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ああ。
ルリちゃんのウィルスの駆除がうまくいったらね。
[ハツネの後姿に返事を返す。
不完全なままウィルスが増殖したルリにはすぐ駆除を行ったが、
同期しているハツネとオトハには駆除をするか否かの選択は彼女たちに委ねるつもりだった]
ロボットはいつまでも人間が自由に扱っていいもの、ってわけには行かなくなると思うんだ。
…そんなこと言ってるから、研究者に向いてないんだよな。
[独り言を呟いて自嘲気味に笑った]
レンは何を探してるんだ?
イヴに何を望んでる?
[モニタを眺めるが、表示されている内容はさっぱり理解出来ない]
なぁ、レン。
ありもしない記憶を、自分のものだと思い込むのは気味が悪いよ。
犬に追いかけられただの、弟と一緒に迷子になっただの、どこの誰の記憶だ。
これがバグなら、私は生まれた以後の記憶しかない方がよっぽど清々する。
そうなっても破棄されない道筋は、ありそうか?
[傍らの蝶を通して、声は届いているのかいないのか。
反応はない]
[振り向いた老人の手が、自分の頭に伸びた。素直に頭を差し出し、撫でてもらう。]
「そう、お前はこの子をもとにして、作られたんだよ」
[暖かい老人の手が、優しく撫でる。その感触をセンサーで感知していた。]
私では、まだだめですか? 乙葉さんには、なれませんか?
[心から訊ねる。自分が作られたのは、『乙葉』になるためだから。]
「オトハは、オトハだ。この子になれなくても、いいんだよ」
[老人の声が優しく耳のマイクに響いた。]
それでは、ダメですわ。私が作られたのは……
「オトハ、無理はしないでおくれ」
[言いかけた言葉を遮るように、老人がいう。]
無理なんて、してません。ですから、そんな顔をなさらないで。
[寂しそうな色をたたえる老人の瞳を覗き込んだ。]
―再生終了―
今ならわかる。
私がどんなにがんばっても、乙葉さんにはなれない。
私は、乙葉さんの面影を持った私自身でしかない。
でも、マスターは、私を愛してくれていた。
私に重ねた乙葉さんじゃなく、私自身を愛していた。
だから、私が乙葉さんのフリをするのが、耐えられなかったんだ。
だから、「無理をしないで」と言ってくれたんだ。
―自室―
何でもいいとか一番困るんだよ。
[ぶつくさ言いながらヴァイオリンケースを抱え、すぐさま廊下へ。
コンピュータ室の前で立ち止まり、一度検査室に向かうことにした]
オトハさん、何か聴きたい曲ある?
言ってたじゃん、波長が合うって。
[手持ち豚さんなのでのんびり文庫本読んでた。
手を貸してといわれてはつねの方を向いて]
――。
[口を開き、何か言う前にゆうきが返事する。
無表情に目を瞑り、何となく機を失って、息を吐く]
弾けるよ。
[何でも、とまでは言わなかったが、笑みを浮かべ]
何を夢見てるの?
[言いながら、ケースの中から愛用のヴァイオリンを取り出す]
しかし残念ながらここからじゃ届かないんだな。
夢はいろいろあるわ。
人間になる夢、マスターが笑ってくれる夢。
ハツネが幸せになる夢。ルリちゃんが院長先生と結婚する夢。
空を飛ぶ夢でもいいわね。
パソコンに音楽聴かせるなんて初めてだよ。
[くすくす笑いながらコンピュータ室へ戻る。
窓の外を見ると、いつの間にか吹雪はおさまっていた。
冷却ファンの音だけが、室内に低く響いている]
今日は、オトハさんの幸せを祈って弾くとしますか。
[楽譜を思い出し、その通りに演奏をする。
離れた蝶から、もう一つの旋律が響いていることにも気付かず。
場合によっては間違えたフリをすることも出来たけれど、今回ばかりは機械的に正確に]
[目の前のルリを心配そうに見ながら、聞こえた微かな息遣いに顔を上げた。
音を漏らした張本人を見て軽く目で笑って、ポケコンを操作してメモリを取り出した]
壱乃宮さん、これ、ワクチン。
もし、ハツネちゃんに使うなら持ってって。
[読んでいた本すら閉じて所在なさげな姿。
その目の前へワクチンプログラムを移したメモリを投げた]
[終演後、コンピュータに向かって、丁寧に頭を下げた]
――で?
[何も変化のないモニタを渋い顔で見つめる]
[座ったまま、顔色を変えずにゆうきを見上げる]
……ん。
[微妙な表情でユウキの言葉を聞き、それでもメモリは受け取る。
どっこいせ、とか言いながらじじむさく立ち上がった]
[ぺたんぺたんとスリッパ鳴らして部屋を出る]
……さむー。
[白い息を吐きながら、
はつねの後を追うように弦楽の聞こえる部屋へ]
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