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戻って来て、欲しいんですか?
[望みはかなわなかったけれど、彼もまたこれを望んだのだろうか。
彼が再び会いたいと願ったのは、死者なのか生者なのかわからない。]
[夢で見た帰郷の一部始終は、村にはたどり着いていなかった。
でもきっとそれは、夢だからで、本当のことなんかではなくて。
そう思えば思うほどに悲しくなるのは……]
わか、ってるのよ…
あたしだって、わかってる…
[自分がすでにこの世にないかも知れないということ。
ただ、帰郷の強い思だけが残ってて…]
[顔をあげるとそこにいたはずの猫少年が消えていた]
そっか…じいちゃんのとこに、還ったの、かな
[呟く言葉に力はなく]
狂ってる。
[薬草煙草をふかしながら、視界から消えたプレーチェと鈴木の居た辺りをぼんやり見つめる。
状況に慣れつつある脳は、驚きを忘れかけていた]
会いたい人には会えそうかい?
あぁ。なんだ。
私も死んでいたんだ。
[静かにそう呟く。
イマリがそっと抱き締めてくれているのに気付いて、彼女の背中に手を触れる]
イマリちゃん。
プレー…チェ?
[消えたもう一つの気配を探そうと周りを見渡すが
その姿も、何処にも見えなかった]
あんた達も…そう、だったんだね。
[炊事場の窓から見える景色をぼんやり*眺めた*]
佐々木君……。
[月を見上げた少年が消えて行くのを、見ていた。
彼が自分の背後に向かって微笑んだ気がして振り返る。]
ちーちゃん?
[そこに色素の薄い少女の姿は無く。
彼女の死を思い出したくなくて、固く目を閉じた。
少女の手首の鼓動は今もはっきりと思い出せるのに。]
お母さんのところへ、行っちゃったの?
[少女の死は知っていたはずなのに、今また鮮やかに痛みがよみがえる。
こみ上げる嗚咽を抑えようと、唇を噛んだ。]
[窓の外を見るが、言われたものは
見つからず、ほっとする。]
そうだ、そんなもん…あるわきゃあねえ。
[部屋に視線を戻すと、
その言葉を言った少年は消えていて。
少しばかり悲しそうな顔をしたが]
[少女がいた辺りを見ると、顔から感情が消える]
私も、死んでいたのなら。
……私は一体、何を取り戻そうとしてたんだろう。
[グンジの声が聞こえた気がして>>2]
お母さんは、もっとずっと先にいってしまったみたいだよ。
[言葉を返すけれど。彼に届いているのかどうかはわからない]
ばあちゃんに会いに行ったり、
じいちゃんのところに帰ったり、
忙しい奴らだな。
そんで、先生は、うちの元気な
おっかあ見てえなこといいやがるしよ。
俺は狂ってねえぞ。
月をずうっと見たくれえで、気が狂うものか。
月をずうっと見たくれえで、心がやられるものか。
[自分に向けられた言葉ではないということを判断する前に、その言葉に反応していた]
プレーチェちゃん。
[ぎゅっと抱きしめる]
…こうやって抱きしめられるのは、同じ世界に属する人だからやろなぁ…
[悲しげに小さくつぶやいて]
[セイジの姿が見える。
礼を言い立ち去る彼に、そっと*手を振った*]
ライデン君の母親と俺に何か共通点が?
[その先の呟きには、わずかに顔をしかめたが問うことはしなかった]
本土に帰ろう。
そうすれば、向こうに彼らが生きているかもしれない。
[疲れの見える人々を見やり、口慣れぬ薬草煙草を携えたままに宿舎を出て行こうとする]
もう、いっちゃうの?
……ありがとって。どうして?
ねぇ。
[けれども、セイジへの問いは、宙に溶けて]
いない……。
また、会えるかな。
母親じゃねえよ。同じようなもんかもしれんが。
あの婆さん、俺の目を見てびびらせるみてえに、
月ばかり見てると気が狂うぞ、ああもう狂ってる
って言って、薬飲ませやがるんだ。
もうずいぶん昔の話だがね。
どうでもいいか、そんなこと。
…帰るってえ。どうやって帰るんですかえ。
舟はまだきませんよ。
狼男じゃあるまいし。
[月明かりに狂うと言えば、そんなものしか浮かばずに苦笑する]
日があるうちに狼煙をあげよう。
まだ燃やすものは残っているかな。
[腕をまくり、波打ち際を通って神社の方へ向かう。
枯れ木や藁を海辺へ運び、山を作ろうと*試みる*]
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