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くそう。
結局誰かを生贄に差し出せってことだろ。
それで他の誰かが襲われてたりしたら、また別の奴ってことだろ。
[おわりが見えない凶行じゃないか、とはき捨てる。
ペッカとアイノ、ラウリのやり取りも聞いてはいるけれど、そちらに反応できるだけの余裕もなく。
ただ――そう、ただ純粋に、町の人じゃないと言う理由だけでラウリはすでに不利だとは、思ってはいたのだった。]
死んだ婆様は、あたしとドリーが、森の奥の小さな家に行ったときに、教えてくれました。
この辺りには昔、人狼というバケモノがいたんだ。
人の姿に化けているから、すぐにはわからない。
どうやって見分ければいいのか、おまえたちにだけ教えてあげるよ。
[そこまで言うと、あとには鼻をすする音。]
…。
[水夫のペッカは、自らの喉元をがりがりと掻く。]
この中に、犯人が――
ビー、あながち的外れでも無ェかもしンねえ。
[やや思い詰めた様子で、ベルンハードへ言うと
――腰の後ろへ片手をやってごそりと探りだす。]
何なら、俺がちっと視てやっても いいし。
[水夫が取り出したのは、古い――旧い、望遠鏡。]
[水夫は...を疑っている。帽子の女性も「やる気」だ。他の二人はわからないけれど、顔なじみを突き出すよりは、旅人のほうがずっとやりやすいだろう。]
っ! だから、僕には理由がない! なんでわざわざ逃げ場のない村を選んで殺さなきゃならないんだ!!
[圧倒的に不利な状況に思わず声を荒げたとき、少女のすすり泣きとかすれた声を聞いた。]
え……?
[ペッカが取り出した古ぼけた望遠鏡を目で追う。]
……そういうのは、ドリーと同じになっちゃう。
[手を伸べて、望遠鏡に触れようとした。]
…
[ペッカは、アイノの告白を遮ったあと――
緩慢な仕草で、背を丸め。
彼女が触れようとした望遠鏡をすいと持ち上げる。]
同じになったら、お前ェが使いナ。
俺が生きてる間は、俺のもンさね。
そういうもンだ。
…ばーさんが言ってたのは。
コレのこと、――だろ。
[語尾を持ち上げずに、アイノの顔を覗き込んだ。]
よく、したろ。
海ン上で見た、不思議な生きもンの話。
みんな、コイツで見つけたンだ。
犯人がもし、人狼だってなら。
きっと、コイツで視える――
[狂気の沙汰に、乗り気になろう筈も無い幼馴染へ
ペッカは時代遅れの古めかしい望遠鏡を示して言う]
喰い殺されたドロテアの仇…
せめて、俺ラが討ってやってもいいんじゃねーか?
[やがて村衆のひとりがドロテアが握っていた毛が
そのベルンハードと同じ髪色をしていると声高に言い
始めたとき――ペッカも色を失うことになるの*だが*]
俺だって、そうだよ……
[ウルスラに同意しながらも、けれど町の人たちはすでに誰かが犯人だと――その血を見なければ収まらない。
アイノとペッカの話に驚いたように瞬き。
そして――古びた望遠鏡に視線を向ける。
僅かに瞳を細めて。]
……そう、だよな。
せめて仇はうたないと……
[幼馴染>>49の言葉に小さく頷きながら、アイノ>>50へと視線を向け。]
あ、ああ……うん、そうだな、弔ってやらないと――
[けれど、町の人たちは疑わしいと名を上げられたものたちが弔いに参加するのを倦厭するようで――
そして、同じ金色と言うだけで怪しいと疑われてしまえば、なお、手を出すことができなくなった。]
見張っていればいいですか?
ドリーの手にしていた毛が、ベルンと同じ色だと言うのなら、一晩中みんなで見張っていれば満足してくれますか?
[ドロテアの父を始めとした、大人たちへとそう問い掛けて、ベルンハードの左腕へ手を絡めた。]
……疑わしい相手には、弔いもさせる気はない、か。
[弔いを拒絶する者たちの様子に、目を細める。
その心の内がわからない──とは、言わないが。
やはり、複雑な想いは否めず]
……世知辛いねぇ、ホントに。
[逃げだそうと、騒ぐタイミングすら見失った。]
……。
[つまらなそうないつもの顔に、苛立ちと不安を交えて。つま先で落ち着きなく地面を蹴っている。]
あーもう……、今日は俺が独りにならなかったらいいんだろ?
じゃあアイノの言うとおり、みんなと一緒に居るさ。
[はぁ、と疲れたようなため息をつく。
それでも、疑わしい相手には死をと騒ぐ人も居る。]
だからってなあ、行き成り言われてはいそうですかって自分の命さす出す莫迦がどこにいるってんだよ!
[どれだけ騒いだって、疑心暗鬼におち入った人間には届くものも届かない。
誰かは必ず死ぬことになるような空気が町をおおって居る今、この場の誰かは、明日の朝日を見ることはないのだった。]
[アイノの訴えと、それに対するベルンハードの答えやその後の怒声を聞きつつ、空を見上げる]
……ほんっとに、もう。
ツイてない、ね。
[大げさに嘆息する、その仕種にあわせるよに。
耳飾の輪が*ゆれた*]
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