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[手を振り返すタカハルが困ったように笑っているのには気がつかないままで。にこにこと手を振ると]
はあ。
[リウに差し出したはずのマンゴーフロートを引き寄せて、ぐびぐびぐび]
そうだったんですか。
昨日は、ポルテさんから手紙の話を聞いてなかったからどうしたんだろうって思ってたんですけど……。
何か進展、ありました?
[よく考えれば、進展があるなら全員に話すだろうに。そこまでは考えが及ばなかった]
進展っていうほどのものはないわね。
私の名前が書いてあったくらいかな。
[内容には深く触れずに、それだけを答える。]
[ナオが強い口調でサヨに向かって話している。
おとなしく、2人の話を聞くことにした]
[テーブルに置いたグラスの中で氷が鳴る]
ナオ。
気味は悪いけど、だからといって騒いでどうにかなるの?
事件なら警察がどうにかするでしょう。
悪戯にしてはやっていることが中途半端。
[グラスの水滴に濡れた指先を、おしぼりで拭った]
狐様なら、私に出来ることなんてない。
そう、ですか。
[それ以上は語らないモミジには、短く返す]
やっぱり昔からの友達ならではの相談だったりとか?
[相変わらず落ち着き払ったサヨには、務めて感情を出さないように話そうとするが、ところどころには抑えきれない物が滲む]
どう見ても、単なるイタズラには見えないよ。
騒いだところで何も変わらないけど……
だけど、サヨは「どうでもいい」って風に見えるよ。
全てが繋がると思っている?
[問いは、誰の顔も見ずに]
[自由帳のあのページを破り取り、丸めて灰皿に置いた。
マッチを一本擦ると、独特の臭いが鼻腔をくすぐる]
燃えないかもね。
[火がついた棒を、紙へ落とした]
狐じゃねぇっての。
[この神隠しを起こしてるのは、稲荷じゃなくて夜刀と―空魚(おれ)]
―そういやヤスナリは?
[今日になってから全然見てねぇけど…もしかして?]
神社…?
[笑いかけてくれるサヨに]
そうなの?ケンカ、じゃない?
[ナオとサヨを代わる代わる見ては、一人「そっか。良かった」と呟くと、ストローでフロートをかきまぜている*]
ナオが私の表面だけしか見てないのは、少しショックだなぁ。
[くすくす笑いながら、アイスコーヒーを再び口に運ぶ]
どうでもいいなら、こんな所来ないよ。
[『こんな所』の言葉に咳払いをしたマスターに、小さくごめんなさいと苦笑]
[心配をしているようなルリの姿を見ては]
……ごめんね、ケンカするつもりじゃ、なかったんだけど。
仲良くしないと、ダメだよね。
[しかし、それでもサヨへの謝罪は口には出ず]
人が消えたらどうしたらいいのかなんて
[飲み干したグラスをカウンターに置いた]
学校じゃ教えてくれなかった。
[財布の中から取り出した小銭をマスターに渡し、扉へ向かう]
[ショック、とサヨが言えば、ようやくばつが悪そうに謝罪を口にする]
……ごめん。
[確かにそこはサヨの言うとおりなのだ。だけど、感情を露にしても変化のない彼女を心の底から信じることもできず]
[違うかもしれないけど、何故か確信があった―あいつは、あそこに居るって。
目の前の窓を神社に繋げて―現実には影響ないはず―景色の中にあいつを探す。]
どこだ…。
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