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[サヨにつられて、後ろを振り向く]
いないの?
[と、口にした途端、ぶわっと空気がざわついた気がした]
キョウコちゃん……。
[繋いだ手に力を込める]
[あの後、モミジの為にあれこれ思い付いた方法で手助けしようと動き回るも、結局行ったのは紙に書いた名前を同じく紙の船で紙に流し浄化を願った昔ながらの方法のみで。
自分の無力さに項垂れながら郵便受けを覗くと放り込まれていたのはやはりあの封書。
しぶしぶ開封すると、そこにはリウという子の身の潔白が淡々と記されているのみ。]
わたし今日…喫茶店に行きたくない。
[朝もやにはき捨てるように呟いたポルテは、そのまま自室へ篭り、頭から布団を被って寝て過ごす。無力のままモミジには会いたくなかった。
そして投函されていた封書は、無造作に郵便受けに入っており、はみ出した部分を引っ張れば誰でもその内容を把握できるように*なっていた*]
[何事も無かったように振舞って店を出て―そして、今ここに居るわけだ。以上、状況説明終了。]
さて、これからどうなるんだろうな?
[傘を片手に、異界の『空』の上から『地上』に意識を向けてみる。]
[ポルテを見送り、テーブルの上の氷の溶けたアイスコーヒーを飲み干した。
薄らぼけた味に、少し顔をしかめる。結露の付いたコップをテーブルに置いた。
テーブルが、水で、濡れる。
花火に行く子供たちを見送って、ふと時計を見る]
あー!長話してたけど、仕事あるんだった…
[がくり、という表情になった]
マスター、今日は帰る…
[肩を落として、喫茶店から出ていった]
[溶けたアイスと抜けた炭酸のせいで、この上なく甘くなったソーダを全部飲み干す頃には、随分人が少なくなっていた。気落ちしているマスターを慰めるにも、どう言っていいのか分からず]
……ごちそうさま。お金、置いときますね。
[それだけ言い残して自宅へ戻る。しかし、ナオはまだ気づいていなかった。自由帳から2人の名前が*消えてることに――*]
[目を開けるのが怖かった。見えないはずの人が見えるのが怖い。見えていたはずの人が消えるのが、怖い。おそらくそれは、理解してしまったからだった]
キョウコちゃんは、ここに居るよね。
[繋いだ先のぬくもりを確かめながら、ゆっくり目を開ける]
[ちゃぽん。
水の跳ねる音に踏み出すのを一度ためらう]
…?
[振り返ろうとした瞬間、がくりと足元が支えを失う]
え、えええ!?
[ぎゅっと目をつぶって。瞼越しに届く光は赤色]
[冗談に聞こえねぇ…。]
まあ、パニくるのも分かるが、他に気付く事ねぇ?
[俺が空中、っても地面から10センチくらいのところ、に立ってる事とか。]
何か聞きたい事ねぇ?俺に答えられる範囲なら答えるぜ。
[ネタバレにならない範囲で、だけどな。]
―翌朝―
[一晩眠っても、昨日感じた不安が消えなくて]
やだやだ。おかーさん。
今日はお仕事お休みしてよ。
[思い切って我儘を言ってみたけれど、自分を宥める母親の困った表情を見ると、口を噤んでしまう]
うん。わかった。いってらっしゃい。
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