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―!!
[その瞬間、手で示したその場所に、二人の人が現れた。
一人は、見慣れた制服姿の「娘」。もう一人は、同じ制服を着た、娘の友達。
「娘」は、今にも泣き出しそうな顔をしていて、「友達」が心配そうにのぞきこんでいる。]
・・・ごめん!今話しかけないで!
[固まった自分の様子を見た誰かが自分に声をかけてきたら、そちらを見ることなく、するどい声で制止するだろう]
日向子さん……。
ええ、本当に。
[ウサギの仕業であることはもう明らかだから、頷くに留めた。確か日向子には小さいお子さんが居た筈だ。さぞ心配なことだろうと眉下げて。]
ワスレモノを探しているところだったんです けど…
チカノちゃん……友達が、その、狭間に落ちてしまったかも知れないって聞いたものだから、つい走って来てしまって。
[風でやや乱れた髪に無意識に触れた。
彼女の手にかかるとどれだけ言う事を聞かなくなった髪の毛も大人しくなるので、社会人になってからは時折通っているのだが、今の自分の状態は少し、何と言うかその、だ。]
んー?
[2人を探しながら、聞こえて来た声に生返事]
…アイツ、何か見つけたのか?
[声が届かないのが分かったから、会話するように返すことは止めて。文字通りの独り言を口にする]
そーいや……アイツが忘れてたことって、何なんだろうな。
[そう呟いて、思わず相手を探すように視線を巡らせた。声からはどこに居るかなんて分からなかったから、それ以上探しようが無かったけれど]
[娘が口を開く。]
「ねえ。私、お母さんの邪魔、しちゃってるのかなぁ。」
[言葉を出すと同時に、ぽろぽろと涙を流す。その様子に、]
―っ!なっ!
[絶句することしかできない。友達もそのようで、]
「どうしたの、みーちゃん?」
[ハンカチを渡して優しく手を握る。]
「私、おじさんのこと嫌い。私のお父さんは、お父さんだけだよ。
でも、私がそうだから、お母さん、おじさんに優しくできないの。
私、お母さんの邪魔だけはしたくないのに・・・」
[嗚咽をあげながらそう言い、そして、必死に何か言葉を紡いでいる友達とともに、「娘」は消えた。]
─ 駅前公園 ─
え、あ、そんな。
手入れとかよくわかんなくて、はずかしいんです、けど。
[髪を誉めてくれる穂積>>80に赤くなりながらも、誉められて悪い気はしない。
気を抜いてたら、と軽い口調で言われるのも気遣いからだと解るから頷きを返した。
和馬の説明>>70から二人の知り合った経緯やお子さんとはぐれたことを知ると、少し迷いながら口を開いて。]
あの、きっとお子さんも、大丈夫です。
お姉さんのお子さんだもの、お母さんを心配させたりするような子じゃないはず。
[根拠のない気休めだから、口にしていいか悩んだけれど。
大丈夫、そう自分にも言い聞かせるみたいにそう口に出した。
どうしていたか>>85と穂積から聞かれると、ん、と表情を改めて。]
あたしはとりあえず、風音荘に誰かいたらって思って見に行ってました。
心当たりは…まだ、思い出せなくて。
─ 駅前公園 ─
そう、ですか。
[祐樹の返答>>67を聞いて心配に表情が曇る。
彼が口にしなかったことは、付き合い長い雷電や六花ならば分かったかもしれないが知り合ったばかりの身では察することもできず。
ただ、何かを見て驚いたような表情と小さな呟き>>68には流石に気付いた。]
あ、祐樹さ…っ、気を付けてくださいね!
[急に駆け出した彼に驚くも、なんとか背中に声を投げかけ。
祐樹の駆けていった先、何かあるのだろうと思いつつも心配でつい見遣っていたところに六花の声>>83が聞こえた。]
あ…六花さん!
よかった、六花さんは無事だったんですね。
って…チカノさん、一緒じゃなかったん、ですか?
[六花とチカノは一緒にいると思い込んでいたから、彼女の問いかけに驚いて。
後からやってきた男性>>95の姿には見覚えがあったかどうか、息を切らしている彼に頭を下げた。]
[ふら、ふらりと歩いていく。
頭の中を巡るのは、先ほど病院で聞いた言葉たち]
『約束』……かぁ。
[思い当たる節があるような、ないような]
……そもそも、俺。
なーんで、絵描きじゃなくて、医者になろうと思ったんだっけ。
[意識の隅に追いやっていた事、それへの疑問が過ぎる。
この辺りが多分、解けないパズルのコアなのだろうけれど。
それだけに、というわけではないだろうが、中々答えは見えてくれなかった]
― 駅前公園 ―
[公園には、また人が集まり始めている。誰もが、不安そうに見えるのは無理もないことだった]
ヤア、コンニチハ。
[しかし職人は、やはりいつもと変わらぬ調子で、やってきた若い二人にも笑顔で挨拶を送る]
[皆の会話には口を挟まず、黙ってにこにことしていたが、そのうちに、若者と女性が、何かを見つけた様子で]
サテ、ソロソロ鍵か螺子が見つかっても良いコロだネ。
[カツン、とステッキを鳴らして歩き出す]
みーちゃん・・・
[こんなこと、知らなかった。
彼女たちのいたところを暫く呆然と見て、]
・・・ここに来てから、こうやって「過去」が見えたことが、これで5回目です。
[驚かせてしまったであろうその場の人に、視線を動かさず告げる。今の光景は見えていないだろうが、細かな説明をする余裕がない。]
・・・私もワスレモノ探しを再開します。
[ぺこりと一礼。公園を後にし、家の方へ。**]
あの兎が寄越したんだから、俺らの手に余るのは当たり前だよなぁ。
[制御出来ず勝手にどこかに飛んでいく力。普通じゃない兎が寄越した普通じゃない力。それを容易に使いこなせるとは思いにくかった]
にしてっも。
どうなってんだ、この狭間って場所は。
[最初こそ商店街の近くに居たと思っていたが、住宅街の方へ行ったはずが海に出たり、駅前に戻ろうとして小学校に辿り着いたりと。場所自体が曖昧なのか、あっちこっち思わぬ場所に出ていることが多いように思える。勿論、思う通りに進めたりもするのだけれど]
これじゃ効率良く飛鳥さんとチカを探せねぇなぁ。
[歩む足は止めぬまま、困ったように後頭部を掻いた]
うん………。
チカノちゃんとは、ほら、菊子ちゃん達と同じくらいに別れて。ワスレモノを探しに行ってからは、会ってないの。
こっちに居るかなって思ってたんだけど、
まだ、来てない の…?
[一緒では無かったのだと首を振る。
菊子たちが無事だったのには安堵が胸に降りるけれど、それは不安を埋めるには少々心許無いか。]
あ…
[日向子に制され口を噤んで居た頃に、省吾が追いついてきたのが見えた。
持ち上げられなかったから引っ張ってはみたから、声を発さぬままで手渡そうとする仕草。]
― 駅前公園 ―
[ベンチに腰掛けると、職人はポケットから懐中時計を取り出し、自分の脇に置いた。他の者には見えないだろうが、時計を置いた反対側の隣には、白い日傘を畳んだ10年前の妻が腰掛けている]
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