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けはっ。
やっぱりおとり捜査には、一般人が適任なんだよ。
ははっ、お姉さんに怒られそう。
ゲンちゃん、どこ?ごめん、目が霞んで、見えない……や。
あれ、言ってなかったかな、アンと僕のこと。まあ、いいか。
僕らの両親はとある会社の社長だった。でもある日、突然死んじゃった。
死因は不明。でも、警察は何もしてくれなかった。科捜研だっけ?ドラマとは全然違ったね。
それで、以前世話になった興信所に頼んで、調べたんだ。そしたらね。
パパとママは、副社長に毒殺された……んだって。調査結果にはそう書いてあったよ。
パパたちの仇……副社長を恨んだよ。でもね。実際に手を下したのは彼じゃない。彼に雇われた殺し屋……。人を殺すのを生業に、お金を稼いでのうのうと暮らしてる。そんな奴等がいるから、頼む人が出てくるんだ。
それでね、アンと僕が依頼したんだ。毒殺請負人を雇って、山荘におびき寄せて奴等を捕まえようって。
パパとママが遺してくれたお金……といっても、ほとんどが取られちゃったけど、それを全額つぎ込んだよ。殺して欲しい人がいるからって。
ある程度特定できた請負人の身内に、出した手紙が数十通。情報屋に手を回して、警察の関係者も呼んでさ。
それでね、ゲンちゃんは……あの。うん。
ほとんど無関係なんだけど。言いにくいな。
アンがね。
一目惚れ、なんだって。それで、死ぬ前に一度お話したかったんだって。
怒った?
ああ、もう迎えに来たのかい、アン。
どうしたの?怒ってる?
そっか、内緒にしといて、って約束だった……っッ。ごめん。
うん。また一緒に暮らそうよ。
パパとママと……アンと。
どうしましたー?
[長い長い廊下を歩く途中、足を止めたアンを振り返る]
急ぐと転びますよー……
[ひかれるように走り出したアンの背中に言うが、既に遠い。
壁に手を添え、薄暗い廊下を再び歩き出した。
*当て所も無く*]
[歩む足に、何かがかつんとぶつかる]
んー?
[次から次へと、ざらざらと音がして流れゆく気配。
しゃがみこんで、おもむろに手を伸ばした]
……おじさま。
[針の傷痕残る指先は、黒い狼のカプセルトイを*すくった*]
……俺は此処にいる。
[レンに、その腕をしっかりと掴みながら応えた]
アンさんと……家族だった、のか。
[アンとの関係は、露にされた姿を見た事で予想ができていた。だが、続けて語られる内容は、全て考えもしていなかったもので]
……
[無言のまま、話を聞いていた。
復讐など――頭に過ぎったお決まりの台詞も、口にする事はできなかった。レン達の悲しみが、憎しみが、苦しみが、辛い決意が、わかったから。無実の者も巻き込む、正しいとは言えない行動だろうとは思いながらも、己が似たような境遇に陥ったとして、復讐の念に囚われないという自信はなかったから。
それ故に、肯定も否定も、発する事はなく]
……そうか。
[短く、ただ一言だけ、相槌を打った。
男は眉を僅かに下げて、微かに、しかし確かに悲しげな、やるせなげな表情をしていただろう]
え、……
[思いに暮れる中で少しだけ浮かんだ疑問は、すぐにレンから説明された。ぱちくりと]
一目惚れ、って。マジで?
てっきり間違いかなんかで呼ばれたのかと。
[驚きから、思わずいつものような調子で言い]
いや、怒りはしないって。……ん、や。
巻き込まれたってのは、怒るべきなんだろうけど……
なんつーか……うん。
まあ、俺は超イケメンだからな。……なーんて。
こんなんでがっかりされたかもなあ。
折角若いのに。……若かったのに。……
[冗談らしい言葉に続けたのは、男にはあまり似合わないだろう自虐の欠片と、沈んだ呟き。俯いて、拳を握り]
……レン?
レン。おい、……大丈夫か?
……って、俺もあんま、大丈夫じゃないかもだけど……
[虚空に――そこに死んだはずのアンがいるかのように――話しかけるレンを見て、はたと、困ったように問い掛けてから、また咳き込んだ。
男の声に、応える声はあったか。いつの間にか足元に来ていた猫が、にゃあ、と小さな声で鳴いた*]
ああ、アン。そっちにいたんだ。
あはは……ゲンちゃん、怒ってないって。よかった。
でもさ、やっぱりゲンちゃんってボケ担当だと思うんだよ。
[ミケは首を傾けてから、レンの手にすりよって]
え、俺以外だったら即懐くとか。なにそれショック。
マジで、出島、マジデジマ、な感じだし。
[その様子を見ながら、冗談らしく言ったのには、この状況を紛らすためというのもあったかもしれない]
だから俺はボケじゃないっての。
ってか……何だよ、どうしたんだよ。
そこに誰か……――アンが、いるのか?
[呟くように問いかけ――レンが血を吐いたのを見て、はっとした。傍らに片膝をついて座り]
大丈夫……じゃ、ないよな……
どうしたら……
ち、待ってろ、とりあえず、水取ってくるからな!
[どうするべきかもわからず。ただ大声で呼びかけて、レンの側を離れた。駆ける足取りは少々重たげに]
[やがて紙コップを二つ手にして戻ってくる。その片方には水が。片方には、ダンケの作った甘酒が。
ふいに、ダンケの遺した言葉と、甘いのが好きだと言っていたレンの言葉とを、思い出した故に。もしかしたら毒なのかもしれないとは考えたし――仇である相手の酒など、飲まないかとも思ったが。
それでも。水にしても、甘酒にしても、望むものを与えてやりたいという思いから]
……ほら、
[少しの眩暈を覚えながらも。レンの手の近くに紙コップを並べて置き、その側に座って*]
―― いもうとのむくろ抱く部屋 ――
[…灼けていく。
からだの内側から、爛れていく。
薬剤で刺激された体内の微生物は、
臓腑が沸き立つほどに毒素を吐く。
喘ぐ青年の口元から溢れた煙と血泡は、どす黒い。
胸が破れ、腐蝕した体液が流れ出る頃には、
毒殺請負人たる青年はすでに事切れていた。]
[血肉の融けた液体は、ぶくりと黒く泡立つが
すぐに同じいろの煙となって立ち昇り――…
惨劇重なる山荘の床や、
既に冷たいプレーチェの骸を汚すことはない。]
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