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墓碑に……
[ペケレの呟きに返すような呟き。
赤い花や扉より少し離れた位置、それ以上進みもひきもせずに、立ち尽くし]
あかいはな。
墓碑名に。そう――。
[ペケレの言葉にぼんやり頷くだけ。
それしかできない様]
レンの瞬間、そこに…あるですね。
それに意味があるかはわからないけれど。
呟いて、いちどだけカメラに触れた。
[アンというひとの写真がないのは、
少しだけ、残念な心持がしたかもしれない]
[会釈をしながら目の前を通り過ぎた男。ぼうっとする中、それを無意識に目で追って]
男…背の高い……30過ぎ……
[口から紡がれるは、いつかペケレに聞いた特徴。結びつける言葉、名前は。]
テンマ。
[呟いた名前だけが、まるで当たり前のことであるかのようなはっきりとした響き。
こつ、こつと聴こえてきた足音に。誘われるように歩き出す。]
向こうって……どこ。
どこかに行くの?
安らかに、眠っているんじゃないの?
[誰かを責めるような、少しいらだちの混じる口調]
ええダーリン分かってる!
眠ってる……のね……。
[口調はカナメを信じては居ない]
よし、できた!
[そこに描かれていたのは、木々の中に佇むレンの絵。
木漏れ日を浴びながら、空を見上げている。
1本の木にはウグイスが羽を休めている]
……カナメ?
この人は……「大丈夫」なんだ。……よかった。
きおく…。かぎ…。
[「むこう」の世界から響く、
それは、優しさとも残酷さともしれない。
俯いて、ふと、
手のひらを見る白衣の男性に、怪訝な顔をして]
[ぺたり、ペタリと廊下に響く足音。
泥は小さな足型も残す]
“手向ける”ってなぁに?
[人影の手前で足を止め、細めた瞳が人々の顔へ順に向けられる]
[響くテンマの言葉に]
……なるほど、ね。答えのない、曖昧であった理由。
俺は、望んだこともあった。
目覚めてしばらくはそれでもいいって思ってた。
どんな形であっても、世界と結びつくことが全てだと。
けれど、あの絵の世界を見たから。
今は、望まないから。
だから、還っていない。
この形で結びつくことを望まないから。
……だから眠れずに居る、のか。俺も……。
[紡がれる言葉は、心の感じるままに。感じることこそが全て。]
あれ……レン?
どこ行っちゃったんだろ。
[しかし、そこにレンの姿はなく。その姿を探す]
[そこにもうひとつ、声が響く。
「誰かを手向けなさい」と]
――…
[背後で呟かれた名は、確かに自身のもの。
ゆらあり 振り向いた影は、穏やかに笑む。]
ええ。
…レンさん、でしたね。
[先刻は――…と声音は含む。歩む距離はみじかい。
亡霊が導く先には…新しく刻まれた墓碑がふたつ。
供えられた赤い華もふたつ。ふたつの死のかたち。
墓所の前には、やさしい桜色に透ける少女の亡霊が
屈みこんで――呆然と、己の墓碑を眺めて居る。]
[ペケレには、頷いてみせる]
はい。
それは…よかったような、気が、します。
[それからふいと
窓へと視線をそらし、小さくのせた疑問]
二つの花はどうして、咲いてしまったでしょう。
[瞼のうらに蘇る、テンマの扉の青い花]
こんどは、あかいはな…?
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