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[呼吸を、意識的に深く吸って 吐く。]
… 連れて戻る。
[続きは置いて、決断を伝える。
触れた手を一度引くと、
死したドロテアの蒼いくちびるが薄く開いて
なかば霙状の湖水がとろりと流れ出してきた。]
…凍えたんじゃない な。
溺れた…?
─炊事場─
[昨日食べていない人の分が鍋に少量残っているが、
それは食べてない人たちの為に取っておくとして。
それでも残ったら欲しい人が飲めば良いと、一応温めておく。
湯がいた芋を潰し、細かく切った野菜を混ぜて
マッシュポテトにする。
主食としては軽く焼いたパンに、
ベーコンとチーズを挟んだものと、
ツナとコーンを合わせたサンドイッチを用意した。]
卵とミルクがほしいわねぇ…。
[無いものには文句しか言えないので、
すっぱりとそれは諦めた。]
わからないな。
…わからん。
[仮死状態からの蘇生も、なくはない。
だが地表より温度低下の緩やかだったろう
湖での溺死らしき…望みは薄いと言えるが、
ふたりでドロテアの体を馬の背へ乗せる。]
[それにしても何日ここにいるのか分からないが、食料は持つだろうかと疑問に思ったが、
特に気にする事無く食材を使わせてもらう。]
多分、大丈夫でしょう。
[止まない雪を見て、…はぽつりと呟いた。
それからお茶も人数分用意して朝食をテーブルへと運ぶ。
その頃には、外に出たダグとクレスト、
そしてドロテアの死体は戻ってきただろうか。
…は席について、朝食には手をつけずに皆が集まるのを待った]
[程無く戻りの仕度が整うと、]
……
クレスト、
[籠めて、若者の名を呼ぶ。
伝えておいたもうひとつの合図。
『振り返らずに先にいけ』、*と*。]
― コテージ ―
……ドロテアが、
[死んでいた。
か細い声で、ユノラフに告げる。]
ダグのおっさんが来るまで、
悪ィけど………、灯り、頼むわ。
[ここからダグの姿は見えていただろうか。
随分と吹雪いていたから、相当近くまで来なければ、
視界に入れるのも難しいか。
身体に巻いていた遮光カーテンをほどき、雪を払う。
既にびしょ濡れのそれをコテージ内に持ち込む事を
ためらい、玄関内の端に畳んで避けておいた。]
― →大広間 ―
[濡れた手袋を外せば、指先は赤く。
体の震えは、止まる兆しを見せない。
ドロテアの事を皆に知らせなければと、
その一身で、感覚の無い足を動かしていく。]
………、
[雪に塗れていたズボンから、
ぽたり、水が滴り落ちて、床を濡らす。
暖房機器も作動していないというのに、
コテージ内はとても暖かく思えた。
大広間には、誰の姿があっただろう。
ひどく顔色の悪い司書を見れば、
ただ事ではないことくらいは察する事が
出来たかもしれない。]
[雪の中にずっといたのだろうか、
クレストの手は極度に冷えていた。
長袖を着ているとは言え体のほうも冷えているのだろう。
暖炉を見ても火種は無い。]
……あの、朝食の用意も出来ていますので
召し上がるなら暖炉の方に運びます。
[冷えた体を温めるなら、
なるべく暖炉の近くにいたほうが良いと思い、
提案してみるが、彼は食べてくれるだろうか]
―― コテージ / 裏口 ――
[遅れて戻った男は、濡れた外装を振り捨て
つめたいドロテアを荷馬の背から下ろす。
待っていてくれたユノラフの手を借りて、
裏口から土間を通って――――浴室へ。]
湯はあるかい。
…野菜のゆで汁だって構わないから。
[ふと香った煮炊きの匂い。
連れ帰った娘をあたためる手段を模索する。
医者でもない身が、つたなく手を尽くす。]
[暫く広間のソファで眠気を耐えていると、
クレストが戻った事に気づいた。]
おォ、お前らなんで出てったんだそーいや。
食料の確保か?
…ダグはどうした。
[一人しか戻らなかった事には首を傾げ。
そう話しているうちに、戻るやも知れないが。]
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