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希望が弾かれて赤を引いたら、麻酔薬の大量投与で麻薬中毒にして動きを止めようかな、とか。
モルヒネやヘロインだっけ?
ヒロポンはまだないはず。
げすいね、げすいよ。
―― 森の中 ――
なんですか? それは。
[いつものように散歩へ出かけた帰り道。
さっと雨雲が掛かるかのように目の前に現れた人影に、柔くも棘が潜んだ声を上げる]
えぇ、仰る通り出入りはしていますけど、だからってそんな…。
[反論する言葉もむなしく、突き付けられた封書に成す術もなく]
……、
[行き先を告げられるまま、静かにうなづくしかない。]
雨が、ふりそう。
お姉ちゃまの言葉、ちゃんと聞いておくべきだったわ。
[暖かさがが一転、冷たさを帯びた風が髪を浚う。
指定された場所を思えば、姉や母が少なくとも巻き込まれていることは明らかで。
悲しみや途方に暮れる思いで眦は赤く染まる。]
ホズミちゃん、無事かな…。
それにンガムラさんも…。
[押し付けられた封書はまだ見ぬまま。
こぼす、好意を懐くものの名を。]
し、しっかりしないと。
わたしも疑われているって、お姉ちゃまに悟られてしまうわ。
[沈んでいく気持ちを奮い立たせるかのように、頬を数回叩き。森の外へ。
やがて緑色の色彩から解放された視界に、村医者の姿を見つけたなら。
幾許か診療時に晒す、素肌の恥ずかしさを思い出し、頬を赤く染めながらも会釈は*忘れずに*]
あら。ざんねん。
[言葉尻に笑うのが癖かのように、屈託げもなくまた笑う。残念なのは、帽子を奪い返されたことか、それとも人狼ではないことか。]
バク…夫。バク夫殿ね?
わたくしチカノ。近場で野宿するなんてってお父様が怒るから。
家名を汚さぬように通り名ですのよ。
あ。テントの事は、女将さんには内緒にしてくださる?
[内緒にしようもない、広間の隅の黄色いテントを誇らしげに見やる。]
…それではバク夫殿。
わたくし、テントの中を整えないとなりませんから。
[名残惜しげにもう一度もっふもふの手触りを楽しんだ後]
覗いてはなりませんよ?バク夫殿。女のテントは宇宙ですの。
覗いたら…怪我して火傷して後悔しますわ。
[そう言い置いて、もそもそとテントの中に入っていった。**]
女将 ゲッカは、ここまで読んだ。[栞]
村医者 ユウキは、ここまで読んだ。[栞]
……やれやれ、困ったもんだな。
[これで幾度目やら、先刻の来訪者から届いた手紙を開いて目を通す道すがら。]
人狼とはまた、何とも。
[帝都で激務に追われていた頃、作っていた雑誌に、欧州のそういったあやかしの伝承を紹介した記事が掲載されていた事も幾度かあり。]
まさか本邦でこんな話を聞くとはなぁ……。
[感慨に耽りながらも、やむ事のなかった歩みは、召喚状に指定されていた宿屋の前で止まった。**]
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