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何が見えたか?
[改めて訊かれると、すぐには答えることが出来ずに、言葉を選んで言う]
恐らくは、死者。
[俯き加減に立ち上がり、食器を流しに運ぶ。
残っていた林檎飴を見つけると、手に取ってくるりと回した]
甘いのは苦手だ。
[苦笑し、皿に戻した]
[エビコがやわらかく笑って指差す方を見る。炊事場からは温かくて良い匂いがしていた。席を立つエビコをぼんやり見送りながら、彼女が触れてくれていた手首を撫でる]
どくどく、いってる。
[しばらくそうやっていたけれど、やがて長く息をついて。ゆっくりと立ち上がり、炊事場へと足を向けた]
[まじまじとこちらを見るエビコには]
うん。
確か、あたしゃあエビコさんには
前にも2回くらいいった気がする。
"くらいどうぞう"じゃなくて、"くらいでんぞう"だから。
暗い銅像とかね。学校の怪談かと。
次間違えたら直さないからね。
ライデンの名前も3度まで。
[意味のわからないことを言った]
/*
みんな意味ありげでわかんねえや。
ランダ神に訊いてみよう。
鏡よ鏡よ鏡さん。
この世で一番美味しいのはだぁれ?
『それは<<学生 セイジ>>だよ。いっひっひっひ』
おじいちゃん? おじい…
[言ってはっと息を呑んだ]
ウミ、じいちゃん…
[ぽそり、呟いた。
結局祭りの前から一度も姿を見せなかったあの老人は
どうしたのだろうかと考えていたその耳に聞こえたのは
グンジの言葉]
死者…それって。
[ネギヤが消えてからばたばたと消えていった
みんなのことか?と目は語る]
あらあ……すいません。
暗い銅像のほうが覚えやすくて。
[失礼なことをさらりと言って、それでも悪いと思っているのか身を小さくした。]
死者……。
[帆澄と同じ言葉を繰り返す。]
私たちが、今、セイジ君たちの姿が見えないのと、先生が今も見えることに意味はあるんでしょうか……?
オブラートはもっと持ってきてねえしよ。
パンが無ければ菓子かと。
[少年の問いには]
ふじみ?不死身?んなわけねえだろ。
死にかけて生きて戻ったこたああるがな。
らーいっておま。
……おい?
それならば何故君は――。
[炊事場の小さな窓の向こう、雲が増えてきた空を見上げた。
コップをいくつかとお茶の入ったヤカンを手に席に戻り、適当に注ぐ]
ホズミ君は見ていなかったのか?
[広報誌のお悔やみ欄と、数枚の死亡届や診断書を指差した]
単なる嫌な悪戯かもしれないがね。
どっちも…くらぞぅ…で、いぃ…?
[おい、と呼ばれながらも、目をぱちくり]
し…しゃ
[大きく目を見開いたまま、入ってきたプレーチェの姿を見ると、視線が固まった。]
おは、よう?
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