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彼は自分で選ぶと言いましたから。
[小さく、そのつぶやく。
それから、誰を見るわけでもなく、
また、そこに静かにいる。*]
[ヨシアキの言葉が響く。
おそらくは、すれ違いだ。
彼も、彼も、世界を愛しているのに。
きっと、その表現が違うだけだ。やろうとしていることは……。
争いのない世界、そのはずなのに。]
――……
[何か言おうとして、何も言えずに、
次に、手をみずからの額に当てて、俯く。]
[額にあてた手は、しっとりと湿りを含み、
自分でも自覚しない大ため息。
それをゆるりとあげたのは、
球体から流れ出てた気というものだろうか、それがふいに途絶え……。
まるで、卵が孵化するかのように、壊れたから。]
/*
臓腑という表現も綺麗だし、
なんか、[それきり]
という〆がすごく、こう、儚さと潔さ、というか
何か好きだったです。
と、いいつつ、ちょっと家族迎えへ。
マシロさんも、お達者で…。
[マシロの声が聞こえれば、そう呟いて。]
デンゴくん
[そして、そこにはデンゴがまだいただろう。
彼は彼の世界に帰るだろうと思った。
そう、なにより、その執着があったのだから。]
もう、会うことはないと思います。
ただ、君の夢の国がどう変わっても、
君の世界は、
君の思う幸せな世界になればいい。
[デンゴはどう答えただろうか。少し、話をしただろうか。
ともかく、彼とは笑みを見せることができるだろう。]
[そして、デンゴがその世界に帰る時、
その姿が消えるのを見送る。
子どもの世界がどうなるのか、それをきっとその後男が知ることはないけれど…。
振り返れば、
ヨシアキとクルミは並んでそこにいただろう。
その姿には、もう、むしろ穏やかさも湛えて、丁寧にお辞儀をする。]
私も、お二人にお任せして、
自分の世界に帰ります。
ただ、もう少し、ここで、
景色を眺めていてもいいですか?
[そう二人に告げて、
人がいなくなっていった柱と、砕け散った球体と、
彼が消えていった、宙の彼方を見上げた。]
君の世界には、大人はもういない。今まで大人になろうとするものもいなかった?
でも、そうですね。大人になっていくんですね。
[デンゴに目を細めて…。]
大人になるのは、そんなに悪くありません。
子どもはすぐに大人になれないですが、
大人は、時に、子どもにはすぐに戻れるものです。
こう、好きなものを忘れないでいられるのなら。
[ふと、映画音楽のオルゴールのメロディを思い出す。
男が、命をかけて、戦う映画は、好きでたまらなかった。
そうとはなれないと知っていても。]
きっと、デンゴくんはかっこいい大人になれます。
[それは保証しますよ、と付け加えて]
お目付け役、にはなれないと思います。
それに、私の視点は、私の勝手な思い込みも多くて、
しかも、私は、
私の世界を実はよく知りません。
[少し気がついたように]
今思えば、そういう世界なんでしょう。
自分の世界のことも知らず、
滅びも知らず、
世界を見ずに、個々が内なる世界に入り込んでしまった、無関心の世界。
[また、きっとむつかしい話だと言われても、一人納得しながら。]
だから、
私は、やはり、私の世界に帰って、
それを直さないといけないと思うのです。
[やらねばならないことをそう伝えて…。]
/*
お休みの人、おつかれさまでした。
寒くなってきたので、暖かくしてご自愛ください。
またぜひどちらかでご一緒できましたら、
ええと、
今回は、自身、反省点がすごく多いので、
そういうことがないよう、遊べていけたらと思います。
同村ありがとうございました。
きっと、それは、
揉まれる……ことになるでしょうか?
[デンゴのアドバイスには、やや、戸惑って。
そう、ここでやったことは、決して褒められることではないから。
そう、今は、あった自信というものが実は砕けている。]
[それは少しだけ、慌てた顔になったかもしれない。
そして、それから、
セイジが去って……。
いつのまにか手にあった認識票に気づくのは、実は目を閉じて開けた時だった。]
――……
[眉が寄る。
違う、
額に手を当てたのは、
本当は、何かがこぼれそうになって、
それは、きっと、らしくなかった。
だから、我慢をしながら、
溢れる感情を出さないように、
出さないように、していた。]
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