情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
恐らくですが狼使いがひとり亡くなってます。
でもカウコは…―――違うと思います。
こんな状況で僕の言葉を信じ守ってくれると…
………彼は亡くなったんですか?
[問いかける声は掠れて、沈む眠りの深くで感じた片鱗を思い返す。まじないの為にアルマウェルから貰い受けた狼の毛を呑んだから、狼使いの死は幽かながら感じられたけれど、未熟なまじないでは他の事までわかりはしない]
…ラウリ…―――
[カウコの所在へ流れかける思考を留め、あげられたもう一人の名を紡ぐ。彼かも知れず彼でないかも知れない定かではない死の気配―――思索はアルマウェルの問いに途切れた]
[数を減らした瞳は、イェンニの感じる赤を
果たして減じさせたか倍加させたか――今は知らず]
…"49"。
さすがにもう聞こえぬかね?
[声をかける間にも、妹分はまた鉈を使い出して。
胴を斜めに鋸引くに似た刃の立て方へ目を細める。]
イェンニもそれも…
あやつられてなどいないよ。
お前も、そうだといいな。
エンジンの音が聞こえぬのなら、
そう悪くはないのかもしれんか。
何故に聞きたくなかったのだかな。
…これと関係はあるのだかな。
[…つ、とマティアスの喉を真横へと辿る。
彼自身には見えぬのだろうそれはロープの痕。]
ではな。お前…早く見つけてもらえよ。
まだお前だとわかるうちにな。
………アルマウェル…
僕はもしかしたら最初から…
あの人ではないかと思っていたのかも知れません。
でも黙っていました。
ただの憶測に過ぎませんでしたから。
[ぽつと名を紡いで訥々と語る言葉は告白めくけれど、憶測以上の理由は語らない。吹雪く夜からアルマウェルへ向き直り、眼鏡の奥の眼差しを細めた]
でも残念ながらたぶん間違いないんです。
―――…白い蛇を連れたあの人です。
守って。長老は仰っていた。
暴虐を僅かに阻む者がいると。
[カウコがそうなのかもしれないとは、言外に]
判らない。無事であるのか、そうでないのか。
ただ……暫く姿を見ていない。
故に。あるいは。
[推測も、言い切りはせず]
……
[無言のまま、レイヨの面を見据えた]
[――その場へ残す人々は、まだ生きている。
誰かがその光景を見つけるときも或いは、微かに。
意味在る話を訊くことは最早、どちらにも出来ない。
イェンニは恍惚と鬱屈と安堵とを抱える面持ちで、
右の眼窩から血とそうでないものを垂らしながら
ふらふらと――やがて何処かへ姿を消すのだろう。
マティアスの遠のく意識には、相変わらず絶えず
うるる、ぐるると仔犬の唸り声が籠って聞こえ…
まるで遠き日のエンジン音に追いたてられるようか*]
……トゥーリッキか。
[ぼかされたその名を、はっきりと紡ぐ。呟きではない声は、使者然として、よく響いた]
……
それが真実たらんと言うのならば、求めん。
新たな死が齎される前に、その身を。
既に齎されたなら、その結果をも。
[告げられた人物について、感情めいたものを口にする事はなく。するべき事を確認するように言っては、果てない白き野に遠く目を向けた]
………そうかも知れません…
[憶測の域は出ずもアルマウェルの言葉を否定はせずに、カウコの所在を想う。投げつけた言葉の効力など無に等しく、彼の安否もラウリの消息も今はわかりはしない。
確認のためなのか紡がれるトゥーリッキの名に、一度は蹴り落とされた車椅子に座す求道者は沈黙で肯定を示す。使者として言葉を紡ぐアルマウェルへ向き直り、今はもう浴びた血に塗れぬ姿を見上げる]
あの人は言ってました。
今回の件と関係するのかはわかりませんが…
人がトナカイに病を伝染しているのだと。
…貴方もあの人も僕にはさっぱりわかりません。
……トゥーリッキは。
ウルスラを殺した事を憎むと言っていた。
[トナカイ。病。レイヨから伝えられるトゥーリッキの話に、マティアスの小屋にてかけられた言葉を告げた。続いた声には、レイヨに顔を向け直し]
そうか。……それで良いのだろう。
トゥーリッキが狼遣いだというならば。
私だって。己からしてさえ模糊たる存在だ。
理解など、せずとも良い。
すべきではないか。どちらでも同じ事だ。
………そうですか…
[トゥーリッキがアルマウェルへ向けた言葉を聞けばまた考え込み、いつもの癖で眼鏡をはずしつるに歯を立てる。続けられた言葉に注意は紅い彼へ戻り、滲み霞む姿を捉えてから眼鏡をかけ直した]
そうかも知れません。
それでもお話を聞きたいとは思います。
…ひとつお訊ねしたいのですが。
[キィ…―――アルマウェルを促すともなく車椅子は軋み、長老のテントへ向かう素振りを見せる。報せを届けてもらうだけなら彼に任せども、カウコやラウリの消息が届いているなら、彼にまた報せに走ってもらう手間のないように]
―――忘れたい事はありますか?
