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[そして、思案に俯くライデンの面持ちを横合いから覗く。]
……ええ。私は死人です、ライデン。
あの時こそが、君。
…「ひとりの時間」だったかもしれませんよ?
[螺旋階段でルリが垣間見た、性質のよくない笑みが過ぎる。]
…祭りにお連れ出来なくて、…申し訳ありません。
[『もう――テンマは、眠ってるですか。』
ルリの語尾の上がらない問いに、浅く頷いてみせる。]
もうずっと――長いこと眠っていなかったもので。
良ければ、プレーチェさんに有難うと――
否… 死者が多くを望んではいけませんね。
[彼女の「カナメ」が嫌がっている――からともなく。
楽園の最後の欠片が埋まるのを、ただ見ていたくて…
かつて「さいごのひとり」だった男は、少女に明確な忠告を囁くのをよした。]
[ゆらり 亡霊は墓碑へ寄りかかって、ライデンの歌を聴く。
Requiem――
生者が死者のたましいを慰める。
生者が死者を思い自らを慰める。
聴く者は、然し其処へ違いを見出さない。探さない。
…ただ、繋いだ縁のかたちに感謝を。]
――…。またお会いしましょう。
[己の言は叶うといい。彼の言は叶わぬといい。
これはレンの言う「望み」だろうかと思いつつ、
墓碑を離れゆくライデンの背を長く見送った。]
[ こつ こつ …ふわり ルリにしか聴こえない音。
足りない眠りにか、頑なに地へ降ろしていた靴先が浮く。
揺らぎは青い花弁に伝わってミナツの意識を引いたようか。
『そういえば……その、テンマさんって
死ぬ前のこととか、覚えてるのかな?』
亡霊は、そう尋ねていた彼女の胸に蒼褪めた手を伸べて]
忘れたくは、なかったですからね…
[音もなく 差し伸べた腕はミナツの背へとすり抜ける。
ああ、おいしそうなのにとそんなことを思い少し笑った。]
何もかも忘れた私と、何もかも思い出した私が、
別人のようでいて…結局は同じ者だったように――
あなたも、異なる時の異なる場所で。
[墨色の影が通り抜けても、白いカーテンは揺れない。
振り返ってユウキの顔を覗くことはせず…亡霊は囁く。]
…自身の本質を見出すことが出来るのでしょうか?
[何へ憚るか、顰めた声音は低く甘く…そしてつめたい*]
[ミナツと涙するレンとへカメラを向けるペケレの傍に、
僅か歪んだ空間がある。彼女へルリが声をかけると…
空間は揺れて、墨色に透ける亡霊の姿が大気へ滲み出す。]
――…、と…
[零れ落ちるカメラを、咄嗟に支えようと差し伸べる手は
やはり透ける。ペケレの胸元へとぶら下がるカメラ――
亡霊は、諦観の滲む笑みを漏らしルリへ肩を竦めて見せる。]
とっておいた瞬間は…其方の「写真」のようですよ。
[ふたりの会話を補佐する態で、少女へと告げた。]
[ルリがペケレの差し出す写真へ見入っている間、
亡霊は階下の被写体たちへと眠たげな視線を向ける。
どうやらふたりは記憶について話していたようか――]
……。
「望んで忘れた」方も、お出でかもしれませんね。
[失われた記憶を思い、模索する様子のミナツへか呟く。]
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