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[とある屋敷のメイドとして働いていたロボットだが、時折唐突に停止するというバグがあったため、修理のため研究室に搬送されていた。しかし、どこを調べても特に異常がなく、暫く放置されていたらしい。]
―System Check
[電子的な声の後、体内でカタカタと音を立て始める。]
[やがて音が止まれば]Green OK
[再び電子的な声が*響いた*]
―検査室―
[室内には、草団子を食べながら書類をめくる白衣の男が一人。
そして、衝立の陰で制服のボタンを留める少女が一人。名をハツネという]
え?
あぁ、すみません。ちょっと、すごい雪だなと思って。
前に来たのは夏でしたから。
[ハツネが部屋を出て行こうとすると、男が大福を差し出した]
研究施設入口前
[雪振る中。傘を差した少女型のロボットは、研究所のドアロックのキーナンバーを入力しながら]
表面温度どんどん低下ー…内部温度もー…
ああもうっ、寒い寒い寒いのー!
このまま冷え続けたら風邪モードが作動しちゃうじゃないのっ。ずるずるずびずばは、嫌ー!
まったくもう、こんな場所でメンテなんて信じられないよー。旧式をもうちょっと労わってよね…!ルリ、結露しちゃうっ。
[ロックが外れ、扉が開く。
傘を閉じ、体についた雪を払って研究所の中へ]
あーあ、メンテついでに外装も新素材にしてくれないかなぁ。いっそ身長とかもぐーっと伸ばしてもらっちゃったりして。そうよ、ルリだってハートはもうティーンエージャーなんだからぼでぃらいんも、もっと、こう!
院に戻ったら、
『おや、ルリちゃん、こんなに大人っぽくなって…!子守ロボにしておくのはもったいない。是非とも私のパートナーになって共にこの孤児院を支えてくれないかね?』
…だなーんて言われちゃったりしてー!言われちゃったりしてー!
いやですわ院長様、ルリはずかしいですー!
[頬に手を当て、顔を赤くして騒いでいる。]
いけないいけない、ルリったらまたヒートしちゃったよー。
最近熱暴走しやすくて困っちゃう。
早くメンテ済ませないと。
[雪中で冷えてしまっていた躯体が程よい温度になっている事を確認して]
…とりあえず暖まったから良しってことにしておこう。そうしようっ。
さーて。今回のメンテはどれくらい集まるのかなー♪
こーんにーちはー♪ルリがただいま着きましたよー♪
[歌いながら、研究施設の廊下をスキップで歩いていく]
[廊下の待合椅子へ、ベージュの鞄とオフホワイトのヴァイオリンケースを置き、大福を頬張りながら窓に顔を近づけた。
曇る窓に指先を這わせ渦を巻く]
横殴り……
[雪の様子に溜め息を吐いてから、二つ目の大福を口に運んだ]
んー?早速誰かさん発見ー!
こんにちはー……って、ふえぇぇぇ!?オカメ顔!?
[駆け寄ると突然振り向かれ。膨らんだ顔を見て思考回路が一瞬パニックになるが、すぐ落ち着きを取り戻して]
あー、何か食べてるー。
いいなー、いいなー!
…それ、おいしい?
ルリもね、旧式だけど味覚センサーも、食物摂取機能もあるの。
おいしいものは、ちゃんとおいしいってわかるのよ。甘いものは正義!
[言いながらじーーーーっと、大福を頬張る相手を見つめている*]
[カクカクと動くのは、ルリやハツネよりも旧式だからなのもあるが、しばらく起動しないまま放置されていたので間接の油が切れかけているせいもある。]
[背筋をぐいっと伸ばし、立ち上がると、目の高さにある向かい側の壁の窓の外を見る事ができた。]
雪…………?
[さきほどの電子音ではなく、20代の女性の声でつぶやき、カクリと首を傾げた。]
[標準時を受信し、体内時計を合わせる。その差は]
180日と12時間15分08秒 ……丁度半年、停止していたのかな。
[ふしゅ][口から溜息のような排気をし、室内をくるりと見回してから、廊下へと出ていく。]
[大福を食べるハツネと、それをほしがっているルリを見つけて、こんにちは、と挨拶をした。]
ふふ。二人とも、メンテナンスで来たの? 研究員は誰もいないのかしら?
[ゆるく顔を緩め、プログラムされた営業スマイルを張り付けた。]
大福、もしよかったら私にもいただけるかしら?
[ルリの隣で、ハツネが食べる大福を羨ましげに眺めた*]
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