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かみかくし。
[じっとりとした湿り気の強い、プール。ナオは何をするでもなく、飛び込み台に腰掛けて、素足をパタリと揺らしました。手には、例の手紙を持っています。
本当は夜には入ってはいけない場所だと知ってはいましたが、家でじっとしていることも出来なかったのでした。]
“ひと”。
“ひと”ではないもの。
[ポツリポツリと落とす呟きは、静寂の中に響き渡ってゆきます。]
ナオの手紙、貰って燃やしたかったなー。
よくよく考えてみたら、怖いんだもん自分の名前書いてあるの…!
最初は全然気にしてなかったけどさ!!
[プールの、少し高い場所に人影を見る]
…ひと?
[柄を握る手にじわりと、汗が滲む。じっと目を凝らすと、その人影が自分の知るものだと気づいた]
結城、先輩?
*/
もしかしたら、アンが消えたかもしれない場所。
ほんの数日前まで、あのこが楽しそうに泳いでいた場所。
[1度、手に力を入れる。
足りなくて、もう1度力をこめた]
/*
…こんばんは。
[声が少し掠れて、緊張していたことに気がつく]
はは、びびった。
人がいるなんて思わなかったんで。
[傘を閉じると、苦笑しながら頭をかいた]
[ぽぅと暗闇の一部が明るくなり、小さく波打つ窓の向こうに結城の顔が映りこむ]
あいつ、溺れて?!
……いや、こっちが水底か……プール?
[やがて来海と美之の姿も窓の向こうに現れる]
独り言。驚かせてしまったかな。
手紙が面白い事になっていたから。
ただ、次は、何と書かれるのだろうと思って。
[ナオの持っている手紙をタカハルが見たのなら、そこに新たに付け加えられた二行、コウイチの名前と、“ひと”の文字を見る事があったでしょう。]
こんな時間だからね。
普通はいるなんて、思わないだろう。
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