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ぶぃー。ぶぃー。
[少女がエレベータに乗った途端、過積載のブザーが鳴り始めた。
か細い胴体に、これ見よがしなオモリが幾重にも巻き付いている。]
体重を見て降りろだなんて、差別じゃないだろうか。
ああ。それはそうと、おも……じゃない。暑い。暑いのだが。
[そう言ってオペレータ役の実習生に詰め寄る。汗だくだ。
クレーマー役を買って出たのだろうか。それともモグリの変質者か。
私は、後者のような気がした。**]
…。
[小声で何かをつぶやいたマシロを横目でねめつける。]
…わかった。
じゃあ、こうしよう。
合計されなければ良いのだろう?宙に浮いてれば……
[少女はそう言いながら背負っていた黄色い荷物を両腕に抱え直すと、やおら宙に放り投げた。むろん、浮き続けるはずもない。恐ろしく重そうな衝撃音と共に、エレベータが軋みながら大きく揺れる。]
…合計されない。
[そして、何故かブザーは鳴り止む。
こいつはやばい。と私はこのとき、思う。**]
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