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あと ルリちゃんしゃべらせると
これ座席の関係どうなってんだ ってなるね……
どういう風に座ってんだろう
とりあえず ルリちゃんからポルテさんは見えるし、
ギンスイさんもケンくんも見えるところ
かつナオさんも見えるだろう場所
ケンくんはギンスイさんもハツネさんも見えるだろう
どうなってるん
[受け渡された果物を、ルリは座席の陰になる様な場所から眺めました。もしかして、と考えます。もしかすると、ここの電車ではああやって物を渡すのが当たり前なのかもしれません。だって、本当に、それが普通みたいに渡したのです。ともすれば、そうするのが『お行儀』というものなのかもしれません。そうだったら大変です、だってルリは誰にもなんにも渡してないのですから。
お母さんと『ひっこしのご挨拶』に行ったことを思い出します。宜しくお願いしますとお母さんと一緒に頭を下げたルリを、お行儀のいい子だねえと褒めてくれたお隣さんも、思い出しました。]
[ルリは自分で用意のできるいい子です。ですから、赤いリュックの中には様々なものが入っていました。可愛いキャラクターの描かれた水筒には麦茶がたぷたぷ揺れてます。お気に入りの本だって詰めてきました。途中でお腹がすいてしまわないように途中でお菓子も買いました。お洋服の替えだってもちろん、あるのです。
けれど、あの女の人――ルリはそう思っていました――みたいな果物なんて、もっていません。
ルリは困ってしまいました。お行儀のよくない子と思われたら、お巡りさんを呼ばれるに違いありません。お母さんがようく言っていたからです。悪い子はお巡りさんが連れて行くんだからね。]
[ルリはリュックから飴を取り出しました。
そしてそれをぎゅっと握って、ついでに瞼もぎゅっと閉じてみました。
だって怖いものは怖いんですもん。]
[ところが、強く瞑ったはずなのに、瞼はばちりと開いてしまいました。すごく、なんというか、間の抜けた音がしたんです。空気が勢いよく飛び出したみたいな。それから、カメラの音も。電車の中で聞こえるなんて、珍しい、ですよね。
ルリは驚いて、握っていた飴玉も忘れて、眼を瞬かせました。ここではルリの知らないことばかりで、時々ついていけなくなるようでした。]
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■:ルリ
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これ どうあがいたら直せるのかもわからんからやっぱりアナログで頑張るしかないんや…
ペイントさん使えるかな…うまくできるかな…
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この場を借りて、
オンラインメモ帳という便利なものを教えてくださった冬鵺さんに感謝と飴ちゃんをささげたいと思います……
いたらぬところばかりで申し訳ない
[あらあら、あらまあ。ルリの目は閉じることも忘れてしまったみたいです。
ルリの知ってる場所から離れてしまったからでしょうか、ここにはルリのはじめてばかり。考えてみればお兄さんお姉さんたちの、こんなに傍にいるのも初めての事です。ルリはほんの少し、体を縮こませかけ、
動きをとめました]
[お姉さんが、ルリの方を向いて笑っているんです!
ルリはきゅうに頬が熱くなったのを感じました。お姉さんです。クラスのユミちゃんとも違う、ミユキちゃんとも違う、大人のお姉さんです。伸びた髪の毛の、その間から見える目つきが優しいお姉さんです。そんなお姉さんがルリの方を見て笑っているんです。ルリはなんだか急に恥ずかしくなって、小さくなって融けてしまいたい気になりました。
けれど、これはチャンスかもしれません。あのお姉さんなら、とルリは思いました。]
[そして徐に立ち上がります。
リュックをおいて
手をぎゅっと握って、ルリは、唇をつよく結んで、
ルリは、そのお姉さんの所へ、一息に足を運んで、]
[ハイ、とも、ドウゾ、とも言いませんでした。
ただ、ルリは手の中の飴玉をぐいっと、お姉さんへと差し出しました。
おかしなことです。あんなに『お行儀のよい』ルリちゃんと褒められたルリはいませんでした。お家を離れてしまったからでしょうか。お家に『お行儀のいいルリ』を置いてきてしまったのでしょうか。そうかもしれません。お行儀のいい子なら、きっと一人で飛び出す事なんて、しないでしょうから。]