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[反撃や逃亡を織り込んだ斬撃は、
失血に長く長く痛苦の微睡みを伴う致命傷。
無い指の付根が蠢くのを見詰め、]
…… 生き肝をくれ。
[誰の声にも応えることなく
エリッキへ"助勢"を*頼んだ*]
[ポケットの中、長い指はそぎ落としたばかりの耳朶の曲線をゆっくりとなぞりあげる]
――その人ならざるもの、も、
喰らえば力を己が身に取り込めるかね?
ああ、……興味があるな。
[振り返る、霧のように細やかに飛沫く赤。
細められた男の目に滲む熱は欲の色]
[血しぶきをあげる僧は、そのうちにどぅっと倒れる。]
ああ、海の肉、そして、ここにも新鮮な肉。
一つは酒につけておきたいものですな。
[そうつぶやきながらも、斧の男がエリッキたる男にかける声に首を傾げ…。]
なぜ、足元へ噴き溜まるのだろうかね。
使命に、信仰に、妄執に…
[僧でありたかった男が死にゆく過程は、
鮮血の滲みる砂のように重く、無限で。]
…陸に在っても、
こうして溺れてしまうというのに。
何も 還す気もないというのに。
[魂は天に、肉は地に。
鳥喰い男が抱いていた信仰に、ひとの意をみる。]
行き場なく、
追い詰められたさいはてだと嘆き俯くのに。
[倒れる男、事切れようとする命。
ぞくりと背筋を走るものと湧き上がる焦燥。
一瞬の後、我に返る]
そういえば、何故、殺しているのかね。
よもやここでまで、職務に忠実であるというわけでもあるまい。
[ずず、と引き摺る重石に手を触れた。はらりと白い甲殻類が剥がれ落ちその下、
錆びた金属の色を覗かせる]
[笑いかけてくる気狂いに、
よくも笑うと学者は薄く眉根を寄せる。
じくりと残る痛みと、もうひとつ。
問うに根拠は何もない]
アレを呼んだのは――、君か?
[呪わしき水底の、絶望。
絶たれるべき望みなどここには何もないのに*]
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