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…気配……?
[言葉を反芻し、ああ、と頷く]
やっぱり、お化けだったんじゃないですか。
その言い方は。
[薄ら笑いに眉を顰めつつも、探すというポルテの後ろに立って、歩く]
真実は小説より奇なり。
怪談よりも、怖いものなんて…世の中、たくさんあるでしょうに…。
[内心で冷ややかにひとりごちた**]
―ビセの居た部屋―
あんまりそこ近付かない方が良いですよ。
摂りこまれるかもしれませんから。
[窯に近付くポルテに淡々とした声を投げる]
――…知りたいことでも、あるんですか?
[摂りこまれたら、食べられない。
当然のように、心配するのはそちらの方]
…カレー味……、かな?
[思考が何処かずれているのに気付いて、ひっそりと心の裡だけで笑う。
飢えている。そのために意識は逸れる]
確かに僕は作家で、話を作るのは生業ですけれど。
その2つは、僕が語ったものではないでしょう?
本当の事、ですよ。
[こんな時ばかり、明確な答えを告げる]
そうやって尋ねるから…より深淵に近くなる。
冗談は言っても、嘘は吐かない主義ですよ。
[口の端だけを上げる笑み]
僕が教えられることなら、答えますが…それなりの対価は頂きますよ?
っと…、どうしました?
[突然振り向く様子に、緩やかに首を傾げる]
オオカミの話を。
カミサマの話を。
この村の意味を。
この儀式の事を。
幾つかの選択肢と、その行く末を。
[謳うように、韻を踏んだ言葉。
部屋を出るポルテの背を抜き去って、地下へと足を向ける]
対価を払う覚悟があるなら、後ででも構いません。
…あの像の前へと。
[貯蔵庫を抜け、その先に足を踏み入れる。
祭壇に腰掛けながら、神の像を見上げた]
……カミサマ、
僕は、貴方が嫌いです。
[ひっそりとした空間で、一人呟く]
これ以上、貴方に奪われないために。
全てを与え、そして全てを奪った貴方には…もう何一つ。
捧げるつもりは、ありませんから。
私たちとは神の失敗作に過ぎないのか、それとも神こそ私たちの失敗作に過ぎないのか。
[ふ、と狼煙のような細い煙を吐く]
今更、与えられたくもない答えですが。
[ヒトを食べるのが、自分の意思でなく]
[カミサマに遺された飢えのせいだと認めるわけにはいかなかった]
[おそらくは唯の、意地]
ハハッ、面白い事を言うんですね。
[震える声すら、愉しいとでも言うかのような]
自らを捨てた神を崇めるような信心深さは、僕にはありませんよ。
[ゼンジならば、居ても差し支えは無いだろうと判断し、祭壇を降りる。
ポルテの尋ねに頷いて]
まだ、生きていらっしゃいますよ。
アンさんや、バク君とは違って。
―――…質問が少し、不明確ですが。
[ポルテに向ける声は、やや低い]
僕が此処に来たのは、復讐の為、ですよ。
カミサマへの。
カミサマは、一度、僕たちヒトオオカミを拾って…、村ごと捨てたんです。
ご存知無かったですか?
…死者の声?
―――…ッハハ。さぁ、カミサマが僕たちに醜い同族争いでも願ったんじゃないですか?
ヒトオオカミの血を継いだもの同士での、殺し合いを導くような力を。
[吸っていた煙草を揉み消して]
何が出来るか…ですか?
自らの手で、幕を降ろすこと、くらいですかね。
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