―海上・手漕ぎ船の上―
[家に届いた一通の手紙を懐から取り出して、読んでいます。]
ネコキトク スグカエレ
ってこの手紙、ぜったい馬鹿にしてるよ。
でもま、ちょうどいっか。まだしばらくお休みだしね。
[手紙を畳んで懐にしまうと
仰向けに寝転んで、星空を見上げています。]
綺麗……このまま空が降って来るみたい。
[やがて静かに目を閉じます。村への道はまだ遠いようです。]
漕ぐの面倒だし、このまま潮に乗れば、辿り着けるよね。
[目を閉じたまま、つぶやきます。
島に辿り着けるかは、海だけが知っています。
きるきる、と情けない音が聞こえます。]
おなか、すいた。
村についたら、一番にカレー食べたいよ。
とびっきり辛いの。
[カレーの味を想像して、唾を飲み込みます。
やがてお腹の虫に負けじと、寝息を立て始めました。
夜通し、船はゆらゆらと波に流されて行きます**]