶える危険以外には映らない。
力ある者が生き残る。
それが真理だと思うも、こちらにだって、何をしてでも叶えたい願いもあるのだ。]
[皮膚を突き破り、殆どついていない脂肪の層を破り、その下の繊維ごと噛み千切る。]
いた、だき、ます。
[それから、思い出したように、
ベルンハードの食事前の挨拶を真似する。
両手を屍体の両側に付き、ぴちゃり、ぐちゃり、と音を響かせながら、食餌を。**]
[研究施設での暗澹たる刻が、血の色で塗られてゆく。
四つん這いになり喰らう姿は、情報屋に捉えられているかまで、男が知る事はない。*]
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