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―とある見舞客の回想―
[見舞いに行くと、彼女は部屋にはいなかった。
こういう時は、大体煙草を買いに行っているか、屋上で煙草を吸っているかのどちらかだ。
屋上に行けば、鼻の頭を真っ赤にした彼女がいた。
呆けたように空を見上げて、白煙を燻らせている。]
六花、
[名前を呼ぶ。]
「ひろくん」
[柔らかく微笑んだ彼女は、甘くて柔らかい声で、俺を呼ぶ。
昔はひろくんなんて子供みたいな呼び方はやめてくれと言ったけど、それが心地いいと思うのはきっと俺が―――――――――から、だろう。]
ここは冷えるよ。部屋に戻ろう。
[手に触れると、思っていたよりも暖かい。
そういえばこのマフラーはどうしたんだろう。そう思いながら、彼女の手を引く。
彼女は嬉しそうにはにかんで、煙草を灰皿に入れてこちらに身を寄せた。]
[最近俺は、よく見舞いに来るようになった。
勿論彼女が気になるんだけど、それだけじゃない。
見ていなきゃいけない、そんな気がした。
そうじゃないと、どこか遠くに。それこそ、あの人の所に行ってしまいそうで。
握った手に、無意識のうちに力がこもった。
いかないで。
どんな事になっても、生きてほしい。傍にいて欲しい。
彼女の一番が俺じゃなくてもいいから。一番じゃない事を、知っているから。
それでも。
かつて彼女の左手の薬指に嵌めた指輪は、今は鎖に繋がれて首からゆらゆらと下がっていた。*]
(―――ロッカ、
[声が聞こえました
わたしがずっと聞きたくて仕方のない声です
かみさまの、あの、声です
ひろくんたちの後ろに、かみさまがいるように見えました
伸ばされた手が、わたしの頭を撫でてくれたような気がしました]
(―――ロッカ、)
[声が聞こえました
わたしがずっと聞きたくて仕方のない声です
かみさまの、あの、声です
ひろくんたちの後ろに、かみさまがいるように見えました
伸ばされた手が、わたしの頭を撫でてくれたような気がしました]
―とある見舞客の話―
六花っ!!
[病室に入るなり、俺は叫んで彼女へ駆け寄った。
見覚えのある椅子、装置、そこに薬もセットされている。
彼女は眠っているように見えた。
抱きしめたら、暖かい。まだ生きてる。彼女の左腕に刺さっている注射器を乱暴に引き抜いた。]
死ぬな……、死ぬなよ。勝手に死ぬなよ。
俺の事、忘れてもいいから。全部忘れちゃってもいいから、死ぬなっ……傍にいてくれよっ……!
[謝る声も聞かず、ただ抱きしめる。脈が弱くなってるのを感じた。
予想外の人からの連絡に嫌な予感がして、急いで来たのに。
あの人の時と同じで、俺は何も出来なかった。
悲しくて、情けなくて、悔しくて、涙が出る。
その時、六花の目が薄く開いた。]
六花……!
[間に合ったんだ、そう思ったけど。
彼女の唇が紡いだのは、あの人の名前だった。
それに少しの落胆と、嫉妬を覚えた事は否定しない。
それから、彼女は嬉しそうに、
幸せそうに笑って、そして、
俺の腕の中で、眠りについた。*]
/*
中の人の視点では、色々な裏話とかそういうあれこれがあるけれど、言葉で語るには無粋かなと思いました。
言葉にしたい気持ちはあるんですけどね。
/*
裏話ってほどの話でもないな。
それと、どっかで書いたかもわからないけど、イメージソングはなんとなくバンプの「花の名」でした。
名前も六の花だったしね。
http://www.youtube.com/watch?v=jDzPh3xlDiA
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