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[突然、打ち上げ花火の音が耳に入る。]
ぴゃー!
[思わず両手で耳を押さえて、涙目。エビコに頭を撫でられると、目を猫のように細めて、返される手のひらを見やる。]
ささ、き?
[イマリの影に隠れた少女の姿に、首を傾げた。]
むり?
[グンジに窘められると、悲しそうに月を見上げる。打ち上げ花火が視界に広がった。]
ええ、形代を神様に捧げるんです。
[グンジに尋ねられると、境内の真ん中、ひときわ大きな神火を指した。]
あの火になって、形代は神様のいる月へ飛んで行く。
だったかな?
おばあちゃんが言ってました。
形代持ってきました?
[折り紙で作った人形をポケットから出し微笑む。]
ネギヤ君ばかりが働いている気がするよ。
[祭りが始まったという説明に、首を捻るようにした]
豊作でも祈ればいいのかな。
[花火と月と松明の炎が入り混じった光の明るさに、目を細めた]
[一足遅れて境内に現れる]
はいよ、さっきぶり。
ねぎやん様はお疲れさんだなぁ。
お。
[ネギヤをまともに見て感想を言う前に
花火の音に振り返り、花火と月を見る]
[細めた目は少し不機嫌そうにみえるかもしれないし、
単によく見ようと細めただけに見えるかもしれない]
[エビコが願い事を書いたという柱に向かって、てけてけと駆けていく。そこまでたどり着けば、柱を上から下までじーっと眺めている]
よめない…
[エビコの顔を涙目で見る。とても悲しそうだ。]
ん? 佐々木君?
[呼び名を繰り返す少年に首をかしげた。]
うんとね……。
[悲しそうな顔になった鈴木君に首を傾げて微笑む。
ポケットから出した折り紙を差し出した。]
これに貴方の名前を書いて、願い事があるならそれも書いて、あの火にくべてくると良いよ。
きっと月に届くから。
つきー!
[グンジの言葉に楽しそうに両手を高く掲げる。エビコに手渡された折り紙をじーっと見つめて、やがて指をぺろりと舐めると、その指で折り紙に何か文字をなぞるようにしてから、篝火へと駆けて行った。]
[社の中からあらかじめ折った人型を出してきて]
はいよ、先生。
これはみんなの厄払いのための人形だけどね
折り紙持ってないならこれでもいいでしょう
[一つ、グンジに差し出して、残りを境内の中心の大きな松明にくべ始めた]
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