[出ていくミハイルを見送ってから、もう一人の男へと]
んー。今読んでるのは街で流行っている小説。
ユノラフさんもどう?
女の子に声をかけるとき、話の種にはなると思うよ。
[ポケットを探る姿をじっと見つめていたが、クッキーが出てくれば表情を緩めた]
食べる!
[遠慮は全くなかった]
仕事じゃねえさ。生憎今は閑散期でな……毎日お前さんトコに飲みにいく暇があるのもそれでだよ。
そっちこそ、魔女裁判に掛けられた囚人に酒を振舞う仕事ってんでもないんだろ?ミハエル。
……
[ミハイルだったか、と、一瞬迷う。
人の顔はともかく、名を覚えるのが苦手だ。
酒場の、で、いいかと思い直して肩を竦めた。]
[ユノラフ、クレスト、イルマ。
その名を伝えられても、顔と名が一致するまでに暫しの時間を要したか。」
あいつらもか。
現実味のねえ話だな。
基準ねえ……何か疑われるようなこと、したのか?
俺らとは違って、叩いても埃が出そうにない奴らだが。
…或いは、何かであの姫さんを怒らせたとか。
[さりげなく仲間に加えている辺り、非常に失礼だった。ドロテアに対しても失礼だった。通常営業である。]
俺も、裁判に引っ張られてきたんだよ。
仕事だったら有り難いんだがね。
[エリッキ>>21に答える。
名前を呼ばれ間違えていた気がするが、気にしない事にした。]
…現実味なんて全然ないな。
魔女なんて――なぁ。
[言葉を濁す。]
……少なくとも、あの黒服の女を怒らせた記憶はないな。
[基準の言葉に微かに目を伏せる。
疑われるにも、叩けば埃の出るにも、反応しなかった。]
[クッキーを受け取ると、お行儀悪くその場で齧る]
…ん、固い。けど、美味しい。
[満足げに平らげて、人心地]
ありがと、ユノラフさん。
食事もとれない内に連れてこられたものだから、
お腹空いてたのは本当。
[イルマの声に顔を向けて]
本当にね。食料と水は届けるって言われたけど。
碌な扱いはされないらしい。
この場に居る時点で、そうだろうな。
[分かりきった言葉を投げ掛けたのは自分。
それに律儀に応える酒場の主人に、薄く笑う。]
魔女だぜえ、魔女。
余程、あの女の方が魔女みたいだろうによ。
[そうして、ふと言葉を切る。]
………なあ、酒場の。
無事に戻れると思うか。
[無意識に、一段低くなる声色。]
俺の知る限り、以前ここに連れて来られた者は誰一人戻って来てない。
この先から庭に出られてなあ、たった今そこを見てきたが。
明らかに“何か”行われた形跡があった。
[処刑場になったのではないか、と、暗に。]
―裁判所・回想―
[連行される道すがら、例の女裁判官ともう一人、別の裁判官であろう人物が声を交わしているのをみかけた。決して穏便な様子ではなかったと思う]
…………。
[何も言わず、見つめていた。ただ、見つめていた。
ふと、裁判官達と目があった気がした。けれど話しかけられることはなかったから、それは見間違いかもしれなかった]
[あの女の方が魔女みたいの軽口>>29には笑いかけたものの、続く言葉>>30には笑みを消した。]
…死にたくない。
此処がどういう場所かは、人からの話でも聞いてる。
[だから母は泣き崩れたのだ。]
…戻りたいと、祈っては、いる。
[やはり、目を伏せる。]
空腹で死ぬのと、
満腹になって処刑されるのはどちらがましかな?
…満腹の方がまだいいかも。
[指を舐めつつ、碌でもない二択を思案する]
魔法が使えるなら、今すぐ台所を此処に作るよ。
嗚呼、というか、此処から逃げ出せばいいのか。
[しかし自分は人間なので、とてもそんなことはできそうもない]