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[端末に踊る電子文字は変わらず、持ち主の気持ちなど構わず交差する。]
今日は…あの物静かな男の人か。
[連れ去られた人物の名を確認して。]
集めてどうするんだろうね?
[困ったような曖昧な微笑みを浮かべた。]
うん、少し昔の父さんに似てたね。物静かそうな所が。
[言葉は交わす事はなかったけれど。居住まいが昔の記憶と重なった。]
[まだ、アンドロイドが今日のように普及していなかった頃。
セイジとハツネの父は、腕の良い人形師だった。
アンドロイドも、人形と同じく人の喜びに添い、悲しみを和らげる存在で有って欲しいと、新たな誕生を喜んでいた。
後のドリ系の走りとなる、一部の心無い信仰者に母を、家族を傷つけられるまでは。]
――だからといって、倫理委員会の全てが許される事でもないけれどね?
でも、僕等が中に入ることによって……
なんて、夢物語かな?
ねぇ? ハツネ。
[感傷的に記憶を辿るも、喫茶店の前に立つとまた普段の顔。]
――え?
彼が出入り禁止に?
だけど調査は続けろと。
[手のひらの端末に、新たな情報に驚くもまた一瞬の内。]
言うんだよね?
[冷たい視線を投げかけ、ドアを開ける*]
こんにちは。
[手のひらで光る電子文字。
彼を置き去りにして問う、次の対象者と飛び交う候補者の名前。]
変わったら。変わらなかった時に戻れる?
そっちにひとを送ったら。父さんは昔に戻る?
[子ども染みた問いは、誰にも聞こえず。
静かに爆るだけ]
[耳に挟む、様々な話に]
倫理委員会は敗北だって。
だったら壊滅的に追い込まれたら良いのにね?
[悪戯に笑み、コーヒーを啜る。
アンドロギュロスの話は、どこ吹く風で聞き流し。]
[ちらりと時計を見る。
そろそろ喫茶店の閉店時間が迫る。]
また誰かを連れ去る気、なんだよね?
でも一体何のために?
[応えない端末機に、尋ねた]
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