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[静まり返った管理棟の居間、ホズミと共に囲炉裏の脇に座り、お湯を沸かす。こうしていると、世界に自分とホズミしかいないような錯覚に陥り]
このまま時間が止まってしまえばいいのに……
[はっ、僕は何を考えているんだろう、と大きくかぶりを振った]
湖畔でヌイさんは言っていた。ヨシアキ君に呪い殺されるかもしれないって。悪魔祓いされると……
ヨシアキ君は、いったいヌイさんの何を知ってるんだろう
[未だ姿の見えない彼が、居間に現れるのを待っている]
[薬屋は冬樹と話をしたあと、またふらふらと歩いていた。
誰も借りていないはずの家屋を見つけると入り、中を伺う。
勿論、どの家も誰もいない。昨日も、今日も、彼が目にした限りでは人がいた気配さえ見つからなかった]
一人で行動するな、と言ったのは私だったのだが。
[丸きりの徒労に、自嘲気味に呟く。
やがて薬屋は空腹と乾きを思い出して、管理棟へと帰っていく]
[ホズミの手の温かさに不安は遠のく。手を握り返して]
大丈夫ですよ
[根拠のない言葉を紡ぎ、もう少しだけこうしていたいと思いながらも]
探しに行ってみますか?
[管理棟に近寄ると居間のあたりから人間の声が聞こえた。
顔を見ずとも察しはつく。長すぎる休暇の中で誰の声かは大体判るようになっている。冬樹とホズミ。
居間に入ってその二人に会釈する]
……ふむ。仲良しだな。
[手を取り合う二人を見て、なんとなく言った]
[立ち上がろうとする冬樹を見て、ふむ、と呟き]
どこかへ行くところだっただろうか。
ちなみに、他の者は見なかったな。
今朝、冬樹を見て、そして今またここで会った。
そのぐらいだが……まるで姿の見えないものが?
あれ?ここに居るのは薬屋さんとフユキさんとホズミさんだけ?
ヨシアキくん…ううん、他の人たちは?
[薬屋さんが少し気まずそうな顔をしているとか、ホズミさんとフユキさんが手を握り合っている事とか気付かずに、わたしはその場に居た三人に声を掛ける。]
[続くホズミの言葉に要領を得た、というように首肯]
……そうだな。探しに行くか。
[どこか昨日に似た状況に、とくり、と心臓が冷えるのを覚える。がただそれだけを言う]
[ナオの顔を見て、かすかに息を吐き、皆が一様にそうしているのに気づき、ほのかに苦笑する]
いや、ヨシアキも、鈴木も、ヌイも見ていない。
探しにいこうかと話をしていたところだ。
え…?みんな…他の人の姿を見ていないの…?
ロッカさんも、ヌイさんも…ヨシアキ…くんも?
[みんなから聞かされる事実に、わたしの鼓動は早くなる。血の気が引ける感覚がわたしを襲う。]
『ヨシアキくんも…?』
[小さく呟いて眸を閉じた。そうしなければ…不安に透明な雫がぽろぽろと零れ落ちそうになるから。]
[探しに行こうと言うフユキさんと薬屋さんの言葉に、わたしは静かに頷いて]
わたしも…連れて行ってください。
一人で居るのは…こわいから――
[三人の顔をくるりと眺めた。他の三人もきっと無事だと自身に言い聞かせながら。]
[管理人室の扉を開けると、ひんやりとした空気が肌を撫でる]
……!
[息を飲む。そこに横たわる遺体の数は、一人分増えていた。部屋の床には桜の花びらが多数散っている]
[管理人室に横たわるヨシアキを見て驚愕する]
ヨシアキ君?
どうして.....
まだ惨劇は続くというの?
そんな.......
[魂が抜けたようにその場に座りこんだ]
[冬樹の後に続くように管理人室に入る。
半ば覚悟していたかのように、男は溜息を吐く。
ホズミの言葉もどこか遠く、眉根を寄せた。
そして思い出したように、ぽつり口を開く]
鈴木。それにヌイは?
[座り込んだホズミをそっと抱きしめる。言葉は出てこなかった。部屋の中を見回すが鈴木の姿は見当たらない。変わり果てたヨシアキの姿に動揺しているだろうナオとホズミに]
ナオさんとホズミさんは、ここで待っていてください
僕は鈴木さんを探しに外に行ってきます
薬屋さんはどうしますか?
[鈴木の姿を探しに管理棟の外へと足を向ける]
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