[自分は違う、と告げることは誰でもできる。
サヨのことも違う、というのは?]
勘、ってやつ?
経験則、らしいからばかには出来ないけど……
[サヨをじ、と見つめてから、差し出された手をとる。
じわり、体温を感じたら今より少しは安心できるようで。]
――時間、ないね。
[サヨに支えられ立ち上がり、くらい面持ちのままつぶやくと、自身の視線はマシロとナオを往復する。
都合のいいときだけ鵜呑みにして選択の幅を減らそうとするのは卑怯*だろうか*]
同じ穴の、貉ってことかな?
[「かなうまい」。「困る」。
この状況下で選択肢から逃れようと、ど直球な主張をするチカノへ視線を下した。
こんな不安定な状況下で尚、堂々とした姿。
そのストレートな物言いに、私はつい意地悪を仕掛けたくなった。]
解った。チカノに一度、掛けてみよう。
それと、サヨ。どちて坊やについては、私の知識からはみ出したものだし、さすがに今は調べられないな。
…残念ながら電波が届かない。
[お手上げ、と言わんばかりに私は両手を上げ首を傾げた。
徐々に加速を緩める中。
ふわりと浮く、無重力に似た感触に構えるように。
私は体を*強張らせた*]
──!、ちょっ、チカノちゃん?
[身に付けていた黄色い重たげな何かを、アンに向けて投げつけるチカノに、目をむいて。]
アンちゃんが怪我しちゃったら……。
[言いかけて、やめる。]
[異様な姿になっていたアンは、果たしてまだ怪我をしたりできる存在なのだろうか?
いや、アンの怪我云々に関わらず、チカノが随分荒い事をしているのは確かなのだが。]
……え、
チカノちゃんが投げたあれ、あたしが取ってくるの?
もー。だいたい何で投げたのよ。
[追い出されるがどうしたこうしたという話を一瞬忘れて、素で答えて、チカノに膨れてみせる。]
[が、そのふくれっ面も、チカノへのマシロやサヨの反応を目にして、強ばってしまって。]
……。チカノちゃん、あれ、大事なものだったの?
あたしがとってきたら、奢ってくれてもいいぐらい?
[そんな事を口に出すのは、怖さにいたたまれなさが勝ってしまったためか。]