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[甘酸っぱい匂いと周囲から澱んだ匂いがした。]
アンちゃん…?
[唐突に腕を握られるが後ろは振り向かず。]
気分が悪いなら一度外に出るかい?
―――…っ…、
[ジ..ザ....視界に混入し分割した視界の中に見えるのは、アンの視界。]
は…?
[一瞬、思考停止する。ホズミの片目から血のような液体が流れ出している。その意味らしきものが、脳に染み渡る、次の瞬間。ノギは、アンの手を握り引き寄せようとしながら]
ホズミちゃん、あんた…。
[自然、距離が置いた。**]
じゃ 俺、行くよ
[少年は、外へうろつき出す異相の村人たちに
見咎められぬよう身を低くして…役場を出る。
オトハ女史らへ告げる別れはみじかくも重い。]
…隠れる前に 忘れ物を取りに行かなきゃ
[道行きは、村の宗教施設―教誨所―の裏手を
抜けて、旧家たる少年の生家を目指し、辿る。
赤い涙を流す美津保嬢が、再度彼女の弟へ
ギンスイ―彼らの従弟―の行方を訊ねたなら、
戸籍を持たないあの少年が、幽閉されていた
土蔵から逃げ出したままだと聞ける*だろう*]
/*
ホズミは…C狂でいいのかな?
方針。
・今日のおいしいスケール:噛まれ>>溶け
・せっかくだから噛まれてから吊られたい
・溶けるなら明日がいい
オトハ女史が占希望ぽい言動だったので、
今日は深い話をせずに別れています。
・どっかで狙って死ぬ、生存終了はしない
方針という名の希望。言うだけならタダです。
[ノギの視界にはアンと赤い涙を流すホズミの姿があった。
視界ジャックに慣れて居ない為か、ノギの視界ジャックのザッピングはランダムだ。
ノギの視界を分割するように平行して視える他者の視界は移り変わり続ける。
ノギの視界、アンとホズミを中心とした視界の端に映るのは、村民の胡乱な眼差し。幾人もの手に武器が持たれており、]
―― →路地裏 ――
やっぱり、怖いよ……
[使った跡のある金属バッドを抱えて、路地裏に入り込む。
乾いた笑いを一つ。それから息を*潜めた*]
―― 愛妻家ウミの視界 ――
[巻物が開かれる。
紙面には、流麗な文字と迷路のような不可思議な線が現れた]
『おじいさん? 準備出来ましたか?』
[視界は動き、一瞬障子が見え、『今行く』という声が響いた。
急ぐように視線は巻物に戻り、『二宮尊徳』という文字が注視され――]
告げ人 アンは、ここまで読んだ。[栞]
[ザ
ザ――――
その視界の位置は、村役場を遠くに収めるように。
やがて、隣に立つ 誰か を見た。
両の眼から紅い涙を流す、土くれのような色の肌をした人影を]
[ノギはアンとミズホの顔を視界に収めていた。手に獲物持つ村民がいればそれも。アンと共に路地裏へ。]
アンちゃん…。
[アンの双肩に手を置く。]
[―――と、視界ジャックの対象が集会場から変わる。
教誨所の裏手に向けて移動する低い姿勢。抑えた呼吸。]
「…かくれるまえに わすれものをとりにいかなきゃ」
[水の中や布団越しに聞こえたような声。
ノギ自身はギンスイの事を然程知りはしない。
旧家から覗く顔。格子窓越しに見えたギンスイの顔は、感情を顕にしない人形のような顔だとノギは感じていた。
―――少年の名は住民簿になく、其れもまた、この村への不安と疑念を深める一つの要素だった。]
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