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― 祭り会場の片隅・救護テント ―
[村長の隣でミネラル麦茶を飲んでいるだけの仕事中、人ごみの中の一点を凝視した。
血の気が引き背中がざわつくのを感じる]
オトハさん?
[スカートのポケットを握ると、中で手紙がくしゃりと音を立てた。
取り消し線の隣、オトハの名の横に『シロ』と書かれた手紙が*]
[今年もまた祭りの日がやってきた。そして届いた手紙には、綺麗な赤で消された、ムカイとオトハの名前]
今年も手紙がやってきたってことは、今年も誰か消えるのかな…
[軽く首を振って、手紙を懐に仕舞いこむ]
お祭りにでも行こうかな。誰か居るかもしれないし。
[鼻緒だけ新しくした下駄を履いて外に向かう。足元には綺麗な赤]
そう、ですか。貴女がその…
しかし私に能力を使ったとなると、さぞかし先祖に…
いえ、こっちの話ですよ。
[苦笑交じりに微笑み]
貴女が知りえた事実を口外するもしないも。
貴女の選択ですからおまかせします。
ただ――
[ヒナの質素な装いに目を細めて]
「化粧」は「けわい」。身だしなみを指す言葉です。
ですのでもう少し歳相応季節相応に。
花を添えてみては如何ですか?
そう、お姑さんに気付かれない*程度に、ね?*
だ
れ
に
し
よ
う
か
な
…?
『ムーカイくん あーそびーましょ』
[カラリ コロリと 下駄の音
聞いたのは さて だぁれ?
向かった先は さてどこだろう]
『おーにごっこすーるひーと
こーのゆーびとーまれ』
ああ、オトハもかい?
[下駄の音に笑い声が混じる。
*今日はね、僕が鬼なんだよ*]
― 自宅 ―
[ガリガリガリガリ][ピタ]
駄目だ
[かしかしと頭をかいて、手紙を見る。]
今年もだ、今年も!!!
アレから一年、探したが手掛かりすらない!ムカイん所のも消えたらしいじゃないか、専らの騒ぎだ!
一緒に消えたってのは、確か
…………
[眉を寄せた後、フンと鼻を鳴らした。]
まあいいさ、今年もコレが、探す機会なんだろう?
[机を離れ立ち上がった時に感じたのは、軽い頭痛。また眉を寄せながらも、手紙を持つと、*祭へと向かう*]
[からん ころん]
『からん ころん』
[夏祭り会場へ向かう道、今年も変わらず藍染めの着物姿の少年。
くすりと笑ってしまって、あわてて口元を隠す。ゆっくり表情を鎮めた]
しかし本当に、これ、誰が書いているんでしょう?
[今年も送られてきた手紙で顔を仰ぐ、赤線で消された名前は3人分。想像することは一つしかない]
今年も神隠し……
神隠し。
…かくれんぼ。
……鬼はだぁれだ。
[手紙に並ぶ名前を繰り返し]
あ、リウさん!
……その様子だと、またこれ、来たんですね。
[手紙を振って、困ったように笑う]
オトハさん?気のせいじゃないのかなあ…
って、デートなんてそんな!相手もいないんだし。彼氏の一人位欲しいんだけどね…アンちゃん?
[かすれた声に驚いてそちらを見るが、何も見えなかった**]
見つけて……仮に誘拐犯がいたとして、見つけてどうするつもりですか?
[フユキの勢いに息を飲み、ミナツを見やる]
何度も言ってる通り、私には何も心当たりはありません。
[冷静な顔で、『シロ』と書かれた手紙を*掲げはする*]
ん?……あ、シンヤ!
良かった、あのね…あ。その、手紙は。
…えぇ、きたわ。
やっぱりシンヤの所にも送られてきてたのね。
…ねぇ、シンヤはミナツ達にもう会った?
私、今日はまだシンヤ以外に会えていないの。
シンヤもまだ、なら。一緒に探しにいってくれない?
……また誰かいなくなってたら、いやだから。顔みえれば、安心だし。
―祭り会場―
[辺りを注意深く見回しながら、現れる。唇にのせた控えめな紅色は、化粧師の手になるもの。
救護テントの周辺に、手紙に名の記された人々を見つけ、足を速めて近づいた]
どうなさったんですか、フユキ先生?ユウキ先生と、何か…
…「誘拐犯」を、「見つける」?
[内容を聞き取ると、表情をこわばらせた]
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