[尋ねたいと言うレイヨに、その車椅子が軋み動くのを見やりながら、続けられるのを黙って待った。問い掛けられた内容に、少しく目を伏せて]
……死を。
[返した言葉は、ごく短く。ウルスラを殺した後に語った話をなぞるように]
忘れずとも。薄らいだならば。
そう、いつも考える。
[一度、手袋をした掌を見つめてから。レイヨに先んずるようにして、長老のテントに向かい、歩き出した。テントに辿り着くまでは、無言のままでいたかもしれない**]
…―――、………
[死の淵へと深く眠り感じる求道者が抱くものと、記憶を留め続け忘却の術を持たぬアルマウェルが、そこに見出すものは違う。紅く痛ましい暴虐も、不在がもたらす―――あるいは肉体の持つ熱そのものの喪失も、「死」そのものではない。
彼の視線を追いウルスラを刺したナイフを握っていた掌を見て、誰にでも必ず訪れる静かな死と言う隣人は残酷なのだと…―――死を―――アルマウェルの言葉を受け、彼に向く眼差しは複雑な色を浮かべ細めた。
キィキィキィ…―――促されるままに車椅子は軋む音を立てて、吹雪の中を動き出す。冷たいを通り越して痛みすら感じそうな吹雪の中で互いに口を開かず、どれくらいの距離を進んだか、テントはもう近い。
霞む視界の向こうにマティアスとイェンニの姿があり、吹雪く暴風に紛れ子犬の唸り声も聞こえるか。惨劇の気配は近くそこには未だ死はなくも、残酷な隣人は確かに彼らの傍にあった]
………死は僕や貴方の傍にも…
それでも貴方は確かに生きてます。
貴方が死と付き合う術を見つけられるといい。
…………
[訥々と語る間も惨劇の場へ近づいていき、イェンニの行動に前髪に隠れる眉を顰める。アルマウェルは彼女を止めただろうか、辺りは赤黒く中心には二人の姿。
倒れるマティアスの傍で唸る子犬の口元は新たな人の気配に顔をあげ、血に濡れた口を開き吼える折に紅い飛沫が舞う。無事を確かめるために声をかけ、惨状を更に思い知る事すら躊躇われた]
………マティアス…
貴方の犬ですか。
人の味を覚えてしまったんですね。
[答えぬマティアスへなのだか訥々と零し、胸元から容器に入った丸薬を取り出すのは、先に車椅子の車輪に巻き込まれ開いた傷口から血の滲む指。身を乗り出し子犬の鼻先に差し出して血の臭いに寄り来る紅い鼻先、牙を立てられるのも構わず狭い顎を押し開き、喉奥へ丸薬を押し込んだ。
人であれ目覚める事の難しい薬は、子犬を二度と目覚められぬ深い眠りへ誘う。子犬ながらも獰猛だった唸り声は弱り、自らが喰らった飼い主たる男の傍でぱたりと動かなくなる前に、くうんとひとつないた]
傷の手当を…
[傷を負うイェンニは動ける様子だが、アルマウェルや自分の存在をどう認識しているのか。彼女の浮かべる感情は複雑で、極度の興奮状態ようでも酷く落ち着いているようにも、恍惚としているようにも見えた。
マティアスが息を引き取ったのは、子犬が眠るのとどちらが先だったか、車椅子に座す求道者は彼の死を覗かない。彼女を探すと言っていたトゥーリッキの姿はなく、いつしか彼女の姿もふらりと*消えているだろう*]
―― 回想/女たちの、秋の仕事 ――
[冬を越したトナカイは、殖える仔の数を見極めて
春に狩り集め、屠殺する。夏の間、湿った涼風に晒し
生干しにした毛皮を秋になめす作業は大切な仕事。]
…口と手が、同時に且つ至極滑らかに動くのは
お前の特技だがそれでは力が入らない、イェンニ。
[水分の程よく抜けた毛皮の裏を、ナイフ状の道具で
削いでいく。ジジッ、ジジッと皮から固い血糊や
脂肪片が剥がれる音。イェンニは、こびりつく赤が
瑞々しいそれでないことへと頻りに毒づいていた。]
女屠殺人になりたければ、今鍛えておくことだよ。
[――この仕事は、手首の力と握力がものを言う。
腕の力に頼っては、せっかくの皮は容易く裂けて
台無しになってしまう。蛇遣いは、自身もいまだ
熟練には至らぬなりに、イェンニへと手本を示す。]
尤も、その場で喰えぬ屠殺など、
さぞや腹が減ることだとは思うがな…
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了