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ああ、見失った……。
[暫く猫を追っていたが、幾つも角を曲がるうちに完全にまかれてしまった。長年追い続けている怪盗にしてやられた名探偵のように落ち込んだが、その後すぐに]
……まあ、そのうちまた見つかるかもしれないしな。
ここはミケに勝ちを譲ってやろう。
[気を取り直し、濡れるくらいわけもなさそうな歌を鼻歌しながら、ダイニングへと向かった]
瑞原軍曹、ただいま帰還したであります!
[辿り着くと、その場にいる面々にびしりと敬礼をしてみせる。酒やサラダやを勧められれば]
あ、どうも、頂きますー。
此処に来る途中で迷っちゃって腹減ってたんですよ。
この辺の道ってわかりにくいですよね。
え、そうでもない?
もしかして、妖怪かなんかに迷わされてたとか……?
なにそれこわすぎる。森ヤバイ。
[酒は燗を貰ったりしつつ。
男は相変わらずの調子で喋りまくっていた*だろう*]
アン様、どうか、ご心配なく。招待状には電話番号も書いてありましたから、いずれ連絡もございましょう。
さあさあ、サラダを召し上がって下さいませ。久方ぶりに腕を振るいましたものですから、ぜひアン様にご賞味頂きたいのですよ。
[小皿にサラダを取り分け、小瓶の中身をかけてアンへと差し出す]
フランボワーズのドレッシング、お好きでいらしたでしょう。
少ししかご用意できませんでしたので、皆様には他の味付けで。
電話は、まだ繋がっておりますよ。
あまり早くに切ってしまうと、気づかれてしまいかねません。
携帯電話をお持ちの方もおられましょうが、ええ、対策は用意しておりますよ。
ちょっとしたおもちゃを、仕掛けてございます。
[そのままアンの隣へと座り、様子を伺いながら皆と歓談する。招待主が誰かという話になれば、やんわりとぼかしていた]
……アン様?
だいぶ、お疲れのご様子ですね。
今宵は、もうおやすみになられた方がよろしゅうございましょう。
はい、どなたかからご連絡がありましたら、必ずお知らせ致しますよ。
ごゆっくり、おやすみなさいませ。
[ダイニングを出て行くアンの背中を見送る]
[青年は温泉風サラダをつつき、人参を口へ運ぶ。
おいしいです、と温厚そうな笑みをピエトロへ向け]
瑞原さんも、おかえりなさい。
ハリセン軍曹さんのご戦果は如何に?
[饒舌なフリーターの男が戻り来ると、まだ温かい
徳利を差し出して迎える。――ふと一同を見回し]
そう言えば、レンさんや金髪の貴女は、ご招待主に
何か持ってくるように言われてたりしないんですか?
[返答があれば、首元へ指を添え耳を傾ける*。]
空いたお皿、少しお下げしましょうか。
[空になった食器を重ね、キッチンへ運ぶ。アンの使ったグラス、赤いドレッシングが僅かに残った皿はその中に混ぜ、手早く洗ってしまった]
>>*9
屋敷の電話線を切る、っていうのはこの手の(?)話の定番だけど、今は携帯対策しなきゃならんのね。時代は変わったなあ。
―割り当てられた部屋―
すごい雨ー。
[トルソーに着せたドレスの胸元にビーズを縫い付ける手を止め、窓を見た]
……あれ?
[手首の針山に針を刺し、窓へ歩み寄り鍵を外す。
雨に濡れた封書をガラスの向こう側から引き剥がした]
――うん。
[赤くないドレッシングのかかった卯の花を、
零さないよう口元へ運び――一度止めて呟く。]
白い、…蜘蛛 だったら困るなあと思って。
レアアイテムなんてあるんだ。…狼だといいね?
お守り代わりに、もうしばらく持っておくよ。
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