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この辺りの文献、探してみるとたくさんあるんだね。
それでもシュテルの正体について、はっきりした結論は出てない……か。
[手近の文献をぱらぱらめくり、また棚へと戻す]
でも、シュテルがマッテオだって仮説で、だいぶ筋が通る気がしない?
真実は――たぶんもう、誰にもわからないけど。
彼らはさ、千年以上も後の人間が、自分たちの志や生き様を想像して、熱く語るなんて、夢にも思わなかっただろうね。
[地図のコピー、中央の辺りを指でなぞり]
命尽き、墓すらも朽ちて、城の名が失われても、尚残るものがある。
ロマンだねえ。
シュテルは軍を二つに分けたのかなあ。
[>>6:13指で作った足でてくてくと、ヴィルコラクからピジェまで歩く。
城壁の増築。ヴィルコラクを黒獅子に攻めさせてなお、首都に攻め込まれることを予想したのだろうか]
いったい誰が。
[唇を撫でて、思案]
[地図の上を歩く指>>127を見つめ]
シュテルと同等の力を持つ、指揮官。
三将は武力には長けているけど、いささか心許ない。
守護天使はその名の通り、護りを得意とする。
二分した軍の一方を、シュテルと同じように率いられる者――
彼の、半身?
そうね。
まさか情けないだの、いや見込まれた男のはずだなんて、シュテル、ひどいくしゃみしていると思う。
[>>126ミカの声に顔を上げる]
わかっているのは、城は朽ちて跡形もなく、彼らも多分、同じ運命をたどっただろうということだけ。
それさえも、私たちの想像の上でしか、ないのだけれど。
なるほど。半身。
[>>128わからない、とさじを投げるのは早いか。
ミカの顔を見て、小さく頷く]
半身といえば……トゥナ。
イレアナかもしれない彼女には、求心力もあっただろうし、オイナの一族であった彼女なら、馬も指揮もこなしてみせたに違いない、か。
一度に二つの城を落としたとも、翼が生えていたとも噂される英雄。
その正体は、何よりも強い絆で結ばれた、離れていても通じ合う、ふたり。
トゥナならね、その力はあったと思うよ。
[ドロテア>>130に頷き]
ただ、
どちらもたやすい戦じゃあない。
分かれてしまえば、もしかしたら二度と……
[言葉を切って、わずかに目を伏せた]
[ウルスラの声>>131に視線を上げ]
そうだね。
執着王がその後圧政を強め、虐げられた民が英雄を懐かしんで伝説を残した、って考え方もあるけど。
逆にシュテルを支持した人々、いわゆるファン達にも、執着王は案外寛大だったのかも知れない。
そうだな…時の権力者となったのなら、もう少しましな記録を残したはずなんだがな……
[ウルスラの言葉>>131にしばし目を閉ざし]
ファン……と言うものなのかはわからないが、か志を継ぐ存在にとってシュテルは大きな導となったのかな?
この戦いでめでたしめでたしとする文献はない。嘆きのイレアナと共に流れ出した革命と言う名の灯火……当時のバランスを考えれば、それは吹いて消えてしまうものだったのかもしれない。
けれど、燻った火種はやがて歴史を覆い尽くす大火となってこの地方に広がっていった。
ヴェルフェルミ達アイヴァンホーの統治は長くは続かなかったんじゃないかな?
二度と会えなくても──…、
心は離れない。
そう信じられるなら、出来るのかも。
[ヘンリクの言葉の続きを掬い上げるように続けて、小さく首を傾けた]
ん。シュテルはファン、多かったと思う。謎めいていて、強くて、そして破れた。
執着王が嫌われていたか。シュテルたちが好かれていたか。あるいはオイナの操作……とか。いずれにしても。
[>>131ウルスラにうんうんと頷き]
勝った執着王は歴史を変更するのではなく何故か削除して……その上に後の人たちが英雄としてのシュテルを上書きした……のかもしれないね。
ジェミナイ
元は下級貴族の出身。
軍事学校にて黒獅子とは同期であったといわれている。
文武ともに優秀だった黒獅子ヴェンツェルと比べ、ジェミナイは体力はなく、また知においても評価が低かったという。
だがそれは型通りの知識しかもたぬ教官には理解できないためであり、彼の真価をこの場で測ることはできないと黒獅子はいっていたという。
シュテル仕官先とするわけでもなく様々な場所で流れの軍師として活躍。
定石通りから外れていながらも理に叶った、当時では画期的な策を講じている
特に有名なワドリック湿地帯の争いでは、地理や天文を把握し、霧の出現、風向き、また時間差をもった兵の配置による火計をとりおこなう黒獅子率いる部隊に痛撃を与える。
また執着王麾下のスパイ集団"L"の目をも直前まで欺いたことを特筆すべき点である。
だがその時は自分の軍略についてこれるだけの指揮官がいないために、思ったほどの成果があげられなかったが、ここにその名声は高まる。
なあんて。
ロマンはいいよねー、ロマンっ
…でもあったんじゃないかなあ。命懸けだし。きっと、平和な今のあたしたちには思いも寄らないほどのロマンとか。必死な思いとかが、きっと。
シュテルとの出会いをきっかけに主を得たとされ、嘆きのイレアナ事件より端を発した戦いの全体図を書く。
思えば、情報伝達速度に差がある時代にて、執着王に蜂起する期間の足並み揃っていることからも
レヴィングダットの戦いでは、黒獅子率いる当時最強といわれた黒騎兵を発案した八方十六角陣にて混戦時に痛撃を与える。などあらゆる知をつくりて対抗した。
またシュテルを援助した商人一座のリ=ダーグと渡りをつけたのも彼といわれている。
このリ=ダーグにはまた諸説あるが、その方策も彼がねったといわれているがそれは別記にて記そう。
ヴィルコラクの戦後も彼は生き延びたとあるが、その後は表舞台に姿を表すことなく隠棲。
仕官を求める使者があったといわれているが全て固辞したことも加えて隠者と呼ばれるようになる。
私塾を開き、素質ある子供たちに知をさずけていったとあり、この地方の学校の礎を気づいたとされる。
勝者が歴史をつくるっていうけれども、執着王の次世代は誰が引き継いだんだっけ?
[まるで覚えていない。そういえば最後の攻防、ピジェの戦いで嫡男は亡くなったのではなかったか?
そしてまったくもって印象が薄いということは…?]
心は、離れない――
[はっとしたようにサーディ>>135と視線を合わせ]
そうか、そうだね。
そのくらいでないと、半身とは言えないか。
[双子の顔を見比べて、柔らかく笑む]
ロマンだよねえ。
ふふ。そうなってくると、執着王も俄然興味深い性格。
[ウルスラ、ミカ、アルマと、話すのを聞いて]
興味のないことにはとことん興味がなかったのか、あるいは、ね。
[彼らが何を思ったかなんて、想像するしか知る手だてなんて無いけれど]
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