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ふっ…
[村瀬と長澤がそれぞれ結果を伝えるのを受けて、──は笑い出す]
ククッ、は、はははっ!
俺と成瀬が”黄泉還り”だって予想した奴、おおはずれー!ざまあみろ
[少しだけ胸がすいて、すぐに笑顔を打ち消す]
…なーんてな。
本当だったら、俺がここへ来るのは次の予定だったのに。
俺がポカやって村瀬に目を付けられなきゃ、そうなるはずだった。
…悪かったな。
[──だけに見える、汽車の中で輝く青い炎の在処に向けて詫びた]
ん。
[目を覚まして、自分がどうなっているのかをすぐさまに理解した。
触れることも見えることもないが、弓槻のすることを眺めながら傍をついていく。]
…。
私だって泣けたら泣いてたわよ。
泣けたら楽だった。
気持ちは無理に押し込むものじゃないわね。
[と言っても、聞こえるわけでもないのだろう。
反対の連結部近くまで移動する彼のあとをついていき、天体図を描いていく様子を眺めている]
………ん。
そういえばクランクアップっていつかしら。
[座席へ行き、銀色の鍵巻き式懐中時計を取り出して時間を見る。
時間は三時くらいだが、夜なのか昼なのかはわからなかった。]
なんだかもう、随分長い時間此処にいる気がするんだけど。
そろそろ残った黄泉還りをさくっと処刑して気持ちよくクランクアップにしましょうよぅ。
[その場でううん、と伸びをする。]
そうしたら、みんな戻ってきてお疲れ様会の流れなんでしょ?
須藤先生ってば、別れ際にあんな殺し文句言うなんて反則だわ。
…ふふっ。
[須藤が去り際に残した台詞を思い出し、思わず頬を赤らめる。]
全部終わった後、何処かへ二人きりで飲みに行きましょう…なぁんて誘っちゃおうかしら。
うふふふふ。
やだわぁもう。たのしみ。
[黄泉還りのモノガタリを語っていたときとはまるで別人のように、歩き回ったりはしゃいだり。
悲劇のヒロインというよりは、むしろ道化のような様相で。]
…あ。
[ぽん、と手を打つ。]
でもなんか色々と先生の手持ちの品物壊しちゃったのよね。
撮影が終わったらきちんと同じものを買って返してくれるのかしら。
やだわあ、心配。
あの水筒、すごく気に入ってたのになぁ。
[ちらりと座席に置き去りのままにした水筒を見る。
正直、もう使い物にならないだろう。]
でも、ねえ。
…あの警笛聞いた瞬間のあれだけは、どうやったんだろうって気がするわね。
日本の映画技術も相当進化してるのかしら。
[んー、とその場で腕を組んで考え込み]
集団で気絶して運ばれた、とかでもないと思うのよねあれ。
わたし、別に中で寝転んでたわけじゃないし。
それにしても製作者の人、趣味悪いわよぅ。
わたしホラーとかおばけとかぜんっぜんだめなのに。
そういう人材をこんなところに放り込むのおかしいでしょ、そうでしょ?
[と、誰にともなく呟く。]
わたし、ほんっとうに怖かったんだからね!
車内のセットを歩くたびにがたがた変な音したし。
時々窓の外に火の玉みたいなの飛んでたし!
寿命が何年あっても足りないのよ?やだわぁ、もう。
[ぎゅう、と。
須藤に借りたままの上着を抱きしめる。]
ぜんぶ終わったら、ちゃんと洗ってクリーニングにかけて返さなきゃ、ね。
しわくちゃにしちゃって申し訳ないわぁ…これ、そこそこ値が張りそうなのに。
…んー…。
[須藤とのやりとりを色々思い出して、赤面。]
…これが全部お芝居だったのなら、もうちょっと大胆に行動してもよかった、かなぁ。
ううん。
[正直、思い出すだけでも色々恥ずかしい。
思春期の女の子の方がもうちょっとまともなアプローチを出来たんじゃないかと思うくらいに。]
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