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[自身の迷推理にそれぞれ思うことはなんだろうか。
結局アンの行方は判らず、犯人の目星も、消された名前も自由帳に書かれた絵の事も判らず、ポルテが喫茶店を後にしたのはかなり日も落ちかけた時刻。]
狐憑き…? だったらルリちゃんでも女子高生を…攫える? まさか。攫ってどうするっての? 馬鹿馬鹿しい。
[喫茶店で潔白を記した手紙の中に名を書かれた男は、次なる手紙の投函を張ってみるとか言っていた。
果たしてその約束は守られただろうか。]
てかまた入っているし…。
[翌朝、やはり郵便受けに投函されていたのは、朝刊と一通の封筒。
寝起きの頭でかさかさと封の中から一枚の髪を取り出すも、なぜか昨日とは打って変わった紙の印象。]
はっ、これで人攫いの名前が書いてあったら笑え…
[ぺらり――]
[めくった先には昨日とは打って変わって殴り書いたような朱の文字。]
はっ、…笑えないっつーの…
【森下紅葉は人攫い。怪の惑に騙されるな!】
って。冗談きついって、朝から…
[そこに記されていたのは、よく知る人物の容疑を暴く*文字だった*]
[一足早い夏休み休暇を取ったポルテにとって、実家での生活はやることはあまりない。]
うへ、とりあえず喫茶店にでも行って見るか…。
[身支度を整えてふらっと家をあとにした鞄には、昨日と同じ手紙が収められている。
昨日とは打って変わって告発するような内容の手紙が。]
あ、おまわりさんお疲れ様です。
あのぅ、アンって子は…? はぁ、そうですか。誘拐って線は…? なるほど。こんな小さな村ですけどねぇ…
はい? 冬木夏彦って…あ、ハイ、喫茶店に居た…は? 居なくなった? どうして…? あぁ、そうですか…。
では新しい事がわかったら…はい、お願いします。
うそん、アンって子に続いて、冬木さんまで行方不明…?
まさか恐怖新聞並みのこの手紙の送り主の反感を…? いや、有り得ないわ。だって手紙の送り主は――…
[喫茶店へ向かう道中、すれ違った巡査に冬木が行方不明になった事を聞く。
これでやはり冬木は人攫いでないことは証明されたようなものだが――]
じゃぁ、あの手紙は…――
本人に聞いてみないと…。来る、かしら?
いや、絶対来るはずよね。
[立ち止まって考えること数分。
何か決意を固めたように歩き出したポルテは、そのまま喫茶店の扉を開けた。]
おや? 今日は傘の少年と、ちみっこルリちゃんだけ?
[閑散とした喫茶店は、どこか物寂しさすら感じる。
バナナジュース片手に鏡に視線を向けるルリ。そして自由帳を覗き込むタカハル。
変わらないようで微妙に変わっている日常。
この中にもモミジと同じ人攫いは居るのだろうか?]
何か自由帳、変わった事あった?
[アイスティーを注文しながら、自由帳を覗き込む。相変わらず絵は形容しがたいもので、書き込まれた名前は、二つ赤く滲み、一つ丸で囲まれていた。]
行方不明になると名前が滲む…?
[アイスコーヒーを啜っていると見慣れた顔。だけどその顔の裏には何が隠されている?]
よっ、モミジ。今日はご機嫌いかが?
[出来るだけ自然を装い、細められた目を見つめ返した。]
また着たんだ。恐怖新聞ならぬ手紙。
でも今日の手紙は一味違ってね。だからまずは本人にって聞いてみたかったんだ。
[封筒を一瞥して、モミジに向かい合い]
この中に書かれている事って、本当なの?
[目を丸くするモミジをじっと見つめ]
お願い、本当のことを教えて。
あなたは人攫いなの?
[もう一度小声で繰り返す。
手紙に嘘偽りはないのは自分がよく知っていた。
だからモミジの答え次第では――]
[置かれた封筒に目をやり、モミジの話を静かに聞く。]
確かにモミジがアンっていう子を攫う理由は無いと思う。
でも――…怪か何かの類に憑かれていて、その手伝いをさせられているのなら、話は別よ。何とかしなきゃいけない。
それにこれは悪戯な手紙じゃない。うちの家系は代々異形を察知できる能力があるの。言うと怪しまれるから黙っていたけど。
この手紙はその能力が形となって教えてくれているだけ。だから悪戯なんかじゃない。
ねぇ、モミジ。貴女は本当に森下紅葉なの? それとも誰かに憑かれている?
確かに…モミジだよね。
[返事をそのまま反芻する。
格段疑う部分もないから、手紙が来るまで気付かなかった。しかし通知が来てしまった以上、放っておく訳にもいかず]
悪戯じゃなければって言われても何とも言えない。けどもしそれでモミジがどっかで苦しんでいるなら助けたいよ…。
どうやるのって言われると困るけども、でもどうにかしてその怪には、元の世界に戻ってもらおうよ。人形みたいに紙にでも乗せて水に流して――…
[一瞬だけ表情が変わったのを、ポルテは見逃さず。ますます力になりたいと思いだけは空回って]
[はぐらかされた様な答えが…少しだけ寂しかった。]
うん…気が済むまでやってみる。
[がたり]
[音を立てて立ち上がり、会計を済ませて学生たちの声に振り返る。
花火のように弾け飛べたなら、どれほど気楽だろうか。人攫いもなにも関係ないことにして。]
でもさ、モミジ。何もやらないで事過ごすより、わたしは何かやってその結果が無駄でも動きたいから。
わたしはモミジが寂しそうに見えたから、自分の気が済むまであれこれやってみる気。
花火はみんなで楽しんで。わたしは別な事をしたいから、一足先に帰るね。
[誰と無く告げて。
ポルテは喫茶店のベルを鳴らし外へ出た。
家路に急ぐ背後では、花火を行おうと楽しそうな声が*聞こえてきていた*]
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