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こんにちは。
[手を振る白衣の医師の姿が目に入って、千夏乃は歩み寄りぺこりと頭を下げた。ここで何度か会ったことのある、確か内科だったか、外科だったかの医師だ。
千夏乃が普段検査や診察で訪れるのはもっと長くて難しい名前の部署だったから、彼を病棟で見かけたことは、なかったが。]
…こんにち、は?
[帽子にマフラーにサングラス、といういでたちの男の人には、少したじろぎながら。]
お散歩ですか?
――結城先生。
[ちらりと名札を確認して、その名を呼ぶ。
交わされたのは、きっと他愛もない言葉。彼らと別れた後も、千夏乃は暫くの間中庭を散策するだろう。そして、再びこっそり病室に戻る頃には、目を三角にした師長が待ち受けているのだ。
これがいまの彼女の、*日常*。]
ラウンジ
おばあちゃんは可愛いよ?
私もおばあちゃんみたいに、なれたら……
[止まっていた手で、最後にもう一度人形の髪を撫で、腕をひいた]
クレープ、食べるの大変だけど好きだよ
甘くて、ふわふわで……幸せの味がするよね
お薦めのお店あるから、案内するね
[約束だよ、と少女は笑う。
ぼたんの笑い声に重なるように、目を細めて歯を見せた]
…歌、だな。
[階下の方から、歌が聞こえる。
今日もか、なんとも思うのだけれど、
その声は澄んでいて。]
俺は、ここで…か。
[記憶を思い返してみても、思い出すのは学校よりも病院の記憶。
なんせ1年を連続して学校に行けた試しがない。
小児科の人にはお世話になった。
今もこうやって、お世話になっているし
。]
まあいいや…どっか行くか。
[特に当てもないけど、と呟きつつベットから起き上がる。]
『黒枝様、黒枝奈緒様―………』
[呼び出しのアナウンスが、二人の笑い声に被さった]
……忘れてた、そろそろ検査だった
おばあちゃん、また明日ね!
[ばいばい、と手を振り背を向ける。風に巻かれた葉っぱが一枚、少女の髪に*舞い降りた*]
3階・廊下
[部屋を出て、特に意図もなくただ歩く。
部屋の外出は一応許可されていたので、それが…の日課になっていた。]
とは言ってもなぁ…話す相手が居るわけでもないんだし。
[そう呟いてから、窓の方を向いた長椅子に腰掛けて。
部屋から持って来た本を読み始める。
小説も好きなのだけど、もう読みきってしまったし。
日本のこれからの発電として有力なのは地熱発電でしょう。現在推定されている資源量は2054万キロワットとなっており、世界3位となっています…
]
…こんなこと知っていてもな。
[今までなら読み続けていたのだろうけど。今の…にとってはもう、どうでもいいことだった。
直ぐに本を閉じ、空を窓から仰ぎ見る。**]
3階・廊下
[まるで踊るようなふわふわとした足取りで、廊下を歩く。
途中、すれ違った人には軽い挨拶を交わした。
自分の耳の事を知っている人は手を振るだけで返してくれたり、分かりやすいよう大きく口を開けて短く返事を返してくれたり、そんなちょっとした事が何と無く楽しい。
もちろん返事を返してくれない人も居るけど、だからといって挨拶を止める理由にはならない。
そんな時、椅子に座る少年の姿を見かけ、それまでと同じように声をかけた。]
こんにちは。
今から本を読む所かな?
[視線は閉じられた本へ、そして少年の視線を追いかけるように窓へと移動する。
レンズ越しに、自分の歩いてきた道が遠くに見えた。]
それが、柏木さんの『才能』なんでしょうね。
……羨ましいなあ。
[才能があるから、極彩色に彩られた世界に見える。それはとても特別で、幸福なことに思えた。
尤も、今の柏木が幸福かと言えば……、否、であろう。故にそれは言葉には出さず、此方を見遣るかの様子へ微笑みを送り]
柏木さんの絵、今度見せてください。
僕、芸術センスは無いんですけど……、
[笑み混じりに告げた言葉は、「消える」という単語の前では覇気を失う。圧を込めて車椅子のハンドルを、握った。]
消えたくは、ない、……なあ。
結局、ずっと戦っていくしか、選択肢は無いんでしょうね。
[ひらり、地へと舞い落ちた緑の葉を視界の端へと捉える。
風が強くなってきたか。空のご機嫌を伺うよう、緩く空を仰いで]
[ぬいぐるみを片手に中庭へ訪れた少女の丁寧な挨拶へ、会釈を送る。
最近、何度か見かけた事のある入院患者だ。
ひとりで外へ出歩く事を許可されているとは思えなかったけれど、叱るのは自分の仕事では無い。代わりに、ここに居る間は目を離さずにおこうと判断し]
そうだよ、いい天気だからね。
歌い手さんが居たらもっと良かったけれど。
[天気の良い日には、中庭で歌手の女性が歌を歌っている。生憎、今日はすれちがいになってしまったけれど、残念そうに呟く。
少女が病室に戻ると言えば、「気をつけて」とお決まりの文句と笑顔でその小さな背を*見送った*]
おすすめの店、
約束だよう。
[さして大きくもない、末尾の震えた音で奈緒の背を見送る。
小さく振る手は、背を向けられた後もしばらく続き]
奈緒ちゃんがおばあちゃんになるのは、
……、……。
[さよならと降った手で、人形の髪に触れた]
そうさねェ、
かなり、先の話さ**
3階・談話室
…おこられちゃったね。
[給湯器からマグカップに湯を注いで、冷ましながら窓際の椅子に掛けた。
一人で過ごす時間が増えてから、元々少なくはなかった千夏乃の独り言はますます増えていた。そんな様子を見て、お父さんの若いころにそっくりだ、と、母は笑った。]
あーあ。
[窓枠にかたんと頭をもたれさせて、溜息をつく。]
おかーさんと、おとーさんと、ハルちゃんに。
会いたい、なあ。
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