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皆ネギさんの知り合いといえども、子供の頃のつきあいだとか最近の関わりとかで幅広そうです。
共通の懐かしいものなんてあるんすかね。うーん、ミステリー。
[面子へ視線を巡らせ、ネギヤを見る。やはり、詳細を語る兆しもない。]
まー、明日になれば分かるんすよね。
[ 庭園へ出るもの、家へ帰るもの。
明日へ持ち越された秘密への対応はそれぞれであり…]
少し長旅で疲れているようです。夕飯時まで、部屋で一休みさせてもらいます。
ふふ、先生の家に泊まるのは、原稿締め切り前以外では初めてですね。
[ 旅行鞄を持ち、男は庭園を見渡せる渡り廊下を行き、離れの一室へと荷物を持ち込んだ]
ネギさん、オレ、泊まっても良い?
この家、部屋数あるから、大丈夫…っすよね。
[明日また来るのも面倒臭いし。この家のベッドの寝心地を久方ぶりに味わってみたい。
そんな図々しい考えの下、許可を求めれば、家主はもぎゅもぎゅしつつ快諾してくれた。]
(…晩飯、何かな?)
[気になって台所を覗いてみたりもした。]
― 別館 ―
[ ネギヤから渡された鍵は『蘭』
木彫りのキープレートはこの館で宿でも始めても違和感がない出来であり]
ネギヤ先生はここを舞台にミステリーの案などを練られているやもしれませんねえ。
[ 宛がわれた寝室は、編集者が出張で利用するような宿ではお目にかかれぬ内装であった]
さて、では明日を楽しみに今日はこちらへ泊まらせていいただくわね。
和室をお借りしてもよいかしら?
お庭が見えるところだと嬉しいのだけれど。
[ネギヤに承諾を得ると、人形を抱いて部屋へと向かった*]
ほらネギっち、あんまり勿体ぶるから皆さん困ってるじゃねえか。
[それぞれの理由で客間を出る者もちらほらと。
それでもネギヤは鷹揚に頷くのみ]
おろ。ゼンちゃん、隅に置けねえなあ。
後は若い人同士で、ってアレかい。
[庭へ出るモミジへ同行を申し出るのを見れば、軽口をたたく]
俺はまあ、多めに休みもらってきたし、明日っつうなら待つけどさ。
ん、なんだい時計屋さん。
[時計を差し出されれば、不思議そうに首を傾げて受け取った]
何で俺?
まあ、いっか。
[あまり深くものを考えない質である。頼まれるままに預かることにした]
― 宛がわれた部屋で ―
[ 荷下ろしをし、部屋を見渡す。
夜はアルコールを進められてもほどほどにしなくては。
持ってきた企画案に不備がないか、男はしばしば見直すのであった。]
それじゃおネギさん、皆さん、まったあした〜。
[ネギヤ家の夕食が、好物のアレであることを知ることもなく、時計屋は時計屋へおねえ走りで*帰って行く*]
[この地方では海の懐中時計と呼ばれる、丸く平たい大ぶりの貝。
半分を刺身に、残りを酒蒸しにする。
冷蔵庫の食材はよりどりみどり。
思う存分腕をふるって、ちょっと豪華な夕食を用意した]
ほい、ネギっち大好物の懐中時計。
ヒナさんのご期待にも添えるといいんだけどな。
あれ、時計屋さん帰っちゃったのか。
この貝の名前で何かネタでもあるかと思ったんだけどなあ。
ま、明日また会えるか。
[ネギヤや残った者たちと夕食を共にし、片付けが済むと『雛菊』の部屋で泊まることになった**]
[応接室は、ネギヤの書いた本や雑誌が並べられた場所でもある]
自分からも懐かしいもの、か。
さすが先生ね。
[目は本をたどりながらも、ほろりと苦笑する]
考えなかったなあ……そんなこと。
[目につくタイトルを手にとっては戻す。
そんな行為は、酒蒸しのいい香りが漂い、ふと開いた本の間からひらりと紙片が落ちるまで続く**]
[紙片を拾う]
……これ。
[掌よりも少し大きな長方形。
時間を経て、赤色が飛んだそれは、懐かしさの代名詞のような、セピア色]
どういうこと?
[紙片に、目を見開いた]
[『懐かしいもの』
みんなが口をそろえて問うほど、それはなぞめいた話ではあったけれど。
『探してみて』
手書きで書き添えられたそれは、不意に浮かぶ、悪戯をしでかす前のネギヤの笑顔を連想させた。
決して悪い物じゃないだろう。そう、どこかで信じていた、彼の書く作品が、そうであったように]
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