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─職員室─
[隣席にいる同僚の小鳥遊と、少し会話を交わした後で帰り支度をする]
それじゃ、小鳥遊先生。
お先に失礼します。今夜またよろしくお願いします。
[会釈して席を立つ。
これから一旦帰宅して、腹ごなしをしよう。あと、取れたら仮眠も少し…なんて思いながらも、録画した映画や積んだ本の消化に当ててしまいそうだが。
補習を終えた後に教室で成瀬に言われた通り、目下彼女なんてのも居ない]
忙しくてなぁ…彼女を作る余裕なんてないんだよ。
[誰ともなしに、そっと一人でごちてみる]
─廊下─
[昇降口へ向かう途中、自分が受け持つ教室の前を通りかかる。
生徒たちが数名残っているようで、何やら賑やかに話し合う声が廊下にも聞こえてくる]
……?
[誰かの声が、松柏駅と言ったような気がした。
今夜、自分が見回る場所と合致する地名に一瞬嫌な予感がする]
───ガラリ。
[教室の扉をわざと音を立てて開ける]
こらー、お前たち。
補習が終わったんだから、さっさと帰れ。寄り道すんなよー
[松柏駅が何だと言うのだ。
頼むから面倒事を起こすなよ。みんないい子だから、今夜は大人しくしていてくれ。
祈ったところで、果たして彼らに届くかどうかはさておき]
[教室から出て行く生徒たちと一緒に、他愛もない会話を交わしながら昇降口へと向かう。
その中に、私服姿の村瀬六花の姿を見かけたら声をかけただろう。
補習に彼女が欠席していた事をすぐに思い出す]
村瀬ェ、今日補習だったの、忘れちゃったか?
[軽く笑いながら、彼女の頭をクシャリと撫でる]
仕方ないなぁ…──その代わり、来週は宿題たくさん出すからな。
寺崎に手伝ってもらってもいいぞ。
[なんて付け足してみる。
一学年の頃、寺崎が村瀬に何かと世話を焼いていたのは知っている。**]
[素通りしていくクラスメイトを時折見送りながら、そういえばまだ小春の姿を見ていないということを思い出す。
六花の頓珍漢な話題にも柔和な笑みを浮かべて付き合ってくれる彼女に非常によく懐いていた]
コハルちゃん、もう帰っちゃったかな?
[首を動かして教室の方向を眺めていると担任である須藤を見つけて片手を大きく上げた]
センセー!来たよー!
[悪びれもせずに言っていると頭を撫でられた]
あのね、六花、連絡入れてもらうの忘れてたのね。今日病院あったのね。ごめんなさい。
[お辞儀をして謝る。宿題の言葉には]
わーい、宿題たくさーん!
[何故か喜んだ。なんでもたくさんというものが好きなのだ]
そうそう。幽霊電車。
噂のは偽汽車…汽車と呼んでいるから…、もしかしたら煙吹く電車かも知れないわね。
[村瀬六花と名乗った女子生徒に、須藤先生のクラスと聞いて同じ2年生なのだと気付く。
話し方から1年生かな?と印象を持ってた。]
私は奈央。櫻木 奈央よ。
おねーさん…、いや、同じ学年だからね?
クラスは違うけど、姿はよく見かけたわ。
[コハルちゃんと聞いて、時々見かけたときに一緒にいた女生徒がコハルなのだろう。]
[片手を大きく上げて振る方向に向ければ、須藤の姿が見えた。
村瀬と須藤のやり取りにほんわかと和みながら聞く。]
宿題たくさん…
[それは回避したいなと目を逸らす櫻木である。]
宿題たくさんだと課長さんごっこが出来るのねー。
課長!書類がこんなに溜まってます!
うむ、そこに置いといてくれ。私はスマブラをやるのに忙しい。
って言うのねー。
[宿題を回避したそうに目を逸らす櫻木を他所に、楽しそうに声色を変えて一人芝居をしてみせる]
/*
須藤は、1年の受け持ち?2年の受け持ち?
授業終わりにリウと会話してたから1年受け持ちだと思ったんだけど…
2年なの? わからん
ー公園ー
[缶コーヒーを片手にベンチへ向かう。
周囲に注意を払いながらここまで来たものの、未だ生徒らしき影は見えない。
盛り上がるだけ盛り上がって、やっぱりやーめた、となったのであろうか。もしくは、補習が長引いているか、どこかで道草をくっているか。
煌星学園から松柏駅へ向かうのであれば、十中八九、この公園前を通るはずだった。歩道に近いベンチなら生徒たちを見逃すこともないだろうと考え、温かいコーヒーをすすりながら待つことにしたのだった。]
ん? ……絵?
[ベンチに置かれていた絵をぴらりと持ち上げて見る。それを小春のクラスメイトが描いたことなど知る由もないが、鮮やかな虹色のそれは思わず目を奪われる不思議な魅力を感じた。]
誰が描いたか知らないが……、俺は結構、好きだな。
[少し考えた後、手持ちの鞄を開けて絵をしまいこんだ。持ち主が現れたら少し話をしてみたい、という好奇心が芽生えたのだった。]
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