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[仕事が立て込んだ数日はやはり横丁によることはできなかった。
いまもまだ、忙しい最中ではあるけれどそれでも空いた時間につい、足が向いた]
――結局、思い切れない、か。
[諦めの悪い自らを笑うように小さく呟き。
通いなれてきた道をゆっくりと歩く]
[だが、来たからといって思い出屋にあえるわけでもない。
昭和の雰囲気を残す路地を歩きながら、小さく吐息をこぼす。
こなかった数日の間に、また誰か思い出屋に会えただろうかと噂の一つも聞こえないかと周囲を見やり。
そうして、先を行く少女の姿を見つけた]
[少女が足を止めれば、自然と距離は縮まり。
数歩離れた位置で立ち止まった]
……いや、あっちのヒゲと血縁関係はないが……
まあ、焼き鳥屋でなんどかあってはいるけど。
[弟といわれて苦笑とともに否定する]
君もまだここにきているんだな。
ヒゲ質……?
[どこかずれた答えに、あごにはえたヒゲをなでる。
だが、そんなものの違いなど分かるはずもなく、まあいいかと軽く流し。
続く問いにはそんなことはないと首を振った]
仕事は順調だとも。
問題があったらここに来る時間は取れていないからな……
時間が空けば、つい、きてしまう。
ああ……
[少女が口にした言葉に、最初に路地に足を踏み入れることになった原因を思い返して小さく頷く]
そう、だな。
今来ているのは作家のためじゃない。
失くしたものは幾つかある、が……それを取り戻したいかどうか、未だ決めかねている、かな……
そうだな……早く決めたほうがいいのだろうが。
そう簡単に決められるわけでもないしな。
[見上げてくる少女に軽く肩をすくめて]
思い出はどんなものでも大切だ。
――忘れてしまっていても、きっと。
時間、か……そうだな、あまり時間はないだろう。
[少女がつげるのとはまた別の理由で同調し。
つづいて投げかけられる問いに、ビルの合間から見える空を見上げた]
思い出せない今、必要ないといってしまえば、きっと二度と思い出せなくなる気がするな。
――大切だった理由も忘れてしまったが、忘れたことを気にするほどには、大切だったのだろう
[立ち止まっての会話の途中。
芸人がやってくるのが見える]
集合したわけじゃ、ないけどな。
[軽く肩をすくめ、そして告げられる言葉にはそうだよな、とうなずきを返した]
思い出屋にあえるかどうかは、思い出屋しだいのようだからな……
きっと俺たちにできる決断は、思い出を追うのをやめるかやめないか、だけだろう。
[淡々とした少女に視線を戻し]
忘却もまた、人には必要なものだからだろう。
どれほど大切でもそれだけにかかずらっていられるほど、生きることは優しくないからな……
[探偵もやってきたのをみて、手を上げて挨拶をする。
少女の尋ねに答える芸人の声を聞きながら、未だに対価すら決められていないことを思い返し。
其れから皆と言葉を交わしはするものの、どこか上の空だった**]
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