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どーしてって……此処が俺の生きる場所だし。
逃げ出してどーなんの?
[それをいうならアイノだって逃げなかったじゃないか、と指摘しながら、顔を赤らめた少女の怒鳴り声にう、と胸を押さえる。]
人の気持ちなんか口に出されなきゃわかるはずないだろ!
[逆切れた。]
…できねーな。のんびり。
[素っ気無い物言いは、含む万感を潜ませる。
苦笑と共にベルンハードから告げられる詫びに、
ペッカは幾分遣る瀬なげにも、ひひとわらう。]
おう。聴いとく…
[ぐしゃり――陽に灼けて縮れた髪といっしょに
掴んだタオルが、ペッカの頭からはらと解けた。]
―――― 刺繍糸。
[逃げる素振りなくことを注視するウルスラへは、
姉が後日彼女へ伝える心算だった言葉を添える。]
新しいのよか、古布をほどいて紡げって
姉ちゃんが言ってた。
ウルスラ姐。
死ぬ気で生きようとして、死ぬなよ。
[ラウリの血を流したばかりの汲み置き水へ、
ばしゃり。ペッカは頭から解けたタオルを通した。]
[アイノの言葉>>56に苦いものを嚼んだように顔を蹙め。]
だって、なあ……俺が逃げても、お前らが逃げられないんじゃ、一緒だろ。
[騒ぎさえ起きなければ、今までどおりだったのに、と僅かに息をつきながら。]
で……アイノは俺が人狼だって、いいたいわけ、だ。
[昨夜のうちに逃げても、なにも解決はしない。
ラウリが死んでもそれは同じ。
結局――騒がれたことと共に空腹に我慢できなかったのが原因なのだから自業自得もいいところだった。]
[アイノと視線を交わすのは幼馴染みの肩越し。
誰をやら何からやらは想い、むつと口を尖らせる。]
…庇ってねェし。
どっちかつーと俺、全力で庇われてなくね。
[昨夜の件にしろ、いま幼馴染みが彼女らと
ペッカの間に立って話している件にしろ。]
[ドロテアが、というアイノの言葉に、ゆるく首を傾げる。
ここにいた者たちの名を書いた、その理由。
少女が抱いていた想い]
……やっぱり、ちゃんと聞いてやるべきだったか。
[零れ落ちた呟きは、ため息混じり。
あの時呼び止めていれば、と。
掠めるのは、悔い]
[ゆっくりと、一歩二歩とベルンハードへと近づく。
瓶は音を立てて床に落ちた。]
ねぇ、あたしを食べて、そして逃げて。
人狼がここから居なくなって、もうそれで、終わり。
それじゃダメなのかなぁ?
[立ち止まると俯き、顔を両手に埋めた。]
もうやだよ。
[ドロテアが、と示された羊皮紙>>60を見てあーあ、と額に手を当てる。]
まいったなぁ……
言い逃れもできやしない。せっかくドロテアの口を封じたのにな。
[自嘲気味な笑みを浮かべてぽつりと呟く。
ドロテアに特別な感情は抱いては居なかったし、彼女の気持ちには気づいてもいなかった。
アイノの言葉>>63に肩をすくめて。]
でも、それで残ったウルスラやペッカが疑われたら――?
そりゃあ俺だって生きていたいさ。腹が減ったら食べもするし――
でも、この町の人間を食べるつもりはなかったんだよなあ……土砂崩れさえ、なければ。
ドロテアやラウリを殺しておいてなんだけど、それでも俺、皆にも生きててほしいんだよねえ。
しょうがないから、俺を始末して、おしまいにする?
確証はないけど――聞いた話だと、死んだら狼になるらしいよ。
[旅人には残酷に。
騒ぐ少女には飢えと保身でその身を血に染めながらも、そんな提案をするのだった**。]
…そーかよ。
[ウルスラが口にする女だてらの気骨台詞に、
ペッカは反発もせずに短く相槌を打つだけ。
オトコ居ンだろ、などと下世話を添えなかったのは
手元隠れる某かの矛先向くやもとの想いから――。
アイノから明かされるドロテアの真実には考え込み]
他所もン巻き込んで、殺して。
…最初に死んだドロテアも、
一役買ってたってコトかよ…
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