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はあん。
どこに「ヒト」がいんだよ。
[――薄暗い、ばかりではない。
人払いめく某の作用する空間。]
…ああ。
[訊く気があったか否か、返答は
短く。男はカウンターへ肘を乗せ]
道中で、人狼に
喰われてなきゃいいがね。
[人嫌いの破落戸(ごろつき)は、
同属の前からバロンをひと切れ
つまみ上げながら*呟いた*。]
[頬杖をついて、同族を斜に見遣る。
――15年。
相手の胸裡へ醸成された物の薫りを
利くように、旧き男は目を眇める。]
……
絶対 始末するなら――
[やがて満たされるグラスは触れ合わず。
互いの目の高さに琥珀の水面を揺らす。]
狙いはどう定めるかね、
バロネス
*"男爵夫人"*?
[いつでも不機嫌な破落戸(ごろつき)は、
椅子の背凭れへ頬杖をつき斜に腰掛ける。
一同へ一通り視線を睨め巡らせた後は、
しばらくむつりと口を閉じ其処に居た。]
[酒場の女が無意味な禁酒の誓いを口走る。
女学生がいろのみえない声音と言を置く。
堂々たる寡婦が挑発めいて某かを皮肉る。
やがて独り言ちる意識は其処へは向かず…]
殺されるのも、仕事のうちってかぁ?
[幼い頃から見知る自警団長の男の死に様に。
破落戸(ごろつき)は、亡きアーヴァインの
念入りな職務熱心さへ忌々しげに毒づいた。]
… 石頭が。**
[細面の学生が、いろをみせない言を撒く。]
…けっ。
理屈ゥ捏ねやがる。
[破落戸は鼻白む態で、卓へ配られたペンと
紙片へ向かい――無造作に名を書き入れる。]
[紙片を手に立ち、卓を廻り込む歩は緩慢。
忌々しげな面のままに、投票箱へ叩き込み]
「ハズレ」を引くのは、
プライドが許さねえかぁ、坊主。
[問うともなく、ラッセルへと投げかけた。]
石頭野郎の姿は、
きのう集まる前に見たのが最後だな。
[若い女中の甲斐甲斐しさには口を挟まず。
ただ昨晩の所在を問う言へは片眉を上げて]
――女ンとこさぁ。
[放り投げてみせる合鍵を宙で掴み、懐へ戻す。
問い重ねる野暮のあるもなしも*気にせぬ態*。]
へっ
おら、
日が暮れちまうぜ女子どもの皆サマよ。
[ローズマリーの言を拾って票を急かす]
言い訳が必要なやつは
今のうちに考えときなア。**
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