……ふふ。暖かいよ、窯神様。ふふふ、ふふふ。
[窯の中に取り込まれた女性の楽しそうな嗤い声が響きます。]
手紙、書けばいいの?
うん。みんな一緒なら、楽しいよね。
村、もう一度、復興できたら。今度はカレー、食べられるかな?
[村から少し離れ、打ち捨てられた廃墟の中。
今日も女性の眸は狂気の光を、窯は鈍色の影を放っています。]
えっ?身代わり見つけたら、出られるの?
……ううん。あたし、ここがいい。暖かいから。ここなら熊にも狼にも、襲われないから。あの子たちも、近くにいるから。
ね、窯の中も外も、人でいっぱいにしよう。そうすれば、寂しくないよ。もう、誰も窯神様を見捨てたりしない。
だから……ね。
[窯の内壁にそっと身を寄せ、真っ黒に焦げた体の中、唯一真っ赤な口を、にいっと三日月の形に歪めます。]