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[女の声は今は、風の音と今は同義、女へ返事はない。
少女の前に跪き、たどたどしくも、指先で掌で片足に触れ、そっと持ち上げた。]
…―――。
[少女の足に、口づける。
少女の双眸の色を見る事は出来ない。]
[頭は自重に任せるように垂れさせ、少女を見下ろす格好に。女の視線を皮膚で感じる。]
―――
[やはり言葉は出ないまま。胸中に浮かび上がる綯い交ぜになったものは、自分でも正確に把握は出来なかった。だから、]
可哀相だ……。
[正解と不正解を確かめるように音にした。]
[少女の足へと口接けを捧げる姿は、まるで聖人に額づく殉教者のそれ。
敬虔な仕種にも見えるその姿に、どこか禍々しいものを感じてふるりと身を震わせた]
…………。
[チリ…と、金属の乾いた音が耳元で響く。
風に煽られた耳飾りの音だと気付いたのは、少し経ってから]
ドロテア。
私はもう行くわ。あんたの使ってた部屋も処分しなくちゃいけないし。
……天国で、また逢いましょう?
[もっとも自分が天国へ行けるならば、だけれど。
そう胸の裡だけで呟いて、
殉教者と聖女の二人に背を向けると、塒としている宿へと戻っていく**]
― 壊れかけた ビル街 ―
[地盤ごと歪む舗装に、積もる瓦礫とガラス片。
中ほどの数階層が剥き出しの鉄骨のみとなって、
悩ましく地上へ項垂れる態のファッションビル。]
[かつては威容を誇ったビル街も、
いまでは常に崩落の危険を伴う。
災厄を僅かにも逞しく生き延びた人々でさえ、
物資を漁ろうとした先人たちが建物の倒壊に
巻き込まれるのを幾度か目の当たりにした後は
――繁栄の記憶もいろ濃いその地を捨てた。]
[穴の開いた壁面から、乾いた赤い日差しが差し込んでいる。
吹き込む風も乾いており、風景は見るものに閑散とした印象しか齎さない。
夕暮れ時のようではあるが、思えばいつからか、太陽の色はずっとこんな調子で赤いままで、朝も夕も無いようだ。]
―――ここへ――ば、――を…
[かつてはガラスが外壁一面を形成していたが今はその骨格を残すのみ。人の消えた街並を見下ろす高さのこの建物が、かつて街のシンボルとして栄えていた事を記憶しているものは最早少ない。]
―せると……―――はまだ――――ない
[割れた窓を通り抜ける風が、男の呟きを掻き消す。]
―砂塵の町―
[吹き抜ける風に乗り、天を舞う白い影。
それは手頃な高さの建物を見付けると、ふわりと身を翻しその屋根に降り立った。
腰を掛け、ぶらぶらと両足を揺らしながら見下ろすは、見た目だけなら自身と変わらぬ年頃の少女>>0の姿]
イケニエ、だっけ?
[アハハ、と、笑う声は朗らかとも言える響き]
バッカじゃないの?
そんなんで誰かが救われる訳ないじゃない。
[嘲笑の声は相手に届いただろうか。
どちらにせよ、少女はこちらを振り向くことなく、粛々と己の使命を果たそうとしている]
可っ笑しいなぁ。ニンゲンって。
[少女を見下ろし嗤うその背には、一対の純白の翼があった]
ーどこかの道端ー
[ここは地獄か煉獄か。草木薫る緑の大地と言われたこの土地も、廃墟以外のなにものでもなく、土埃が舞い上がり、生命の存在も希薄である。
そんな時代に相応しくない小太りの少年が一人、うつろな瞳で歩いている。]
にいさま、にいさま、お腹がすきました。
今日の夕食は何ですか?
[160にも満たない背丈に不相応な、小汚い外套をずるずる引きずって歩いている。]
[はてさて、彼の言うにいさまという存在は見当たらない。
そして彼も虚空を見ながら歩き続けている。]
にいさま、にいさま、僕を置いてお出かけなんてずるいです。
僕は、貴方のたからものなんでしょ?
さては、約束を破って僕の出来の悪い「きょうだいしまい」を見に研究所へ行ったのですね。
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