28 かみさまのまどろむ村 ―ソラハネル―
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学生 ナオ
違うの？
［ルリの慌てているような様子に、鏡の中を覗き込む。しかし、ナオに何か変わったものが見えるわけでもなく］
……うーん。
［と、首を捻るだけで］
鍵っ子 ルリ
うん……。
［歯切れ悪く頷き返すと、ナオの制服をぎゅーと握り締める］
なんか。ヤダね。
みんな早く帰ってくれば良いのに。
［嫌な想像を振り払うように、また頭をぶんぶん振った］
編集者 ポルテ
[置かれた封筒に目をやり、モミジの話を静かに聞く。]
確かにモミジがアンっていう子を攫う理由は無いと思う。
でも――…怪か何かの類に憑かれていて、その手伝いをさせられているのなら、話は別よ。何とかしなきゃいけない。
それにこれは悪戯な手紙じゃない。うちの家系は代々異形を察知できる能力があるの。言うと怪しまれるから黙っていたけど。
この手紙はその能力が形となって教えてくれているだけ。だから悪戯なんかじゃない。
ねぇ、モミジ。貴女は本当に森下紅葉なの？ それとも誰かに憑かれている？
学生 ナオ
［ルリの曖昧な返事に答えられない代わりに頭を撫でて］
ね。早く帰ってこないかな。
アンやフユキさんが戻ってきたら、皆で遊びたいよね。
何やるにしても大勢の方が楽しいよ。
……なんでこんなことになっちゃったんだろ。
［最後の一言は、呟きのように］
学生 タカハル
[テーブル席から感じる水の匂い―それが一際強くなったように感じ小さく笑う。そうしてまわりに聞こえないようにそっと呟く。]
―本性が出た、かな？
翻訳家 モミジ
怪に憑かれてるって…言われても…
私は、森下紅葉だよ。ほかの何者でもないよ。
[困ったような表情を作り、返事を返す]
確かにポルテ、昔から不思議な事とか、そういうの縁があったとか、聞いてるけどさ。
悪戯じゃなければ、なんなのよ。これ。
[笑いながら話続ける。口の端が軽く歪む]
もし、私が何かに取り憑かれてたら、ポルテにどうにかできるのかしら。
[そこまで話すと、一瞬だけ、表情が変わる。
口が動く。何か言葉を話すように。助けを求めるように]
鍵っ子 ルリ
そうだよね。
大勢で遊ぶのが、私も好きだよ。
［ナオが頭を撫でてくれるので少し落ち着く。けれども、あれは本当になんだったのだろうか？自分は何を見たのだろうか？怖いもの見たさで、再び鏡に目を向けるけれど。そこには自分の顔しか映っておらず］
【独】 翻訳家 モミジ
/*
わーん。ポルテさん遅くなってごめんなさいなのですよぅ。
それに、赤とか独り言とか、うまくリンクできねえ！
あうー。むつかしいよぅ。
*/
学生 ナオ
水の中に、空が……？
［その意味は分からなかったが、それでも、どこか頷ける気がして］
この事件って、その〝空に棲んでいる魚〟が関係しているってこと……？
［空に棲む魚の正体は、まだ分からないままで］
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