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― 自家用車内→ ―
[助手席から外を眺めていた。
傍目には何も変わらない腹部を時折なでる]
鬼さん、どちら?
[神社の手前で降車し、石段を登っていく]
頭痛はもう大丈夫なんですか?
[見えたフユキの背中に問いかけた]
あの子が消えてる時点で
終わってないって言ってるようなもんだよね。
[そこで思い至る]
……嘘をついてるってこと?
あのふたりが?
[浮かぶのはユウキとヒナの顔]
だけど、そうなると"鬼"はふたりいるってこと?
……いや、そうなるとあのふたりが正しくて
他に"鬼"がいるのかもしれない……。
[蝉時雨の中、様々な考えが浮かんでは消える**]
かみさま おねがいが あるんです
(もう てつだいは できないけど)
ぼくのこと みんなが わすれるように
(いいでしょう これだけ てつだったのだから)
(いいでしょう ぼくは もう あのせかいには もどらないから)
おもいだして かなしくならないように
(いっしょに あそんだあのこたちが なかないように)
…。
……。
シンヤ…?
[ふと感じた気配に、手にした銃ごと振り向いた。
ひとがまともに観察すれば、その銃が的屋のコルク銃であることは知れるだろうが]
[眼差しは、鬼ごっこして遊んだ幼い頃とかわらない]
[くらり。視界が歪んで、意識が遠のく。しかしほどなく変わり映えのない屋台の並ぶ祭りの景色がもどってくる]
また、誰か来たの?
[呆けた表情で呟いて、視界の隅に少年たちの姿を捉えたような*]
[境内の砂利を踏み、フユキ達に歩み寄る]
…シンヤさんが消えて…あの人が鬼だったのなら、もう、神隠しは起こらないと思っていました。
今朝、占いで見えたのは、誰かに連れられて行く、リウさんの姿。
[もう隠す必要のない手紙を、広げてみせる。『誰が鬼だか、当ててごらん』**]
まだ…鬼は、います。
成る程。考えられる事は
書かれている人といない人には違いがある
其れを書いている誰かが他に。隠したのはその誰か
ヒナさんが言っていた事
シンヤは、人では無い者
其の通りなのかも知れない
其の手紙を書いたのは恐らく人間じゃあ無いんだろう
残っているのは、4人
…やあ、ヒナさん リウさんが?そうか…
……
そうだろうね、まだ鬼は居る
さて それは、*誰だろうね*
「とまっちゃだめ」
[制止する声に引き止められ、
気づけばまた年回りの違う八月の日。
祭りの賑わいが耳を掠める。]
…また増えた、のか?
[誰からともなくはじめたような子ども遊び。
害虫と看做され、息絶える筈の蝶がひらひらと舞う。
費やす代償は、僅かな時間の変わりに――*]
誰が鬼だか当てて欲しいってことですかね。
[ヒナの手元を一瞥してから、自分の手紙を破って紙ふぶきを舞い散らす]
当てられるかもしれませんね。
もう、三択まで来たんですから。
それとも、大昔のように本当の生贄を捧げて神様に乞いましょうか。
五穀豊穣、無病息災、無事の帰宅。
おかえりなさい、あたたかいうちへ。
[チョウのように風に舞う白い紙片。
合間合間に、終わらない夏祭りの景色が*チラつく*]
(まった?なにを?…あ、これか?)
[シンヤの視線から焦りの意を汲めば]
にひひひひ、手をあげろ―― って、冗談。
ほれ、偽物、玩具だって。
ちょっと射的ゲームでもして気晴らしをと思ってね。
[銃口を彼の額へと軽く当てて触感を伝え]
にしても、おまえも神様に連れてこられちまったのか?
……だらしねぇな。
[勝手を言い、的屋の台上の達磨へ向かう
引き金を引いた]
ちっ 外したか*
[ふと気がつけば、どれだけの時がたっていただろうか。
何かに気がついたように、頭を不意に上げた。ゆっくりと、何かを探すように、歩き出す。
程なく歩けば、銃らしきものを持ったムカイと、シンヤの姿が見えた]
ムカイ君?!あ、おもちゃ…よかった。
[2人の元に駆け寄ると、シンヤの方を向いた。眼差しはシンヤではないものを見つめている**]
シンヤ君……かみさま……
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