人狼物語 執事国


98 収穫祭の村

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【赤】 漂泊民 イェンニ

[ドクリ]
[不意に跳ねた心臓の音がやけに大きく響いた]
[何故なのか未だ、解らない]


      [それは目覚め始める獣の血]


[供儀とされた愛しい妹の喉元が
酷く酷く柔らかそうに見えて
そんな自分の意識に驚いて頭を振る]


      [咥内で赤い舌が上顎を舐めた]


[未だ、気付かない 気付けない]

(*0) 2012/11/15(木) 01:16:30

【赤】 絵描きの子 レイヨ

[人の子は気付かない。
供儀となった彼女の味などに興味は無いから、それがうまそうだとか、そんな感情は持たない。

このまま何もなく終わればいい。
それは本当に思っていることだったのにと、心の奥で少し笑う。

距離を感じる父、村の人々。
この平穏な日々の脱却を、望んでいた。秘めた、厳重に隠し続けた本当の願い。

ほしいと思ったものは、平穏な毎日ではなく――**]

(*1) 2012/11/15(木) 01:40:28

【赤】 漂泊民 イェンニ

[満月が  近づいてくる]

[身体がひどく熱く寝苦しい。
隣で規則正しい寝息を立てる妹の
シロイ肌が、白い、白くて、]

      [ぐるぐると目が回る]


[目を閉じても眩暈が脳を揺らす]


  …嗚呼、

[制御しきれぬ血の目覚めに
声にならぬ吐息が漏れた**]

(*2) 2012/11/15(木) 01:54:28

【赤】 絵描きの子 レイヨ

[夜だ。
東の空から月が上っていく。高く、高く、抗う事の出来ないヒトを、嘲笑うように。

届いた響きは何の音を持っていたのか。
それは彼に表すことができなかった。

ただ、それを、
彼女の、人狼の目覚め>>*2を、確かに耳がとらえた。

室内を見回す。人の気配はない。ではこの声はどこから聞こえたのだろう。
疑問が頭の中を駆け巡る。

そうして、ふと、感じた。
これは、他の人には聞こえていないのではないかと]

(*3) 2012/11/15(木) 11:46:25

【赤】 絵描きの子 レイヨ

[声を発するにはどうすればいいのか、
そう考えたけれど、思いついても今はやめた。

ただ、人のものではないと感じる。
だからその声を、静かに聞くだけにした。
幻聴ならばそれでもかまわないと、彼は思ってもいたから。

盗み聞きをしているつもりは、レイヨにはなかった。
人狼の感覚がどういうものなのか、彼は知る由もないし、潜んでいるつもりもなかったから。

いつもとは違う、そして自分が聞く声が特別なように思えたから。
心が確かに弾むのを、こらえることは出来なかった**]

(*4) 2012/11/15(木) 11:55:37

【赤】 漂泊民 イェンニ

 …いけません。
 私は…――なんて、ことを


[裡で想う言葉が他に伝播しているとはまだ気付かない。
眠る妹へと伸ばしかけた手を、
逆の手で ぎゅ、と握る。
そのまま、自身の身を抱き締めて小さく震えた]


  [喉が 乾いてていく]
  [満月が――どこかの何かを狂わせる]


[寝台の上で俯いた顔を上げると
いつも眩しげに細められた眸は真っ赤に染まっていた]

(*5) 2012/11/15(木) 12:22:05

【赤】 漂泊民 イェンニ

― 昨夜の事 ―

[ぞわり]

[全身の毛が逆立つのが判る
それは月の重力に惹かれているかのように

赤い眸の下、赤い舌で一度くちびるを湿らせて
見下ろした手の爪は伸び、鋭く光る]


[どうすれば今魔物となれるのか
血が 教えてくれる――…]


 嗚呼、ドロテア、………

[小さく落とす呟きは震え掠れ 怯えるよう]

(*6) 2012/11/15(木) 12:36:01

【赤】 絵描きの子 レイヨ

[夜のうち、届く声をただ聞いていた。
口元が笑みを作っているのに、本人は気付かない。

満ちた月は、目覚めたばかりの人狼を唆す。
それは、"食べ物"だと。
人狼に奉げられた、供物なのだと。
食べられる為にそこに居るのだと。


――何がいけないのか。
人間の子には、わからなかった。
満ちた月が狂わせたのか、もともとおかしかったのか。
それを、本人が理解することはないけれど。

人狼の声を聴きながら、その苦悩をも、彼は愉しんでいた]

