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[桜の花びらの中を彷徨っていると、突風の吹く音が耳を駆け抜ける。まるで狼の遠吠え……それも酷く悲しそうな声に聞こえたのは気のせいだろうか。ふっと桜色の迷宮が途切れた]
ここは……
[管理棟の前、背後には薄くなっていく桜色のカーテン。虫の知らせ]
全て終わってしまったのか
[湖畔の方角を向き、ただホズミが無事に帰ってくるのを祈るように*待っている*]
あは、あははははは!
[込み上げる笑いに男は涙をにじませた]
滑稽だな“ヌイ”。
これがお前の望んだ、終わりなのか?
逃げた先に何か見えたか?
[ひとしきり笑うと、ぱたりと真顔になった]
終わらないと知りながら、逃げたのは俺だろう。
[周りを見渡すと、そこに広がるのは*闇また闇*]
[男がいい加減きめ細かさをなくし始めた雪を踏みしめながら歩いている。と、突如桜の花びらが吹き荒れた。
目を瞑るようにしながらも歩き続けるとやがてそれも晴れ、建物と人影が薬屋の目に見える。誰かが管理棟の前、立ち尽くしている。
冬樹だった]
……。何をしている?
[訝しげに冬樹の様子を見て*問うた*]
[立ち去るヌイを追い借家へと入る、ホズミの決心は揺るがなかった。右手に石を持ちそれでヌイの頭を強打する。ヌイは小さくノタマイ悲痛の声を挙げたが何度も何度もその衝撃は繰り返される...やがて沈黙し静寂の中、笑い声だけが借家に響きわたる。]
アハハハハハハハハハ!
これで...これで終わるわ......
[ホズミはヌイを皮袋に詰めると台所の床下にある冷蔵保存の穴にヌイを押し込め蓋をした]
[借家の囲炉裏の傍らで血に染まった服を洗った。やがて終わるとそれを囲炉裏で乾かしホズミは裸で乾く様子を見つめる。]朝までには出なきゃ...]
[朝になり洗い乾かした服にまた着替えると管理棟に向かった]
死体はそう簡単に見つからないわ...
部屋の血痕も拭き取った...
私についていた血もすべて洗い流した...
彼は私を襲おうとし誤って湖に落ちて死んだ...
彼は私を襲おうとし誤って湖に落ちて死んだ...
彼は私を襲おうとし湖に落ちて死んだ...
フユキにはそう伝え他の者には行方不明と...
[薬屋が去ってしばらくすると、視界にホズミの姿が映る。一人だ]
ヌイさんは……?
[ホズミに抱きつかれて戸惑いながらも、背中に手を回す。ホズミの言葉を聞いて]
湖に落ちて、死んだ……そうですか。彼が今回の事件の犯人だったってことなのかな
もう、惨劇は終わりなんだね
[居間に向かうホズミを見ながら、空を見上げ少し残念そうな表情でつぶやいた後、ホズミを追う。彼女に口止めを頼まれれば、やんわりとその理由を聞いただろうか]
私...
生きていられることが凄く嬉しい...
ヌイさんが私を襲おうとしたとき...
死を感じた...
すごく怖がった...
けど助かって......
またこうしてフユキさんに会えることが本当に嬉しくて...
[ホズミは涙に流しフユキにしがみつい]
ホズミさんが戻ってきてくれて、本当によかった
[ホズミの身体を抱きしめ、なだめるように頭をなでながら]
あと少しすれば、山道も復旧して助けが来るでしょう。
……ヌイさんのことを黙っているなら、他のみなさんにはまだ怖い思いをさせてしまうでしょうけれど。
[窓の外を見やる]
[桜の下の人影が2つに増えたことに気がつかぬまま、...はそっと窓辺を離れる。]
……。
[だいぶ落ち着いたのか、涙はもう出なかった。天井を見上げて、吐いた息が白い。]
[暖房の前でしゃがみこんでマッチを擦る。]
幻が見えたりしないかな。
これが消えたら…。
[外国の御伽噺を思い出して、苦笑する。火を入れるとその前に横になってゆるゆると意識を手放した]
人狼がくるよ。
[真夜中。突如、風の音と共に窓が開く。舞い込んできた冷気に...は体を起こす]
一つ目の魂。
狂い咲くは魂。
黄泉に捧げては死を。
[聞こえた声は男のものか、女のものか、それとも自分の声だろうか]
な、に。…やっ…!
[風が鳴く。窓から吹き込んできた大量の花びらに目を閉じる。耳を塞ぐように手で顔を庇う。]
やだ…なに、これっ!
[夢か。現実か。風が止む頃、家屋に人影は*なかった*]
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