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[居間に戻り、ソファに身を沈め……視線を巡らす。ここに来たのは、ほんの数日前だというのに。その頃は、まだたくさんの人がいたというのに]
……ッ。
[大切な人たちの事が、頭に甦る]
[ウルスラと初めて会ったのは、資料館だった。きれいなひとだな、と思った。気が付くと、無意識のうちに彼女を目で追っていた。共に食事を取る事も多くなった]
[言葉の少ない彼女であったけれども、それがとても楽で、幸せだった]
[それが好意であると気づいたのは、皮肉にも屋敷に来てから――彼女がヴァルテリを刺そうとした時]
[――ヴァルテリは人狼だった。もし、あの時――]
[自分が止めずにいたら、彼女は死なずに済んだのだろうか――]
………。
[いや、と首を振る。そんな仮定をした所で、何の意味があるだろう。きっと、止められなかった自分を悔やみ続けただろう]
[自分がこの村に来て、最初に知り合ったのがマティアスだ。自分で漬けた、と塩漬けのニシンを持ってきてくれた]
[村に馴染めないでいた自分を、収穫祭に誘ってくれたのもマティアス]
[上手く言葉を伝えるのが苦手なのだということは、すぐに分かった。それは、自分も同じだから]
[不器用で真っ直ぐで純粋で。自分では否定するけれど、気が優しい。一緒にいると、ゆっくりとした時間が流れていくのを感じた]
[村の人たちは、何で一緒にいるのかなんて不思議がっていたけれど]
[居心地が良かったから、としか言いようが無かった]
[ニルスに間に入ってもらいながら、少しづつ、文字を教えていった。自分の言葉も、知ってもらいたかったから]
………。
[もし、ふたりが今の自分を見たら、何て言うだろう]
………。
[彼は、深く息をついた]
[そのまま、ずるずるとソファに横たわり、ゆっくりと、目を閉じた――]
[少女の姿を見て、彼は口元を緩める。
何処にいるのか、探すのは容易かった]
アイノ。
[彼女の反応の有無は、彼にとって意味のないもの。
笑う顔のまま、そっと少女の頬に手を伸ばす。
拒絶されたのなら、それに逆らうこともない。
享受されたのなら、頬を包み、一度撫でてゆく。]
まだ、夢が続いて欲しかった?
わかっているんだろうに。
君は愚かで、可愛いね。
君の夢を覚ますには何をすればいいんだっけ。
人狼を、殺すんだろう。
君にとっての、うそつきは、誰?
[笑い混じりに問いかける言葉、
一度区切って、その耳元に語る言葉]
[そうして、何事もないように、彼は手を差し出した**]
おいでアイノ。
壊れた君の"現実"を、新しいもので埋め尽くしてしまおう。
君も、僕も、人間も、人狼も、
お伽噺はもう全部、死んで、消えてなくなるんだんだからね。
[ニルスは、人狼としての姿ではなく、人間の老人の姿で死したヴァルテリの死体を見下ろしていた。
その姿は死体を観察する風でもあり、死者を悼むようでもあり、はたから見れば本心を測ることは出来ないものだろう。
事実、ニルスの心中に去来するものは何とも言えない複雑な形をしていた。]
……人狼といえども血は紅く、死する時は人の姿か。
何とも皮肉なものだ。
[胸の内にある複雑なものを押し隠すかのように、ニルスは眼鏡のブリッジを押し上げる。
次いで、ユノラフの亡骸の傍に膝をつき、血溜まりの中から首飾りを手に取る。]
……すまなかった。
[護れなかったものは、途方もなく多い。
声に混じる悲痛な色もそのままに、クレストが去った後もニルスはその場から動くことはなかった。]
[それから、屋敷の扉が開放されるまで、さほどの時間は用しなかった。
屋敷の中の様子は、長老の使いの者に外側から見張られていたのだ。
打ち付けられた扉が数人がかりで壊され、屋敷の中に久々に明るい日の光が差し込む。
それは、収穫祭の日のこと。
開かれた扉からまず屋敷の中へと入り込んだのは、夜から始まる収穫祭の最後の準備を行っている、村の賑わいだった。]
[物音に、ニルスはゆっくりと顔を上げる。
手にはユノラフの首飾りを握ったまま。
屋敷の中へと足を踏み入れ、居間の惨状に眉を顰める村の青年たちに視線を向け、ニルスは血に汚れた手や服を隠そうともせずゆっくりと立ち上がる。
口許には、形だけの笑みを浮かべて。]
長老殿に、汚れ仕事は終わった、と伝えたまえ。
ああ、それと……自分の星詠みが如何に素晴らしいものであったか、御自身の目で確かめては如何です?とも、ね。
[精一杯の嫌味を含めて、ニルスは青年たちを笑っていない目で見据える。
怯む彼らに対して、ニルスは小さく溜息をついた。]
― 居間 ―
[手当てしようにも。
もう、包帯も薬もないことを悟った]
クレスト……
[目を閉じたクレストの前に、佇む]
[触れようとした手は、透ける。
見えていない、聞こえていない]
[ はい、かいいえ、か。首を振るだけで済む。
そこから始まった、受け応え。
梟の木細工を貰った。
勉強した字で、御礼の手紙を書いて送った。
ニルスには、これでいいかとそわそわしながら手紙を添削してもらった。
二人で初めていったお祭り。
まだ早いと周囲には言われながら、ユノラフに進められるがままに酒を知った。
魚を持っていくのが楽しみになった。友が手に豆をつくって育てた野菜を受け取るのが楽しかった。ちゃんと出来たと自慢げに目を輝かせる友の顔を見るのが好きだった]
[生まれるがまま朽ち果てると思った、田舎の村暮らし。
一人遅く、取り残されてゆく。抱いていた覚悟。
それが変化したのは。
当たり前だと思っていたことに、いちいち新鮮に、驚いたり、笑ったりする、彼がいたからだ]
クレスト。
お前が、この村に、来なければ…
おれは、つまらないまま、くたばってた。
お前は、生き続けて、くれ
おれの人生の中で、かけがえのない
大事な、友だから!
こんなことで、失われ、ないでくれ…!
[イェンニから、こういう時、どう祈ればいいか聞いておけばよかったという後悔。
ただ、動かぬ彼の前で、両手を合わせて、こっちに来るな、と、何度も何度も口の中で繰り返した**]
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