(*7) 2012/11/15(木) 12:38:45

【赤】 漂泊民 イェンニ

[ぐ と 自身の肩に爪を減り込ませた
痛みに顔を歪めるのはひとときのこと
全身を覆う獣の欲望が薄れて行くのを感じ

ほうぅ、と、長く長く息を吐いた]


 いや、だわ…


[それからずっと 一瞬も眠る事無く
寝台の脇で 眠る供儀を横目に見た侭]

[湧き上がる血の欲望を抑えるように
自身の身体を両手で、抱きしめていた]

(*8) 2012/11/15(木) 12:39:15

【赤】 絵描きの子 レイヨ

[行動を見ることは出来ないのに、
その情景が浮かぶよう。

笑う気配は、赤い色にも紛れる。
でも、声は出さない。

声の主が誰か把握もしていなかったし、聞いているだけで十分楽しかったから]

(*9) 2012/11/15(木) 12:40:55

【赤】 漂泊民 イェンニ

[ぞわりと背を這いあがる衝動に身を捩りつつ
丸くなって耐えている時 笑む気配を感じた

だがそれが何であるか女に知れる由は無く。

きっと血が 抗う自身を笑って居るのだと
そう思うと――また、欲望は膨れ上がって]



 …っふ……、


[まるで泣き声のような哀れな声を漏らす直後
獣の唸り声のような低いそれが重なった]

(*10) 2012/11/15(木) 12:45:11

【赤】 絵描きの子 レイヨ

[泣く様子を面白いと感じる自分に、違和感を覚える事はない。
満ちた月が見下す世界で、彼女の抑える衝動はどれほどのものなのだろう。

――柔らかい声に混じった、低い、声。
それは、何か。
彼はすぐにわかった。

"人狼"だ。伝承は、事実だったのだ、と]

(*11) 2012/11/15(木) 12:54:55

【赤】 絵描きの子 レイヨ

――死んだら、ダメだよ。

[悟った瞬間、自分の望みを、赤い声に乗せた。
そうするのが自然のように、彼には伝える方法が、わかっていた]

(*12) 2012/11/15(木) 12:59:04

【赤】 遊牧民 ヴァルテリ

[深夜、ざわざわとした衝動は感じていた。

 この身に流れる血がうずく。


 声が聞こえた。
 知っている。

 衝動をこらえる響き。

 ゆるりと笑んだ]

(*13) 2012/11/15(木) 13:11:04

【赤】 漂泊民 イェンニ


 …し、ぬ?
 わたくしが?


[不意に聞こえた声に赤い眸を開く
喉が乾きすぎて カラカラの掠れた声は
高い声と低い声 二重のユニゾンのようだった]

(*14) 2012/11/15(木) 13:13:25

【赤】 絵描きの子 レイヨ

[問いかけには答えない。
人ならぬ声に、ゾクゾクと喜びが湧き上がった]

そう、死なせない。

[退治させない。
愉しませてほしいのだと、嗤う色が、わずかに混じった]

(*15) 2012/11/15(木) 13:31:26

【赤】 漂泊民 イェンニ


 死ぬのは、いやですわ。


[二重の声が 喉を震わさず出ている事に気付く
そして相手の声がまた鼓膜震わせて無い事にも]


 死なない――死なない。
 生きたい………

[零すのは 血と自分どちらもの本能の欲]

(*16) 2012/11/15(木) 13:34:04

【赤】 絵描きの子 レイヨ

[もう一人の人狼の声がするまで、彼がその存在に気付く事はできない]

(*17) 2012/11/15(木) 13:34:38

【赤】 絵描きの子 レイヨ

殺させない。

[嫌だと言う声に応えるように、言葉を重ねる]

――僕が守ってあげる。

(*18) 2012/11/15(木) 13:36:00

【赤】 漂泊民 イェンニ

 …――、っっ

[聞こえた言葉に、はっと顔を上げる]

[守ってあげる]

[なんと甘美な響きかと うっとりと表情を溶かす]


    ――わたくし、は、
    人にとって良くない存在かも、しれませんわ?


[それ、でも?
低い声重ならず 高い声だけが問うのは
細い細い糸のような 告白にも似て]

(*19) 2012/11/15(木) 13:40:15

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